
以降と以後の違いは?当日は含むか含まないかどっち?|意味と使い方も
更新:2019.06.21
みなさんは「以降」と「以後」を正しく使い分け出来ているでしょうか。文章を書いている時、話している時、ふと「どっちだったかな?」と、使い方に悩んでしまう紛らわしい言葉ってありますよね。これらはある特定の時点を基準点としてその後のことを表す言葉です。これらの違いをご存知でしょうか。
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INDEX
「以降」の意味・使い方・使い分けのポイントは?|以後との違い
「以」の意味とは

普段何気なく使っている「以降」という言葉ですが、今回は言葉を分解して徹底的に考えてみたいと思います。つまり、「以」と「降」です。まず、「以」の意味を見てみましょう。「以」は 範囲・方向などの基点を示す。それよりの意味です。「以上・以前・以東・以外・以来」などといったように使います。
算数で使う、「以下・以上」「未満・より大きい」を覚えていらっしゃいますか。記号でに言うと「≦・≧、<・>」となります。算数の定義では「以下・以上」はその数字そのものを含み、「≦や≧」にあたります。「このイベントは3人以上で参加してください」と言われたら、3人でも参加できるということになります。
一方、「未満・より大きい」はその数そのものを含みません。例えば遊園地などで「この乗り物は6歳未満のお子様は大人の同上が必要です」と書かれていたとします。この場合、6歳は含まないので満6歳になっていれば一人で乗り物に乗れるということになります。
「降」の意味とは

次に「降」について、①高い所からおりる。くだる。という意味があります。他に② 空からふる。③ 位などをさげる。「降格・降給」(物理的な上下ではなく地位が下がること)④ 負けて従う。「降参・降伏/投降」という意味があり、最後5つ目に 「その時からあと」という意味があります。これがまさしく「以降」です。
なお、「おろす」では「降」の他に「下・卸」があります。これらの使い分けはいかがですか。「降」は「乗り物からおろす」、「高い所から低い所へ移す」、「辞めさせる」、「下」は「上から下へおろす」、「卸」は「卸売」など「問屋が小売店におろす」を表します。「卸」が一番違いが分かりやすいですね。
「降・下」はどうでしょうか。「下」は位置的、物理的な上下を伴うことが多く、「切り落とす・引き出す・新しくする」という意味もあります。詳しくは文化庁のホームページに異字同訓の使い分けについて文化審議会国語分科会の報告書が掲載されていますので参考にしてみてくださいね。
異字同訓の言葉の使い分け「以降」の使い方|以後との違いは?

「以」「降」二つの意味を合わせ、「以降」は「その時(基準となる時)からあと」を表します。例えば「3時以降は手が空いております」「2017年以降彼は優勝していない」といったように使います。その後の経過や状況すべてに重点を置いており、何らかの名詞に付属して使われています。
では「以後」はどうなのか考えていきたいと思いますが、ここで両者の違いを考える前に、一つ知識としてビジネスシーンでは的確に使い分けたい言葉を「御社・貴社」についてもご紹介しますので併せてご確認ください。
「以後」の意味・使い方・使い分けのポイントは?|以降との違い
「後」の意味とは

「以後」を詳しく考てみましょう。まず、「後」の意味を考えます。①人の背面側。これは「後ろ」や「後方」という意味ですね。②ある時点からのち。「その事件より後の記憶がない」といったように使います。他には、連続する物事の次、後方の部分。これは「後妻」「後日」というように使われています。
また、残されたもの。という意味もあります。「後がない」や「後始末」というように使われますね。「後に残る味だ」というように余韻や名残を表すこともあります。このように「後」一つとってもこれだけの意味や使い方があります。考えてみると「後」という一文字にしても奥が深いですね。
「以降」に使われている「後」は上記の②「ある時点からのち」という意味になります。ただ、これだけ読むと、あれ?「以降」と変わらないぞ?と感じるかもしれません。普段、「以降」も「以後」も同じような使い方をしていませんか?両者に違いはあるのでしょうか。
「以降」との違いは?

両者に違いはあります。それは「以後」はある時点(基準点)に重点が置かれているということです。「以降」は「ある出来事(基準点)」よりあとの状況・経過も重要で、指し示す「時間的幅」があるのに対し、「以後」は基準点に重きが置かれ、その時よりあとを表します。
つまり、それぞれの違いは時間的な範囲が異なるということですね。「以降」の方が時間的な範囲が長く、それに対し「以後」は基準点のスポット的な時間で幅が短いのです。端的にいうと「以降・以後」の両者の違いは表す「時間の幅」ということになります。
以降と以後では、ここでまた一つ使うときに一瞬考えてしまうような紛らわしい言葉「承る」についてご紹介します。賜るや了解・了承との違いを覚えておくと便利ですし、会話の流れもスムーズになりますよ。きっちり言葉が使えるとうれしいですし、周りからも見直されるかもしれませんよ。下記の関連記事をご覧下さい。
「10日以降」は10日を含む?含まない?
「〇〇日以降」の使い方

わかりやすく例文により考えてみましょう。「社長は10日以降は出張のため不在にしております」という状況の場合です。この場合10日(基準点)以降は「不在である」という状況が継続して続き、10日というその日だけでなく、「社長不在」を継続する状況を相手に伝えたい重要事項として示唆しています。
このように「以降」は基準点の後ろが話し手の重要視したいところなので「1980年代以降の東南アジアの近代化は目覚ましく…」というように基準点以降の話題を広げるときは「以降」が適していると言えます。話を広げるときは「以降」を使う。と覚えておくだけでもとっさの判断ができますよ。
ここで一息、「以降・以後」と同様に合わせて覚えたいビジネスで役立つ言葉について下記にご紹介します。使い分けができると仕事で役立つのはもちろん、会話に自信が持てます。漢字では1文字でも意味が複数あることも少なくありません。友達ならまだしも仕事の取引先等で恥をかくわけにはいきません。ぜひご確認ください。
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「〇〇日以降」は当日を含むの?含まないの?

さて、ここで気になるのは基準点である10日を含むのか含まないのかという点です。実は、これは法令用語でもあるんですね。答えは「基準点のその時を含む」です。つまり10日も含まれるということですね。「以」という字は「基準点を含む」という意味があるのです。
これは前述した算数の時と同じ考え方ですね。「以」がついている時はとの数字を含む。これは時間でも同じなのです。「6月1日以降」と書いてあったら基準点である6月1日も含むことになります。
では、他の使い方も見てみましょう。「3年前の大会以降、新記録が出ていない」「あの出来事以降、彼は無口になった」というように使うこともできます。これら二つは特定の〇日、〇月、〇時など厳密に特定した日付、時間ではありません。「以降」はこういった場合にも使うことができます。
「10日以後」は10日を含む?含まない?
「〇〇日以後」の使い方

「以後」を使った例文で考えてみましょう。「彼は10日以後は正社員と同じ待遇で仕事ができる」を考えてみます。「以降」のように10日(基準点)よりあとのことを説明しています。「10日」よりあとは正社員と同じ待遇という状況になるということですね。
「以降」と「以後」の違いは前述しましたが、この例文では「以後」を使っていますので、重要なのは「10日」という基準点です。「以降」よりも基準点に話手の重きが置かれています。その他に「以後」には「以後気を付けます」というように現在を基準点とする使い方もあります。「以降気を付けます」とは言いません。
「〇〇日以後」は当日を含むの?

「以」をという字を使っていますので当日を含みます。ですから前項の例文「10日以後」は10日も含むということになります。これは「以降」と同じですね。この文章が「10日より後」となると10日は含まないので気を付けましょう。
「以降」でご紹介した例文を「以後」に変えてみましょう。「あの出来事以後、彼は無口になった」この場合、10日も含み、「以降」とは異なり「10日」という基準点にスポットを当てています。小説などを読んでいても「以降・以後」はたびたび出てきます。見つけてみると面白いかもしれませんね。
日本語は一文字違うだけで微妙にニュアンスも変わり面白いですよね。だからこそ外国の方には難しいと捉えられるのかもしれません。奥が深い日本語ですが、その日本語のかっこいい言い回しについてもチェックしていきましょう。
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「以来」の意味・使い方は?
「以来」の意味

QUOTE
【以来】①ある一定の時から今日に至るまでずっと。爾来(じらい)。 「気象庁開設-の記録的豪雪」 「卒業して-会っていない」②こののち。今よりのち。以後。 「 -屹度心得まする/湯島詣 鏡花」。 引用元:https://www.weblio.jp/content/%E4%BB%A5%E6%9D%A5
この2つが「以来」の意味です。②の「以来」は「以後気を付けます」という「以後」の使い方と同じように、現在を起点とし、その後を表しています。では、「以来」は「以降・以後」と同じように基準点を含むのでしょうか、含まないでしょうか。もし、わからなかったら前に戻って確認してみてくださいね。
答えは「以」がついているので「以来」も基準点を含む、というのが正解です。ただ、「以来」には「以降・以後」にはない特別なニュアンスがあります。「1990年以来の快挙だ」というような文の場合、「以降・以後」を使うことはありません。時間的な範囲において、その状況が突出していたり甚だしい状況にも使われます。
「以来」の使い方|時間の範囲は?

では、他の例文でも確認してみましょう。「みんなで集まるのは卒業式以来だ」「それ以来彼は試合で負けなしだ」共に、「卒業式」、「それ」という時間的な基準点があり、その後から現在まで動作や状況が続いていることを説明しているのがわかりますね。
つまり、時間的範囲は基準点から現在までと「以降」と同じようにある時点からの時の経過に重点を置いており、「以後」にくらべて長い時間の範囲を示します。
最後に間違えやすい言葉11選をご紹介します。「以降・以後・以来」はもちろん全て確認してビジネスはもちろん、目上の方との会話、改まった場での会話で役立てましょう。
「以降・以後・以来」三つの言葉を使い分けよう

では、最後にまとめてみましょう。まず、3つとも基準となる時を含みます。そして「以降・以来」は基準となる時からの経過に重点があり、時間的な範囲があります。「以後」は時間的経過は重要ではなく、基準点に重点が置かれています。「以来」は過去の基準点から状況や動作が現在まで続いていることを表わします。
一方、「以降・以後」は過去の基準点からそのあとを表し、未来についても表すことができます。例えば「来週の月曜日以降は(以後は)」という使い方もしますね。「以来」にはこのような使い方はありません。それは「以来」は時間の終点が「現時点」にあるためです。「以来」は時間の範囲の終りが「現在」と明確なのですね。
そして「以後・以来」は単独で使うことが出来ます。「以来(以後)気を付けるようにしている」というようにです。「以降」は何らかの名詞に付属して使うことがほとんどで、単独使用はありません。いかがでしょうか。似た言葉でも使い方や表す時間の範囲が異なります。ぜひお仕事や日常生活に生かしてみてくださいね。
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