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日本の雨を表現する言葉の種類5選｜春夏の雨の表現は？
春夏の雨を表現する言葉①紅雨（こうう）
春夏の雨を表現する言葉①は、紅雨（こうう）です。紅とは早春のころ咲く花のことで、赤い花の中降る雨が赤く見えることから使われている表現です。冬の寒さがまだ残るころに、冷たい空気の中雨が降る雨が色づいて見える情景が目に浮かびます。
紅雨の類義語は？
- 春雨（はるさめ）
- 桜雨（さくらあめ）
- 花の雨（はなのあめ）
- 菜種梅雨（なたねつゆ） 他
春夏の雨を表現する言葉②麦雨（ばくう）
春夏の雨を表現する言葉②は、麦雨（ばくう）です。麦が熟すころ降る雨のことをいい、同じ時期の雨のことを五月雨ともいいます。また梅雨の別称でもあります。麦畑に降り注ぐ雨は梅雨のころの情景なのです。
麦雨の類義語は？
- 入梅（にゅうばい）
- 梅雨（つゆ）
- 梅の雨（うめのあめ）
- たけのこ梅雨（たけのこつゆ） 他
春夏の雨を表現する言葉③小糠雨（こぬかあめ）
春夏の雨を表現する言葉③は、小糠雨（こぬかあめ）です。細かくて細い雨の様子を表現した言葉で、春に主に使われる表現です。量が少ない雨としての表現は霧雨や小雨などの表現もあります。
小糠雨の類義語は？
- 霧雨（きりさめ）
- 煙雨（けむりあめ）
- 小雨（こさめ）
- 涙雨（なみだあめ） 他
春夏の雨を表現する言葉④白雨（はくう）
春夏の雨を表現する言葉④は、白雨（はくう）です。夏の夕立のような強い雨が白く見える情景を表現した言葉です。白雨のほかの表現は、豪雨や夕立、神立といった言葉が使われます。ざあっと一気に降る雨を表現するときによく使われます。
白雨の類義語は？
- 夕立（ゆうだち）
- 通り雨（とおりあめ）
- 五月雨（さつきあめ）
- 俄雨（にわかあめ） 他
春夏の雨を表現する言葉⑤神立（かんだち）
春夏の雨を表現する言葉⑤は、神立（かんだち）です。夕立は夏の夕方ごろざあっと降る雨を表現した言葉ですが、神立はそれに加えて雷が鳴っている雷雨の状況を表現した言葉になります。雷が神様の使いであるという言い伝えからこのような表現になったという説もあります。
神立の類義語は？
- 積乱雲（せきらんうん）
- 夏雲（なつぐも）
- 雷雲（かみなりぐも）
- 鉄床雲（かなとこぐも） 他
日本の雨を表現する言葉の種類5選｜秋冬の雨の表現は？
秋冬の雨を表現する言葉①秋湿り（あきしめり）
秋冬の雨を表現する言葉①は、秋湿り（あきしめり）です。秋のころの長雨を表現する言葉です。秋の雨がしとしとと降り続け、地面や木々などをしっとりと湿らせる情景を思い浮かべることができます。
秋湿りの類義語は？
- 秋の長雨（あきのながあめ）
- 秋霖（しゅうりん）
- 秋雨（あきさめ）
- 秋入梅（あきにゅうばい） 他
秋冬の雨を表現する言葉②霧雨（きりさめ）
秋冬の雨を表現する言葉②は、霧雨（きりさめ）です。細くて弱い雨が降り続く様子を表現した言葉で、秋のころ主によく使われる表現です。霧のような雨で、べしゃべしゃになるというよりしっとりと衣服や髪が濡れる程度の雨のときに霧雨といいます。
霧雨の類義語は？
- 春雨（はるさめ）
- 日和雨（ひよりあめ）
- 煙雨（けむりあめ）
- 涙雨（なみだあめ） 他
秋冬の雨を表現する言葉③秋霖（しゅうりん）
秋冬の雨を表現する言葉③は、秋霖（しゅうりん）です。秋霖とは秋の長雨のことを指します。秋雨前線が停滞して長時間降る秋の雨のことを指し、秋霖前線といった言い方もあります。秋のころ長雨がしとしと降り続く様子が目に浮かぶ言葉です。
秋霖の類義語は？
- 秋入梅（あきにゅうばい）
- 秋雨（あきさめ）
- 秋湿り（あきしめり）
- 秋時雨（あきしぐれ） 他
秋冬の雨を表現する言葉④氷雨（ひさめ）
秋冬の雨を表現する言葉④は、氷雨（ひさめ）です。冬の時期凍てつく寒さの中降る氷交じりの雨のことを氷雨といいます。空気がつめたくてピンと張りつめているなか、みぞれまじりの冷たい雨が降り続く情景を思い浮かべることができます。
氷雨の類義語は？
- 霰（あられ）
- 雹（ひょう）
- 雪霰（ゆきあられ）
- 玉霰（たまあられ） 他
秋冬の雨を表現する言葉⑤鬼洗い（おにあらい）
秋冬の雨を表現する言葉⑤は、鬼洗い（おにあらい）です。大晦日に降る雨のことを鬼洗いと表現します。宮中行事に由来するといわれる言葉で、鬼を追いやる意味とのことです。なおお正月、三が日に降る雨は富正月とも言うそうです。
特定の日に降る雨の表現は？
- 冬至雨（とうじあめ）：冬至に降る雨
- 御降り（おんふり）：正月三が日に降る雨
- 薬降る（くすりふる）：5月5日に降る雨
また、下記の記事は6月上旬、中旬、下旬の季節の挨拶、季語について書かれた記事です。6月の季節の挨拶や季語について興味がある方は、下記の記事もあわせて読んでみてください。手紙の書きだし方についても紹介されています。
日本の雨を表現する言葉の種類5選｜特徴にまつわる表現は？
雨の特徴を表現する言葉・単語①天気雨（てんきあめ）
雨の特徴を表現する言葉・単語①は、天気雨（てんきあめ）です。お天気なのに雨が降っているという状況を指します。晴天の時に雨が降るなんて狐が何かしているに違いないと、狐の嫁入りという表現の仕方もあります。遠くの雨雲から雨が風にのって降ってくる状況で、空は青空なのに雨が降るという不思議な情景です。
天気雨の類義語は？
- 狐の嫁入り（きつねのよめいり）
雨の特徴を表現する言葉・名前②俄雨（にわかあめ）
雨の特徴を表現する言葉・名前②は、俄雨（にわかあめ）です。俄雨とは、少しの時間だけ降る雨のことを表します。少しの間だけ降る雨を表現する言葉として、夕立や通り雨といった言葉もあります。雨雲が急に発達する夏によく降るタイプの雨です。俄雨が上がった後の地面は蒸し暑いですが、空の色を映して美しいです。
俄雨の類義語は？
- 通り雨（とおりあめ）
- 夕立（ゆうだち）
- 肘雨（ひじあめ） 他
雨の特徴を表現する言葉・名前③村雨（むらさめ）
雨の特徴を表現する言葉・名前③は、村雨（むらさめ）です。雨が強くなったり弱くなったりして、安定しない雨の降り方をあらわします。似たような意味を表す言葉として、村時雨といった言葉もあります。刀の名前にもつけられたりしていますが、本来は天気を表現する言葉です。先の状況が読めない雨も村雨といいます。
村雨の類義語は？
- 群雨（ぐんう）
- 豪雨（ごうう） 他
雨の特徴を表現する言葉・名前④涙雨（なみだあめ）
雨の特徴を表現する言葉・名前④は、涙雨（なみだあめ）です。涙雨とは少しだけ降ってすぐにやむ雨のことを指します。少しの時間だけ降る雨という表現には、夕立や俄雨といった言葉もあります。涙のようにぽたっと降ってやむ雨という意味で、日本人の涙に対する感性が感じられます。
涙雨の類義語は？
- 通り雨（とおりあめ）
- 俄雨（にわかあめ）他
雨の特徴を表現する言葉・言い方⑤七つ下がりの雨（ななつさがりのあめ）
雨の特徴を表現する言葉⑤は、七つ下がりの雨（ななつさがりのあめ）です。午後4時以降も降り続ける雨のことをいい、なかなかやまない長雨のことを表現するときに使われる言葉です。1日中降っている雨は七つ下がりの雨という表現の仕方ができます。午前中からずっと雨で煙る景色が続く、しっとりとした情景が浮かびます。
七つ下がりの雨の類義語は？
- 秋の長雨（あきのながあめ）
- 霖雨（りんう） 他
また、下記の記事は雪の種類と名前について書かれた記事です。雪の種類と名前について興味がある方は、下記の記事もあわせて読んでみてください。降り方ごとの表現、結晶の別名、言い方などについても紹介されています。
日本の雨を表現する言葉の種類5選｜降り方にまつわる表現は？
雨の降り方を表現する言葉・種類①こんこんと降る
雨の降り方を表現する言葉・種類①は、こんこんと降るです。ずっと長く降り続けている様を表現する言葉です。雨だけではなく雪にも使われます。童謡の「ゆきやこんこん」という歌詞がありますが、これは雪が降り続く情景を表しています。
こんこんと降るの例文
- 夜半からこんこんと雪が降り続く
- 午前中からこんこんと雨が降り続いている
POINT
雨だけでは雪にも使える
こんこんという表現は雨だけでなく、雪にも使える表現です。静かに雪が降り続く様子を表現することができます。
雨の降り方を表現する言葉・種類②しとしとと降る
雨の降り方を表現する言葉・種類②は、しとしとと降るです。雨がしとしとと降るという状況は、あまり強くない雨が長時間降り続いている状況を指します。すごく強い雨が降っているというほどではないけど、傘をささないと濡れてしまう程度の雨、といった具合です。
しとしとと降るの例文
- 昨夜からしとしとと雨が降り続いている
- しとしとと降る雨でシャツがしっとりしてしまった
POINT
静かに降り続く雨に使える表現
雨の調子がどこかさみし気に静かに弱く降り続く様子です。窓を見ながらゆっくりと瞑想するときの雰囲気にも当てはまります。
雨の降り方を表現する言葉・種類③ぱらぱらと降る
雨の降り方を表現する言葉・種類③は、ぱらぱらと降るです。ぱらぱらという表現は、雨がほんの少しだけ降っていて傘をささなくても濡れるほどではないけど、まったく濡れないほどでもないぐらいの雨を指します。雨の強さとしては、雨の降り始めにぽつぽつとくる雨と同じくらいの強度です。
ぱらぱらと降るの例文
- 雨がぱらぱらと降ってきた
- ぱらぱらと降っていた雨が本格的に振り出した
POINT
雨が降りそうなときにピッタリの表現
雨がこれから降りだすぞ！という状況を表現するのにピッタリの言葉なので雨の始まりを思い起こさせる言葉です。
雨の降り方を表現する言葉・種類④しょうしょうと降る
雨の降り方を表現する言葉・種類④は、しょうしょうと降るという表現です。しょうしょうと、という表現はものさみしい様子を表現しています。雨がしょうしょう（蕭々）と降るというのは、雨がものさみしげに降る様子のことを指します。
しょうしょうと降るの例文
- 雨がしょうしょうと降る夜だった
- しょうしょうと雨が降り続いている
POINT
ものさみしい様子を表現したいときに
蕭々（しょうしょう）という言葉は、静かにさみし気にという状況を表現するときにも使われます。雨が降っていて、なおさみしそうな雰囲気を表現したいときにピッタリの表現です。
雨の降り方を表現する言葉・種類⑤ごうごうと降る
雨の降り方を表現する言葉・種類⑤は、ごうごうと降るという表現です。ごうごうとは、雨がすさまじい勢いで降っている様子を表しています。台風などの暴風雨のときに降る雨がごうごうとした雨です。激しい雨の様子が目に浮かびます。
ごうごうと降るの例文
- 台風なので雨がごうごうと降っている
- ごうごうと雨音が響いている
POINT
台風などの気象が激しいときに
台風やゲリラ豪雨など、傘をさしていてもびしょぬれになってしまうような雨を表現したいときにピッタリの表現です。
また、下記の記事は美しい古語について書かれた記事です。美しい古語について興味がある方は、下記の記事もあわせて読んでみてください。きれいな響き、かっこいい日本語の季語なども紹介されています。
日本の雨を表現した俳句・短歌は？
日本の雨を表現した俳句・短歌①五月雨をあつめて早し最上川
日本の雨を表現した俳句・短歌①は、「五月雨を あつめて早し 最上川」です。言わずと知れた松尾芭蕉の名俳句で、知らない人の方が少ないという俳句でしょう。状況を詠んだうたですが、梅雨の時期の増水した最上川の情景が目に浮かぶようです。
松尾芭蕉の他の俳句は？
- 夏草や 兵どもが 夢の跡
- 閑さや 岩にしみ入る 蝉の声 他
POINT
松尾芭蕉とは？
江戸時代に活躍した俳人で、日本を代表する俳人の一人です。日本各地を旅しながら、本質の美を詠んだ歌を数多く残しています。
日本の雨を表現した俳句・短歌②梅雨の傘たためば水の抜け落つる
日本の雨を表現した俳句・短歌②は、「梅雨の傘 たためば水の 抜け落つる」という俳句です。日本を代表する俳人の長谷川櫂の俳句です。梅雨の時期にさしていた傘をたたむと、つるつると雨水が下に滴る、そんな様子を詠んだ歌で、梅雨時の情景がありありと思い起こされます。
長谷川櫂の他の俳句は？
- 噴水の 頂の水 落ちてこず
- すりこ木で 叩いて胡瓜 一夜漬 他
POINT
長谷川櫂とは？
長谷川櫂は現代の詩人で、朝日俳壇選者です。現代の日本を代表する俳人の一人で、状況をみずみずしく詠んだ歌が多くあります。
日本の雨を表現した俳句・短歌③春雨やあひるよちよちかど歩き
日本の雨を表現した俳句・短歌③は、「春雨や あひるよちよち かど歩き」という俳句です。江戸時代を代表する俳人の小林一茶の句で、春雨が降るなか、あひるがよちよちとかどを歩く様子がほほえましい日常の情景として浮かんできます。
小林一茶の他の俳句は？
- 雪とけて 村いっぱいの 子どもかな
- 菜の煮える 湯の湧き口や 春の雨 他
POINT
小林一茶とは？
小林一茶も松尾芭蕉と同様、江戸時代の俳人です。同じく日本を代表する俳人の一人で、ほっこりとしたやさしい情景の俳句を多く残しています。
日本の雨を表現した俳句・短歌④しとしとと雨しとしとと春の雨
日本の雨を表現した俳句・短歌④は、「しとしとと 雨しとしとと 春の雨」という俳句です。明治期の俳人の日野草城の句で、ただただ春の雨が静かにしっとりと降り続く様子を表現しています。春の温かい気候の中、ゆるやかな雨が降り続く、ゆったりとしながらもどこかさみし気な情景が浮かんでくる句です。
日野草城の他の俳句は？
- 夏布団 ふわりとかかる 骨の上
- 春の夜や 檸檬にふるる 鼻のさき 他
POINT
日野草城とは？
日野草城とは昭和初期から戦後にかけての時代に活躍した俳人で、女性のエロティシズムや風景の静逸さを表現した俳句を多く残しています。
日本の雨を表現した俳句・短歌⑤雨隠り心鬱せみ出で見れば…
日本の雨を表現した俳句・短歌⑤は、「雨隠り 心鬱せみ出で見れば 春日の山は 色づきにける」という短歌です。万葉集にのっている短歌で作者は大伴家持で、雨籠りをして気持ちが沈んでいたが、外に出てみると春の山が色づいていて気持ちが明るくなったという意味の歌です。
大伴家持の他の歌は？
- 雨晴れて 清く照りたる この月夜 またさらにして 雲なたなびき
- さを鹿の 朝立つ野辺の 秋萩に 玉と見るまで 置ける白露 他
POINT
大伴家持とは？
大伴家持（おおとものやかもち）とは、奈良時代の貴族かつ歌人で、当時の流行作家のひとりです。小倉百人一首には中納言家持として歌が登場します。情感豊かな歌を多く残しています。
また、下記の記事は俳句や和歌の夏に関する季語について書かれた記事です。俳句や和歌の夏に関する季語に興味がある方は、下記の記事もあわせて読んでみてください。花の例や有名な詩の作り方についても紹介されています。
日本の雨を表現する言葉を知って雨の日も楽しみましょう
日本の雨の表現は数多くあります。また日本は季節の情景が豊かで、さまざまな風景を楽しむことができる土地柄です。日本の雨もさまざまな美しい表現であらわされているので、日本の美しい表現を知って雨の日でも楽しめるようにしましょう。
また、下記の記事は日本語のかっこいい言い回しについて書かれた記事です。日本語のかっこいい言い回しについても興味がある方は、下記の記事もあわせて読んでみてください。
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