舞台の「上手・下手」の意味と絶対忘れない覚え方は?ステージでの見分け方!
更新:2019.07.29
舞台観劇が好きな方って、時々いますよね。そこで聞かれる「上手・下手(かみて・しもて)」という言葉は、ステージや舞台用語ですが、どっちが上手で下手なのでしょうか?もっと舞台を楽しみたい方や混乱しやすい方のために、その由来や覚え方・見分け方について探ってみます。
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INDEX
舞台でいう「上手・下手」の意味とは?
「上手」は「かみて」「下手」は「しもて」と読む
「上手・下手」という言葉を、字面だけで見ると、「じょうず・へた」とつい読んでしまったりしませんか?これは実は舞台・演劇用語で、「かみて・しもて」と読みます。専門用語なので、舞台を知らない方にはあまり馴染みのない言葉かもしれません。
この「上手・下手」という言葉は、どういう意味なのか、または覚え方・見分け方、その理由など芸能を知っている演劇人などでないとわからないかもしれません。実はこの言葉、演者からしてもちょっと混乱する言葉なのです。ではなぜ混乱するのか、その理由や由来なども調べてみましょう。
「上手・下手」の意味やどっちがどっちなのかを知ると面白い
「上手・下手」とは、舞台(ステージ)上での方向(左右)が分かるように区別する演劇用語です。舞台上でこの方向がわからないと、稽古やリハーサルの時など、演者にとっては失敗の原因にもなります。左右の方向を知り、どっちの方向に動くかは演者にとって大事ですし、観る側にとっても、より面白く観ることができます。
混乱しやすい「上手・下手」の見分け方
「上手・下手」の見分け方は、客席側から見て、右側が「上手」、左側が「下手」となります。またこれは舞台に立っている演者側からすると逆になります。舞台側からは、左側が「上手」、右側が「下手」となります。聞きなれない人にとっては、何だかややこしく紛らわしいので、少し覚えにくいものです。
この演劇用語ですが、舞台やステージに立つ人にとっては、とても大事な基礎的な言葉です。これを知らないと、舞台などに立つ時には混乱を伴います。演者にとって、稽古の時から知っておくべき言葉なのです。ではそれはなぜなのか、その理由を詳しく探ってみましょう。
また、舞台観劇の時は、どんな服装で行けばよいか迷うことはありませんか?以下に、舞台観劇などでの服装についての記事がございますので、併せてご覧ください。
「上手・下手」と表現する理由とは?
舞台(ステージ)上の演者にとって左右を分かりやすくするため
「上手・下手」と表現する言葉があるのは、舞台(ステージ)での演者にとっても、指示する舞台監督や照明や音響担当の人にとっても、舞台上での左右の区別が分かるようにするためなのです。例えば監督が「上から出て下へハケて」といった時に、客席側から指示している監督と、舞台上の演者とでは向いている方向が違います。
その為、「上手・下手」がお互いに一致していないと、右だか左だかが演者にとって混乱の原因になります。監督にとって「上手」は舞台に向かって右なのに、演者からすれば監督とは逆の左の位置の方向だと思ってしまうとややこしくなってしまい、お芝居が上手くいきません。
「上手・下手」は演者にとって出ハケが分かりやすくなるという理由
「出ハケ」とは、「出」が舞台に登場すること、「ハケ」が舞台から舞台袖に消える(去る)ことという意味です。この為、「上手・下手」が双方にとって同じ意味合いと位置であれば、混乱を招くことがなく、監督の指示や出ハケを間違えず混乱せずに済むという理由があるのです。
舞台の裏側には、上手から下手(又はその逆)へ行き来できる通路があります。上手・下手の区別がつかないと、前述したように出ハケを間違えてしまう恐れがあります。もちろん稽古しながら覚えていけるのでしょうが、基本的な覚え方・見分け方がなかなかできないと、舞台に出る上で都合が悪くなってしまいます。
また、「上手・下手」が分からないのは、舞台監督の指示に即座に反応することが難しくなり、稽古が滞ってしまったり、本番の舞台などで間違えるということにも繋がるでしょう。上手・下手を理解するのは、演者にとって演じやすくするためだけでなく、監督の舞台演出などを効果的に見せるためでもあるのです。
舞台(ステージ)上の「上手・下手」の見分け方はどっちがどっち?
舞台(ステージ)上から見た場合の「上手・下手」の見分け方
まずは、「上手」が舞台(ステージ)上から見て左側ということを覚えてしまいましょう。これは、欧米の考え方なのですが、「上手」は『stage left』と言います。『left』は英語で「左」という意味ですね。反対に「下手」は『stage light』と言い、「右」という意味になります。
欧米にとっては舞台人が使う言葉なので、舞台・演者側目線なのです。でも、日本人からしたら何となく、「上手」は「右側」という覚え方の方が、馴染みやすいかもしれませんね。欧米とは、考え方の違いから言葉も違ってきてしまいます。要は、自分の覚えやすい方で良いかと思います。
客席側から見ると、舞台(ステージ)上から見たのとは逆になる!
しかし、これが客席側から見ると、舞台から見たのとは逆になります。客席側からは、右側が「上手」にあたるのです。そうするともちろん、左側が「下手」ということになります。観客からすればそれほど気にしなくても大丈夫かと思いますが、演者にとっては間違えて覚えてしまっていると混乱して大変です。
こうして「上手・下手」の覚え方・見分け方ができるようになります。これを正しく覚えていないと、客席から見てなのか舞台上から見てなのかわからなくて、稽古などの時に困るのは、前述した通りです。こうした混乱が起きないようにするため、双方の絶対的な位置づけ・概念として「上手・下手」があるわけなのです。
以下に、舞台に出演される役者の方向けに、舞台メイクに関する記事がございますので、併せてご覧ください。ステージメイクなどご参考にされると良いかと思います。
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「上手・下手」という言葉の由来は?
「上手・下手」は日本伝統の「能」や「歌舞伎」や「落語」に由来する
日本の伝統芸能に「能」や「歌舞伎」や「落語」などがあります。これらの伝統芸能では、身分の高いものが右側、つまり「上手」に座ることになっています。「能舞台」などでは、出入り口が下手側にあります。座席決めの際は、身分の高い人は出入り口(下座)から一番遠い上座に座ります。
逆に、身分の低い人は出入り口に近い「下座」に座ることになります。現代の舞台やステージでの「上手・下手」と同じですが、その理由はこうしたことに由来するようです。
日本文化の「上座・下座」からという説による由来
また、日本文化の「上座・下座」から生まれたものという説もあるようです。「上座」はお客様や、会社でしたら社長など、大事な人が座る位置として常識的ですね。また、日本の天皇は、南に向いて君臨すると言われ、北側から南側を見ると、東側は「左」になり西側は「右」に来ますね。昔から「左」の方が位が高いのです。
天皇の次に高い身分は大臣です。「右大臣」「左大臣」とありますが、「左大臣」の方が位が上で、天皇から見て「左」になります。昔の日本の身分でも、立ち位置は左側が上位とされていたのです。また、太陽の上る方角が、北側から見て左側であることにも由来するようです。
舞台で家のセットがある場合玄関はどっちにあるか決まっている
また、こうした理由からか、舞台上で家のセットを作ったときに、その家の玄関は大抵、下手側にあるはずです。そして、部屋や客間などは右手側の奥の方などにあると思います。昔に放送されていた「ドリフターズ」の番組での家のセットを使ったコントなどでも、こうした方法が取られていましたね
演劇などのほか、歌舞伎に関心のある方もいらっしゃるかと思います。以下にその関連記事を載せますので、併せてご覧になっていただけ、ご参考にされますと幸いです。
「上手・下手」の覚え方は?
客席側から見た「上手・下手」の絶対に忘れない覚え方
客席から見た場合の覚え方・見分け方は、これまで読まれてきた方には比較的わかりやすいかと思います。一般的には右利きの方が多いと思いますが、その利き腕の右手側が「上手」という覚え方で良いでしょう。左利きの方は反対側です。また、後述しますが、花道のある位置でも「上手・下手」の見分け方がわかります。
学校の体育館にあるピアノの位置による「上手・下手」の覚え方
皆さんの学校にある体育館にも舞台(ステージ)がありましたよね。その舞台上には、ピアノがありませんでしたか?そのピアノですが、どこの学校でもきっと、大抵は舞台に向かって左側にあったと思います。舞台上のピアノは、下手にあるのが普通です。ですので、ピアノがある方が「下手」というのも一つの覚え方です。
舞台の花道が下手側にある理由からの覚え方
そういえば、舞台には「花道」というものがあります。これもなぜか、下手側にあるのです。観客側からしたら、花道が真ん中にあれば、誰にもより見やすく嬉しいと思うのですが、なぜ下手側なのでしょうか?
これも諸説あるようですが、「花道」は出入り口にあたります。その為、その一番奥の上手側に、上の立場の人がいた方が舞台の演出上の都合もあるかと思いますが、バランスが良くなるためでもあります。日本の伝統芸能である「歌舞伎」も花道があり、同じように花道は下手側にあり、その習慣はしっかりと残っています。
もし舞台観劇に行くときには、出演される役者さんに何か差し入れを、と思うことがありますね。そんな時のためにちょうどよい記事がございますので、併せてご覧ください。
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覚え方や見分け方は、芸歴の浅い役者なども混乱し覚えにくいものです。ましてその由来なんて、と思いますが、知っておくと知識が増えることにより、より覚えやすくなりますね。観客としても、覚えておくと観劇などの時に、どうしてこういう表現演出になっているのか理由がわかり、楽しさ・面白さも増すかと思います。
単に、舞台役者やステージアーティストのみが知っていれば良いということではなく、観る側も知っておいて欲しいと思うのは、こうした理由からなのです。こうした知識があると、舞台などを観た時に、「なるほど!」と思うことがあるかもしれません。これを機に、より舞台やステージを楽しんでもらえたら幸いです!
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