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「先般」は正しい敬語?意味や例文・使い方・類語も紹介!【状況別】

更新:2019.06.21

「先般」という言葉は、どういう意味かご存知でしょうか?今までに目にしたり耳にしたことはあるものの、どう意味かと聞かれると説明出来なかったりしませんか?「先般」の意味、正しい敬語かどうか、使い方や例文、類語について調べてみました。

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「先般」の意味

「先般」の意味①:「このあいだ」という意味

この間

「先般」の一つ目の意味は、「このあいだ」という意味です。「先般」という堅苦しい言葉を、「このあいだ」に置き換えて考えてみると、よく意味がわかるのではないのでしょうか?「先般は、お忙しい中ありがとうございました。」は、「このあいだは、お忙しい中ありがとうございました。」という意味です。

「先般」を日常会話で使うことがあまりないため、難しい言葉のように感じますが、「先般」は、「このあいだ」が少しあらたまった言葉なのだと考えてみましょう。「このあいだ」に関しては、以下の記事も参考にしてみてください。

「先般」の意味②:「近い過去の出来事」の意味

近い過去

「先般」という言葉は、「先」と「般」で二つの意味を持ちます。「先」は、「現在から近い過去をあらわす」という意味です。「般」は、「ある局面をあらわす」という意味です。この二つの字を組み合わせて出来ている「先般」は、「近い過去の出来事」を表す言葉となっています。

例えば「先般行われた会議」の「先般」は、どういう意味なのでしょうか。先ほど説明したように、「先般」を「このあいだ」に置き換えてみましょう。「このあいだ行われた会議」とは、何を指すのでしょうか。

この「先般」は、例えばA社とB社の商品開発のために行われた会議など、最近おきた出来事という意味で使われています。何年も前におきた出来事ではなく、近い過去におこった出来事をさしています。

「先般」は敬語として使える?

「先般」は敬語として使えます

敬語

「先般」は、「このあいだ」「最近または近い過去の出来事」のかしこまった言葉です。目上の人に敬語として使うことが出来ます。友達同士や家族のあいだではあまり使われませんが、ビジネスでは頻繁に使われている敬語です。


日常生活で「先般」を目にする機会は少ないですが、ニュースや新聞記事で見かけたりしませんか?公の場では、「このあいだ」のようなくだけた言葉より、あらたまった敬語である「先般」の方がふさわしいですよね。以下の記事も参考にしてみてください。

「先般」の正しい使い方と例文(電話・会話編)

「先般」の使い方①ビジネスシーンで使う

ビジネス

「先般」は、いわゆるビジネス敬語とよばれる言葉の一つです。主にビジネスシーンで使われています。使い方について特に難しく考えることはなく、「このあいだ」や「最近おこった出来事」の意味で使えばよいのです。

例えば、あなたが数日前に自分の開発した商品を展示会で発表したとしましょう。展示会場に来てくれた友達へのお礼の電話は、「このあいだは忙しいのに来てくれてありがとう。」となりますよね。さて、取引先の会社の人が来てくれた場合は、どういうお礼の言葉を言えばよいのでしょうか?

やはり、取引先の会社の人へは、少しあらたまった敬語を使う必要がありますよね。「先般は、お忙しいなかご足労いただいてありがとうございました。」「先般は、わざわざお越しいただきまして、誠にありがとうございました。」などが適切です。

「先般」の使い方②期間の決まりなく使えます

期間

「先般」は、近い過去の出来事をさします。「先般」がどのくらい前の出来事をさすかについては、特に決まりはありません。ただ、ほんの数時間前のことや、逆に1年以上前の出来事は「先般」とは言いません。

「先般」の期間の目安は、数日前から数週間前、およそ1~2か月以内です。「先般の件」と言われた時、自分も相手もすぐ思い出せる程度の過去の出来事について使います。はっきりとした正確な日付を忘れてしまっていても、「先般は、」と言えば誤魔化すことが出来る便利な表現でもあります。

「先般」の使い方③「先日」との使い分け

先日

「先般」の同義語に「先日」があります。「先日」の意味も、「先般」と同じく「このあいだ」という意味です。「先般」が硬い印象で、ビジネスの場で多く使われる敬語であるのに対して、「先日」はフランクな言葉であり、会話では「先日」のほうが多く使われます。

厳密に意味を使い分けるとすれば、「先般」は過ぎた「出来事」の意味で使い、「先日」は過ぎた「日」をあらわす言葉として使うのが正しい使い方です。「先日は、大変ご迷惑をおかけいたしました。」の「先日」は、少し前の迷惑をかけた日をさし、「先般は」とすると迷惑をかけた出来事をさします。

しかし、実際は「先般」も「先日」と同じ意味で使われているのが現状です。「先般は、ありがとうございました。」と「先日は、ありがとうございました。」は同じ意味といってもいいでしょう。以下の記事も参考にしてみてください。

「先般」の正しい使い方と例文(メール編)

「先般」の使い方①本文の書き出しに使う

メール

ビジネスレターでは、前文として時候の挨拶と感謝の言葉を書き、本文として用件を伝えます。その際、前文からいきなり本文の用件を書き出すと唐突な印象になってしまいます。

例えば、「時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。日頃よりご愛顧を頂戴いたしまして感謝申し上げます。」という前文のあと、「弊社工場での事故におきましては、貴社に多大な迷惑をおかけいたしましたことを深くお詫び申し上げます。」と本文を続けてみましょう。

これでも意味は通じますが、突然話題が切り替わるので読み手は戸惑ってしまいます。このとき本文の書き出しに「先般の弊社工場での事故におきましては、」と「先般」を添えることで、読み手は「あの時の事故」の出来事を連想し、理解しやすくなります。

「先般」の使い方②「このあいだ」という意味で使う

このあいだ

「先般」を自分で使うには難しい敬語だな、と感じる前に、「このあいだ」と同じ意味で使ってみましょう。すると、いろいろなところで使える便利な表現だな、と感じるはずです。

「このあいだは、当社の新商品のご契約をいただき誠にありがとうございました。」「このあいだ引越しをいたしました。」より、「先般は、当社の新商品のご契約をいただき誠にありがとうございました。」「先般引越しをいたしました。」と書くと、だいぶあらたまった言い方だという印象を受けますよね。


テレビのニュースでも「このあいだ実施された慶応大学での実験で、」「このあいだ報じられた〇〇問題について、」という言い方より「先般実施された慶応大学での実験で、」「先般報じられた〇〇問題について、」というように「先般」を使っています。このように「このあいだ」を敬語表現に変えたい時、「先般」を使います。

「先般」の使い方③「出来事」の意味で使う

出来事

「先般のとおり、今回新商品を発売いたします。」という例文をみてみましょう。ここでの「先般」は、過去に新商品の発売に関して何らかの話し合いがあったことや、連絡をしていたことを意味しています。

「先般」を使うことで、以前の出来事についての長い説明を省くことが出来ます。ビジネスメールで頻繁に使用されるのは、短い言葉でこちらの意見を伝えられる敬語表現だからでしょう。以下の記事も参考にしてみてください。

「先般」を使うときの注意点

「先般」を使うときの注意点①:「出来事があった日」ではありません

日

「先般」は、「先日」と同じように使われていると先ほど説明しましたが、やはり基本的には、過ぎた日をさすのではなく過ぎた出来事をさすということを気に留めておいていただけたらな、と思います。「先般」を「あの日」「あの時」のように使うと、やはり少し理解しづらい表現でもあるのです。

「先般の会議を踏まえまして、当社はこのプロジェクトを推進する予定であります。」「先般の通り、誠に申し訳ございませんが次回の契約は見送りさせていただきたます。」の「先般」は、以前行われた会議や、すでに話し合われた出来事を簡略化した表現として使われています。過去の日にちではなく、過去の出来事の意味です。

「先般」を使うときの注意点②:「具体的な日」をさしていません

日

「先般の件」は、「〇月〇日の〇〇の件」という具体的な言い方ではなく、「この前の会議で話しあった件」「このあいだ契約について話し合った件」など漠然とした意味で使われます。かしこまった敬語表現ではありますが、あいまいな言い方ですのでなんとなく手抜きした表現のようですよね。

あいまいな表現が気になる方は、「先週の件」「一昨日の件」などなるべく具体的な言い方をするほうが良いのかなと思います。ビジネス敬語だからと無理に「先般」を使う必要はありません。「先週は、ありがとうございました。」とするほうが良いでしょう。以下の記事も参考にしてみてください。

「先般」の類語

「先般」の類語①:「過日」

~の際

「先般」と同じように使われる言葉には、「過日」があります。「先般」と同様に過ぎ去ったことを意味する言葉であり、やや硬い表現で口語よりメールや文書で使われる言葉です。また「過日」は、「先般」よりも昔のことについても使用できます。

「先般」が数日前から1、2か月前のことをあらわすのに対し、「過日」は数か月前でも1年前でも使用できます。ただ、「先般」が「過ぎた出来事」を意味する言葉であるのに対し、「過日」は文字どおり「過ぎた日」を意味する言葉です。

「先般よりご連絡しておりました件につきまして、」というと、過去に先方に連絡していた出来事を踏まえての文章になりますが、「過日よりご連絡しておりました件につきまして、」という文章は、以前から先方に連絡していたという過去の日に重点をおいた文章になります。

「先般」の類語②:「先だって」

先だって

「先だって」という言葉も、「先般」と同じように使うことが出来る言葉です。「先だって」の意味も、「先般」と同じく「このあいだ」をあらわす言葉です。「先般お伝えしたように、」と「先だってお伝えしたように、」は同じ意味をもちます。

また、取引先やお客様に挨拶後、本題へ入る際の冒頭の言葉として使うことが出来ます。「この度は、お忙しいなかご来場くださいましてありがとうございます。さて、先だってお伝えいたしました〇〇の件ですが、その後いかがでしたでしょうか?」のように使います。以下の記事も参考にしてみてください。

「先般」を上手に使いこなしてみましょう

「先般」は少しあらたまった敬語表現です。ビジネス敬語であり、「このあいだ」や「近い過去の出来事」という意味があります。「先般」は格式高い言葉のように感じますが、シーンごとに合わせて上手に使い分けてみましょう。社会人として、語彙力のある人だと思われるのではないのでしょうか。

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