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「手前ども」は正しい敬語?意味や例文・使い方・類語も紹介!【状況別】

更新:2019.06.21

「手前ども」という表現、よく耳にしますね。よく聞きはしても、曖昧な意味しかわからないままだと、相手に失礼な敬語になってしまうかもしれません。この機会に、きちんと意味を把握して、ビジネスの世界でも通用する敬語を身につけておきましょう。

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「手前ども」の意味

「手前ども」の意味①:謙譲の気持ちをあらわす

会社

「手前ども」という言葉を耳にされたことがありますか?これはれっきとした敬語です。敬語には丁寧語、尊敬語、謙譲語がありますが、「手前ども」は謙譲の意味があります。最近は、「私ども」「弊社」という言葉を使うことが多いのですが、意外にも、ビジネス用語で、新人研修マニュアルに書かれていることもあるのですよ。

使用頻度の高い「わかる」の尊敬語・謙譲語・丁寧語について知って、ビジネス用語にさらに詳しくなりましょう。下記の記事も参考にしてみてくださいね。

「手前ども」の意味②:一人称の複数形

打合せ

「手前ども」は、私たち、私どもという意味です。「手前」は自分の目の前、転じて一人称「私」を指すようになりました。「ども」がつくと、家、店などの組織をあらわします。“手前”転じて、“てめえ”という、少々ガラの悪い二人称もありますが、本来の意味は、自分側をさしつつ、謙虚さをアピールしたものです。

「手前ども」は敬語として使える?

手前どもは敬語として使えます

日本

耳慣れない言葉ですが、古式ゆかしき日本語です。古めかしさもあり、使うときに、なんだかギクシャクてしまいそうですね。でも敬語として現代の日本語の辞書に載っています。カナダからの留学生が、意味もわからず使っていたことを思い出します。日本語の繊細で豊かな響き、ニュアンスのは、外国人に魅力があるようですね。

一瞬、「何?時代劇?」と、思いますよね?この一人称は現代もののドラマでは、まず聞いたことはありません。大河ドラマなどの時代劇では、商人などがよく使います。普段耳慣れない言葉ですが、自分の側をへりくだり、相手を持ち上げる言葉です。取引をスムーズにするために、相手を立てて謙虚さを示す知恵なのでしょうね。

「手前ども」の正しい使い方と例文①(電話・会話編)

「手前ども」の使い方①手前どもは代々和菓子を扱う店です

手前どもは代々和菓子を扱う店です

この例文は、初対面、あるいは初めて電話をかけた相手に、自己紹介として使います。社名、担当者名を伝えた後に、こちらが何者かを説明するために使用します。「私ども」「弊社」と同じ意味ですが、古風な響きが奥ゆかしい印象になり、初めての取引先では特に、好印象になります。重要な取引相手にも使うのがおすすめです。

直接会話するとき、電話をかけるとき、相手への敬意のあらわれとして「手前ども」を使います。敬語の中でも謙譲語は、自分の側をヘリ下り相手を立てる意味があり、謙虚な印象を与えます。敬語を正しく使える人が少ない現代は、上手に使いこなせると、先方に強い印象を残すことができるでしょう。好感度も上がります。

自己紹介時の使用例:「手前どもでは、代々米の商いをしております。」「手前どもは皇室御用達の店です。」「手前どもでは、最高の材料にこだっております。」

「手前ども」の使い方②手前どもはこのように企画いたしました

「手前ども」会話編

この例文は、商談の席で、担当になったビジネスマンが、自社のアイデアを提示した後に使います。企画書を見せて説明した後、相手の決断を促すのは、担当者の印象であることが多いものです。そういう場合好感度を上げるために使います。押すことが必要な場面であるからこそ、奥ゆかしさが後押しする効果は大きいといえます。

ビジネスでは「手前どもは、このように企画いたしました。」という提案に始まって、「この点は、手前どもの得意とするところです。」というアピール、「ぜひ、手前どもにお任せください」というクロージングまで、あらゆる交渉に活用できます。古風で丁寧な響きに熱意が加われば、説得力を増し、最強の敬語と言えそうです。

交渉時の使用例:「その点なら、手前どもの得意とするところでございます。」「手前どもなら、こういった対応も可能ですが、いかがでしょうか?」「ぜひとも、手前どもにお任せください。」

「手前ども」の使い方③手前どもはこのご縁を大切にいたします

手前どもはこのご縁を大切にいたします

契約が決まり、相手に感謝を伝えた後に使える例文です。数ある企業の中で自社を選んでいただいたことへの感謝と共に、「担当として全力を尽くします。」「何かあれば、責任をもってフォローいたします。」という誠意を伝える言葉です。ビジネスだけではなく、婚礼などの冠婚葬祭でも、好印象を残す言葉として使えます。

契約はしたものの、相手企業のその後のフォローがなかなか行き届かず、不満になる声をしばしば聞きます。おそらくアフターフォローが、契約先の一番心配する点ではないでしょうか?この言葉は、相手に安心感を与えます。「手前」の持つ「何時でも貴方の前にとんでいきます」というニュアンスは、先方に頼もしく伝わります。

契約成立後の使用例:「手前どもは、次回A様にお会いできるのを楽しみにお待ちしております。」「お困りごとの際には、どのような小さなことでも、手前どもにお声がけください。」「手前どもが全力でバックアップいたします。」

「手前ども」の使い方例②(メール編)

「手前ども」の使い方①この度は手前どもの求人にご応募くださりまして


この度は手前どもの求人にご応募くださりまして

採用の返事を送る出だしの言葉で、この後お礼、そして合否のお知らせが続きます。手紙、メールどちらでも使えます。この場合の「手前どもは」、自社を選んで応募した人に対しての敬意と、礼儀正しい対応を感じさせます。たとえ不採用の場合でも、まずは相手を尊重し、礼儀正しく扱う心を大切にした言葉です。

「手前ども」は、文書にする場合などは、特に礼儀正しい印象になります。メールや手紙は、後に残るものであり、繰り返し読まれます。また、文章だけで人間性を評価されます。相手に「誠意ある担当者だな。」「こちらを大切にしてくれる。」という印象を与えれば、その後の会社のイメージもアップするのではないでしょうか。

お知らせ時の使用例:「この度は手前どもの企画にご賛同くださり、誠にありがとうございました。」「手前どもへ、お問い合わせありがとうございます。」「手前どもで検討いたしました結果、不採用となりました。」「ご多忙の中、早速手前どもにご連絡をいただき、大変恐縮でございます。」

「手前ども」の使い方②手前どもの不手際でご迷惑をおかけいたしました

手前どもの不手際で

トラブルが起こり、ご迷惑をおかけした場合に、謝罪の気持ちを込めて使う言葉です。ご不快な思いをさせたこと、また、お手間を取らせたことへのお詫び、「二度とこのようなことのないように善処いたします。」という意味を込めて使います。クレーム時はチャンスです。誠実さを伝え、その後の人間関係もスムーズにできます。

「手前ども」には、あくまでも下から、相手を持ち上げるというニュアンスがあります。私は未熟者ですから、あなたにお教えいただきます。そんなふうに、決して相手の上に立ちません!という意味です。これは相手の自尊心をくすぐる効果があります。自分が尊敬されていると感じて、嫌な気のする人など、まずいないですよね。

謝罪時の使用例:「手前どもとお取引いただき、誠にありがとうございます。」「この度は、手前どもの不勉強でご満足いただける結果とならず、誠に申し訳ございませんでした。」「誠に申し訳ございませんが、手前どもではお力になることが出来かねます。」

「手前ども」の使い方③あらためて手前どもよりご連絡を差し上げます

「手前ども」メール

こちらの例文は、詳細がまだ決まっていない場合、または問題点を改善してから、再度ご連絡をさしあげますという意味の例文です。日程をこれから調節する場合や、何らかの急な予定変更があった場合、トラブルが起こりそうな点を見つけたのでまず改善が必要な場合、「しばらくお待ちください。」と丁寧にお願いする言葉です。

この例文を使う時は、先方をお待たせするときです。相手方に、再び連絡を差し上げるまで、お待ちいただく約束をする時に使用します。「少々遅れます」と書くだけでは気分を害されるかもしれませんね。大切なお客様なので、最大限努力して最高のものを提供します、という意味を伝えるのに、「手前ども」が生きてきます。

再連絡約束時の使用例:「手前どもにて善処いたしますので、ご了承いただけますと幸です。」「一週間後に、手前どもよりご連絡を差し上げますので、少々お時間を頂戴してよろしいでしょうか?」

「手前ども」を使うときの注意点は?


「手前ども」を使うときの注意点①:謙譲語として使う

慣れない敬語づかいをどうするか

同じ敬語でも、タイプが違います。「私ども」が丁寧語。「手前ども」は謙譲語。相手を尊重するのと、相手を立てるのとは、微妙に違いますね。若いビジネスマンだと、「私ども」を使ったほうがさわやかに聞こえますが、「手前ども」のようなワンランク上の謙譲語を使いこなせると、一目置かれることになるかもしれませんね。

ただ、相手を立てようとするあまり、ついついやりすぎてしまうことが注意点。例えば「手前どものほうで努力させていただきました」なら「させていただく」は不要で「いたしました」がスマートです。商談の場では自分をアピールしたいものですが、過ぎたるは及ばざるがし如し。敬語を使いすぎていませんか?要チェックです。

「手前ども」を使うときの注意点②:恐れずに慣れること

ドキドキ…おちつけ。

使い慣れない言葉だと、ついギクシャクしてしまいがちですよね?でも、形より心だと思います。まだ若い人の場合は、相手を立てる気持ち、丁寧に接する気持ちさえあれば、多少の失敗などは愛嬌の内です。それよりも相手は、あなたの礼儀正しい態度、明るく親しみやすい雰囲気、人間的な魅力などに、いい点をくれるはずです。

まずは慣れることです。老舗旅館の番頭さんや、銀行マンなど、彼らは正しい言葉遣いと完璧な敬語の専門家です。プロから聞く「手前ども」は丁寧な扱いを受けた印象が残り、高い国語力を感じますね。まだ慣れないうちは、そういう方の言葉遣いを、しっかりメモしましょう。そして怖がらずに使ってみましょう。まず練習です!

「手前ども」の類語

「手前ども」の類語①:「私ども」「弊社」など

弊社で検討いたします。

一人称の複数形ですので、「私たち」という意味で、自分の属する企業やグループなどの組織をあらわす言葉です。一番よく聞くのは「当社」でしょうか。比較的現代風の敬語です。「当社」でも違和感はありませんが、ここはぜひ「手前ども」と、ワンランク上の謙譲語を使って、あなたの教養をアピールしましょう。

一人称複数形ですから、他にも「私ども」「我々」「 弊社」 「 弊方」などの言い方があります。普通にビジネスシーンで使われている言葉です。「手前ども」という言葉には古さがあり、違和感がある方も多いかと思いますが、「いつでもあなたの前にいます」という意味、お客様を大事にする商人の心意気を感じさせますね。

さて、この「手前」という言葉ですが、一人称の他に、「すぐ目の前にあるもの」という意味も持っています。この場合は、終わったばかりのものを「先(さき)」すぐあとにくるものを「次」と表現します。これは外語にはあまり見当たらない使い方。同じ言葉でも、いく通りもの意味を含んでいることが、日本語の面白さですね。

「手前ども」の類語②:「てめえ」は変形

そんな言葉は使っちゃいけません

一人称だと、とても奥ゆかしい響きを持つ「手前」ですが、二人称だと少々品下れる表現になります。あなたもよく耳にされる「てめえ」という言葉です。「我れ」「己れ」も一人称だと賢そうに聞こえるのに、二人称になった途端なぜか品がなく、相手を見下す、相手に向かって言うのがはばかられる言葉になってしまいますよね。

『古事記』の中でも、スサノオノミコトが、オオクニヌシに向かって「意礼(オレ)」と呼びかける箇所があります。一人称の「俺」です。尊敬する相手には「彼方」=「あなた」のように距離をとって表現し、見下す、あるいは威嚇する意味で、距離の無い一人称が使われていました。「てめえ」はその流れを汲む表現のようです。

ところで「手前」で一番有名なのは、自画自賛を意味する「手前味噌」ではありませんか?正確には「手前味噌を並べる」で、昔、自家製の味噌を並べて自慢したことからの故事成語です。この場合「手前」は一人称ですが、品のよさはやはり心の持ち方で決まるようです。つい家族やペットの自慢をしてしまう時には、要注意です。

「手前ども」と間違えやすい単語

「手前ども」と間違えやすい単語①:「みども」

あ、まちがえちゃった!

時代劇に「みども」という一人称があります。「ども」がついているので間違いやすいですが、これは一人称。自分だけをさす言葉ですから、「私たち」という複数形の意味で使うのは間違いです。侍が使う印象があり、少々偉そうに聞こえますが、この場合「ども」は「身」=「自分自身」をへりくだって表現するために使います。

「みどもは○○と申す。」の場合、「みども」は「私」を指します。「拙者」という時の「つたない私」という謙遜と同じ意味で使います。

「手前ども」と間違えやすい単語③:「働けども」の“ども使い”

ショック!

「働けども」など、逆説的なことを述べるときに、使われる言葉です。この場合は複数形ではなくて、接続詞です。前につく単語によっては、複数形と間違えるケースがあります。動詞の下について通常起こりうる事象を否定する意味に使われます。「手前ども」とは「ども」遣いが、まったくちがうのです。

「手前どもが」自分側をへりくだり、相手を立てる使い方なのに対して、この場合は「盗賊ども」「罪人ども」など、蔑称として使われます。自分が上で相手を下に置きます。個人的に私は、人に向けて「〇〇ども」という表現が好きではありませんね。目下相手だとつい使ってしまいますが、蔑称ですからお気をつけ下さいね。

「手前ども」でワンランク上の敬語美人になろう!

何事も勉強ですね。

「手前ども」は、ビジネスメールや、プライベートでも目上の方への通知書など、あらゆる文書に活用できる最強の敬語と言えそうです。

「手前ども」は、少しばかりイレギュラーかもしれませんが、現代の若者は、総じて敬語が使えないといわれています。日本にある代表的な“美しいもの”といえば日本語なのに、とても残念な気がしますね。もっと積極的に使ってみたらいかがでしょうか?ワンランク上の敬語美人として、奥ゆかしい印象を残すに違いありません。

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