INDEX
アセクシャルやデミセクシャル|様々なセクシャリティ
日本は「性」に無知な国
私たちは誰に教育されたわけでもないのに、思春期になるといつの間にか異性を意識して好きになったりしますよね。大学・社会人と大人になるにつれて、付き合っている男性との結婚を考え出すのも自然なこと、とされています。
しかし「女性に生まれたからには絶対に男性を好きにならなければいけない」なんて誰が決めたのでしょうか?また性愛を抱く相手・セックスしたいと思う相手が異性でなければならない、というのも刷り込みでしかありません。
もっと突き詰めて言ってしまえば、セックスしたい欲求がないことだって批判されるべきことではありません。男性を好きでも女性を好きでも、はたまた性愛をまったく持っていなくてもいいのです。個人の「性」の問題ですから、こうあるべき!というものありません。
しかし日本はこういった個人それぞれにおける幅広いセクシャリティを快く認めないという風潮が根付いています。「女性は男性が好き、セックスしたいと思うもの」という固定観念を誰に対しても当てはめようとしています。
先進国ではもっとセクシャリティに対して許容されています。同性婚を認めている国だってありますし、「恋愛感情」や「性愛」がない人に対して偏見を持たない土壌が培われています。日本では考えられないくらい、いろんな性のあり方を認めているんです。
こういった国々と比べると、日本ははどうしても性において考えが足りなかったり無知だったりします。そもそも「セクシャリティについて考える」こと自体がどこか禁忌なイメージを持ってしまっているので、なかなか性について考える機会がないんですね。
POINT
セックスの頻度が低い国
日本はセックスレスなカップルや夫婦が多い国とも言われています。性生活に満足していない・セックスに触れる回数が少ない、というのもセクシュアリティを狭めている要因なのかもしれません。
11種類ものセクシャリティがある
セクシュアリティについて考えが足りていない日本人ですから、「性の多様性」といっても思いつくのは異性愛者・同性愛者くらいでしょう。しかしセクシャリティはそんなざっくりと分けられるような単純なものではないのです。
人間の性は11種類に分類できるというアメリカの記事を見つけました。この記事を読めば性に対して無知な日本人でも、セクシャリティについての見聞を広げることができるのでしょう。
11種類のセクシャリティ
- アセクシャル
- アロマセクシャル
- グレーセクシャル
- デミセクシャル
- デミロマンティック
- リスロマンティック
- パンセクシャル
- ポリセクシャル
- パンロマンティック
- スコリオセクシャル
- クィアプラトニック関係
日本では「フェチズム」のような性的嗜好がよく取り上げられています。例えば巨乳好き!だとか、美脚が好き!だとかそういった自分の性的を沸き立たせるポイントに関するものです。フェチズムに関しては日本でも普通に話したりしますよね。
ただそれだけではセクシャリティを完全に網羅したことにはなりません。あなたが持っているセクシャリティについて見聞を深めるためには、そして周囲の人たちのセクシャリティについて広く理解していくためには上記のような多様な性を知る必要があります。
今回はアセクシャルとデミセクシャルについて、掘り下げてご紹介していきましょう。どんな性を持っていればアセクシャルなのか、はたまたデミセクシャルなのか。自分に該当する部分があるかなども含めてチェックしていってください。
アセクシャルの特徴と原因とは?
アセクシャルの特徴は「恋愛感情を抱かない」
アセクシャルの特徴を一言でいうと「異性にも同性にも恋愛感情を抱かない人」のことを指します。そもそも恋愛する、恋するということが一切ないという人ですね。
アセクシャルはAセクシャル・夢性愛者と言い換えられることもありますが基本的に指す対象は同じになります。誰に対しても恋愛感情を持たない人、それがアセクシャルの特徴なのです。
「恋愛感情がないということは人を好きにならないの?」と思う人が多いですが、それは違います。ここの解釈がなかなか伝わらないのですが、 恋愛感情がないだけであって「家族愛・友愛などはちゃんと持っている」のがアセクシャルです。
POINT
アセクシャルとノンセクシャル
アセクシャルとよく間違えられるのが「ノンセクシャル」というセクシャルです。ノンセクシャルは性行為に嫌悪感を抱くタイプで、ここが決定的にアセクシャルと違う部分になります。
ざっくりとした説明だけを聞いていると、アセクシャルは人間嫌いなんて誤った解釈をしてしまうことがありますが・・・そういうわけではありません。ニュアンスとしては、「LIKE」はあるけど「LOVE」の感情は抱かないといった感じです。
アセクシャルは病気ではないので原因もない
アセクシャルは病気じゃないので原因もありません。自分のセクシャリティを認める・ハッキリさせることを「自認」というのですが、そもそも特定のセクシャアリティがあなたの中に生まれることに大きな原因はないのです。持って生まれたものであって、目がついている・鼻がついているということと一緒です。
マイノリティなセクシャリティを持っているとどうしても「人と違う」という点で悩んだりします。しかしどんなセクシャリティも病気ではありませんし、原因があるわけではありません。なので「どうしてこのセクシャリティになってしまったのか」なんて自責の念を持つことはないのです。
人と違うからといって矯正しなくちゃとか、治さなきゃと思うことは自分自身に負荷をかけることになります。あなたのセクシュアリティはあなただけのもの、誰かに決められることではないのです。大切にしていきましょう。
QUOTE
アセクシャルであることは、わたしの経験、思想、感覚、価値観などの中心になっているわけではないのです。私の経験、思想、感覚、価値観の全てがアセクシャルであるということを証明するために存在している訳でもないし。 引用元:http://si0r1.hatenablog.com/entry/2016/08/02/104930
「過去に何かトラウマがあった」「家庭環境に問題があった」などもっともらしいアセクシャルの原因を挙げている人もいますが、結局はこの引用文にように「原因が自分の中にあるのではなくセクシャリティは自分の中の一つの要素として存在する」というのが正しいようです。
その人が持つ要素というのはすべてつながっています。どれがセクシャリティに関係している・していないとは一概に言えないのです。アセクシャルもその人にいつの間にか根付いているもの、「原因」を探すこと自体不毛と言えます。
アセクシャルかどうかの診断はできる?
自分がアセクシャルだと認めるのには時間がかかる
とくに日本においては「女の子は男子を好きになる」「適齢期になったら性交渉をして結婚をする」という固定観念が蔓延しているので、アセクシャルであってもなかなかそのセクシャリティを自覚するのに時間がかかってしまいます。「普通のセクシュアリティ」であることがさも当たり前かのようになってしまっているのです。
アセクシャルかどうかを自覚できないまま成人し、アラサーになり、そこではじめて「自分は恋愛感情を持てないのかもしれない」と自覚する女性も多いんです。アセクシャルかもと薄々思っていても、ハッキリ自覚できるまでにも時間を要してしまいます。
「私ってアセクシャルなのかも」と思う瞬間
何度も繰り返してしまいますが、マイノリティなセクシャリティを持つことは決して「病気」ではありません。なのでアセクシャルかどうかを「診断」するというのは、正しい言葉選びではないかもしれません。
ですが「自分はもしかしたらアセクシャルなのかも」と自覚するきっかけとなるような考えや思考というのは、共有しておくべきかもしれません。以下を自分がアセクシャルかどうかを判断する基準として使ってみてください。
アセクシャルかどうかの判断になる考え
- 一般的な恋愛系のマンガ・小ドラマの内容が理解できない
- 成人を過ぎても初恋の経験がない
- セックスを含む性的な接触にあまり積極的になれない
こういった経験があって今も悩んでいるという方がいれば、もしかしたらアセクシャルなのかもしれません。アセクシャルは恋愛感情を抱かないセクシャリティですから、恋することにあまり理解を示せない、という人が多いのです。以下に男女の恋愛に関する記事を貼っておくのでこちらも参考にしてみてください。
デミセクシャルの特徴とは?
デミセクシャルの特徴は「強い感情的な絆」
アセクシャルの次はデミセクシャル(Demisexual)の特徴についてご紹介しましょう。デミセクシャルもなかなか自覚でるきっかけが少ないセクシャリティだと言われています。
デミセクシャル(Demisexual)というのは、「どのジェンダーの人に対しても性的に魅力を感じないが、情緒的に結びつきを持った相手に対してのみ性的に魅力を感じ、性的な欲望を持つ人。結びつきはたいてい恋愛だが、強い友情の場合もある。」という性です。
つまりは性交渉から入るのではなく、恋愛や友情から精神的なつながり「強い感情的な絆」を持つということがデミセクシャルにおいては第一なのです。そしてそこから相手に対して性欲が出てくる人のことをデミセクシャルといいます。対象は男女両方です。
デミセクシャルかどうかの診断はできる?
デミセクシャルの診断・判断はなかなか難しい
デミセクシャルもアセクシャル同様、なかなか自認するまでに時間がかかってしまうようです。とにかく強い絆を求めるのがデミセクシャルですが、セックスしたい欲求もありますし恋愛感情だって自然に湧き上がります。
ただそこまで好きじゃない相手と流れでお付き合いすることになったときに、いざ性交渉が始まっても「あれ?全然心がときめかない」なんてことになる可能性はあるでしょう。デミセクシャルは場合によってはセックスに対して拒否反応が出てしまうことだってあります。
デミセクシャルの場合セックスそのものが嫌なのではなく、あくまで「強い感情的な絆を持っていない相手とのセックス」だダメだということです。ここを自分の中で理解できるのに、時間がかかってしまうことが多くデミセクシャルの自認が遅れてしまいます。
下記記事は「両性具有(インターセックス)」について紹介しています。言葉を聞いたことはあっても詳しく知らないという人も多いのではないでしょうか?わかりやすくまとめてあるので興味がある方は是非読んでみてください。
デミセクシャルの診断ポイント①恋愛感情を抱くまでに時間がかかる
デミセクシャルの方は、誰かに恋愛感情を抱くまでにかなり時間がかかります。デミセクシャルでなくてもなかなか人を好きになれない方はいらっしゃいますが、タイプの人であってもあまり親しくなければ二人きりで出かけるのすら拒んでしまうなど、親しくなる前から恋愛関係に発展させようという気がありません。
恋愛に慎重ですので一目惚れ経験がないのはもちろん、知らない人が恋愛対象にならないため、タイプの芸能人を聞かれても分からない方も多いです。相手のことを深く知ってからでないと恋愛感情を抱けないデミセクシャルは、しばらく会ってない男友達でもSNSで頻繁に連絡を取り合っていれば好きになることもあります。
デミセクシャルの診断ポイント②草食系の異性を好きになりやすい
恋愛関係になるまでに時間を要するデミセクシャルは、草食系男子を好きになることが多いです。草食系の男性は女性に対してガツガツしていないため、女性とも同性の友人と同じような関係を築きやすいです。
下心がないため、女友達との友人関係が長続きしやすいため、自然とデミセクシャルな女性との交友も長くなります。デミセクシャルな方は長い付き合いのある人しか好きになれないことから、同性の友達といる時のようにリラックスして長く仲良くしてきた草食系男子は、恋愛対象になりやすいです。
下記記事は「草食系男子の特徴や落とし方」について紹介しています。草食系男子について詳しく知りたい方は是非参考にしてみてください。
セクシャリティ診断
セクシャリティ診断の前に|性に関する4つの観点を知ろう!
セクシャリティ診断の前にまず「性に関する4つの観点」を知っておきましょう。この4つのポイントを軸に自身のセクシャリティを診断することができます。
性に関する4つの観点
- 身体的性
- 性自認
- 性的指向
- 性表現
簡単に説明すると、身体的性は「身体的な性別」、性自認は「自覚している性別」、性的指向は「好きになる性別」、性表現は「どの性別としての振る舞いか」ということです。
セクシャリティ診断①アセクシャル
アセクシャル診断
- 同性・異性問わず恋愛感情がない
- 性的欲求がない
- 恋愛に興味がないだけで家族や友達に愛情はある
セクシャリティ診断②アロマンティックセクシャル
アロマンティックセクシャル診断
- 同性・異性問わず恋愛感情がない
- 性的欲求がある
- 恋愛に興味がないだけで家族や友達に愛情はある
セクシャリティ診断③グレーセクシャル
グレーセクシャル診断
- 無性愛(アセクシャル)と一般的な性愛の間
- 普段はアセクシャルでも特定の条件で恋愛感情や性的欲求が生まれる
セクシャリティ診断④デミセクシャル
デミセクシャル診断
- 精神的結びつきが強い相手にだけ恋愛感情を持つ
- 性的欲求がない
- 半性愛
セクシャリティ診断⑤デミロマンティック
デミロマンティック診断
- 精神的に強い結びつきがある相手にだけ恋愛感情を持つ
- 性的欲求がある
- 半性愛
セクシャリティ診断⑥リスロマンティック
リスロマンティック診断
- 恋愛感情はあるが恋愛感情を持たれたくない
- 恋愛に嫌悪感を抱いている
- プラトニックな関係を望んでいる
セクシャリティ診断⑦パンセクシャル
パンセクシャル診断
- 性別関係なく全ての人に恋愛感情を持てる
- 性別関係なく全ての人に性的欲求を抱く
- 全性愛
セクシャリティ診断⑧ポリセクシャル
ポリセクシャル
- 性別関係なく3つ以上の性の人に恋愛感情を持てる
- 性別関係なく3つ以上の性の人に恋愛感情を持てる
- 多性愛
セクシャリティ診断⑨パンロマンティック
パンロマンティック診断
- 性別関係なく全ての人に恋愛感情を持てる
- 性的欲求は抱かない
- 全性愛
セクシャリティ診断⑩スコリオセクシャル
スコリオセクシャル診断
- 男性・女性どちらにも当てはまらい人に恋愛感情を抱く
- 男性・女性どちらにも当てはまらい人に性的欲求を抱く
- 性自認にねじれのない人には恋愛感情・性的欲求を抱かない
セクシャリティ診断⑪クィアプラトニック関係
クィアプラトニック関係
- 恋愛感情は抱かないが精神的に強い絆で結ばれた関係
- 友情よりも深い関係
アセクシャルやデミセクシャルがもたらす悩みとは?
思春期にぶち当たる「性」
10代で異性を意識始める方が多いと思いますが、セクシャルマイノリティの方はまずはここで壁にぶちあたることが多いです。彼氏ができたとしても、「本当に好きなのか?」という疑問を常に抱いてしまう女性はたくさんいます。
QUOTE
私はいま大学生で、彼氏がいます。ですが最近私は無性愛者なのではと思い始めました。でもデートをしたり手を繋がれたりしても嫌悪感しか抱かないし、特に嬉しいということもありません。 引用元:http://onayamifree.com/threadres/2530954/
やはり周りが彼氏を作り出したり異性を意識しはじめると、「自分もそういったことを始めないといけないのかな」という同調圧力を自然と感じてしまいます。だいたいその壁に当たるのが18歳前後です。
なんとなく付き合い出した彼氏とデートをしていて「ときめくことはないが嫌悪感もない」といった何とも言えない気持ちになると、「自分はどこかおかしいんだろうか」と自責の念が出てきてしまいます。
アセクシャルやデミセクシャルである自認ができると、自分の中の悩みもどんどん下がっていって精神的に楽になれます。たまにはネットの書き込みなどを見て、「悩んでいるのは自分だけじゃない」と思うことも大切です。
自分のアセクシャル・デミセクシャルを少しづつ認めてあげよう
アセクシャルやデミセクシャルの特徴や診断をざっくりとですが説明していきました。アセクシャルやデミセクシャルの悩みを抱えた方はたくさんいます。無理に診断したり、他人に相談する必要はありません。ゆっくり「自分はそういうセクシュアリティ」なんだと認めてあげることが大切です。
商品やサービスのご購入・ご利用に関して、当メディア運営者は一切の責任を負いません。