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女性が残したおすすめの辞世の句12選!恋や別れを描いた有名な句やマイナーな句も

更新:2019.09.11

辞世の句は自らの死期が近いことを悟ったときに自分の人生に思いを馳せ、その人生への思いを和歌にして詠んだものです。中世以降、辞世の句を詠むことは流行となっていました。女性が残したもので恋や別れを描いたおすすめの辞世の句を例文とともに紹介します。

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女性が残したおすすめの辞世の句とは?

女性が残した辞世の句は貴重!

女性

辞世の句を調べてみると、時代を問わず数多くの偉人の句を知ることができます。しかし、その多くは男性が残したもので、女性のものはあまり見受けられません。なぜかというと、女性で文字が書くことができる人がほとんどいなかったからです。人生を振り返ることができても、それを文字として残すことが難しかったのですね。

そのため現存する女性の辞世の句はとても貴重なものです。当時の女性たちがどんな思いを持っていたのか、辞世の句を通して読み解いてみましょう。

女性らしく美しく表現された辞世の句に注目しよう

辞世の句

女性が詠んだものには、男性を想うはかない気持ちや嘆きなど、女性であるからこそ詠めたであろう気持ちが詰まっています。女性ならではの綺麗な言葉での表現の仕方にもぜひ注目してみてください。

恋を描いたおすすめの辞世の句|例文3選

恋の辞世の句①会いたいという気持ちをストレートに詠んだ和歌

日記

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あらざらむ この世のほかの 思ひ出に いまひとたびの あふこともがな  引用元:女性の偉人『美しい辞世の句一覧』12選|心に残る有名な句

おすすめの辞世の句1つ目は、後拾遺集で和泉式部の詠んだ和歌です。この和歌の意味は「私はもうじき死んでしまうでしょう。あの世へ持っていく思い出に、もう一度だけあなたにお会いしたいものです。」です。

和泉式部は恋多き女性として有名で、複数の男性との恋愛エピソードを平安日記文学の代表でもある『和泉式部日記』にも書き残しています。また世間の規範や常識にとらわれない自由人であったようですが、それでも恋愛沙汰が絶えないということは、綺麗な女性であったことが窺えます。

この辞世の句には和泉式部の「もう一度あなたに会いたい!」という思いがストレートに表現されています。「あなた」とは誰を指しているのかわかってはいませんが、熱情的な思いが伝わる和歌です。シンプルでありながらも、響きが綺麗な和歌といえるのではないでしょうか。

恋の辞世の句②愛してくれた夫を思って詠んだ和歌

固い絆

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夜もすがら 契りしことを 忘れずは 恋ひむ涙の 色ぞゆかしき 引用元:女性の偉人『美しい辞世の句一覧』12選|心に残る有名な句


おすすめの辞世の句2つ目は、後拾遺集で藤原定子の詠んだ和歌です。この和歌の意味は「あなたが私と夜通し固い絆を確かめ合ったことをお忘れでないならば、私が死んだあと恋しくなって涙してくださるでしょうが、その涙の色が知りたいです、涙の色が血の色になっているかどうかを。」です。

藤原定子は一条天皇の皇后で有名です。定子は出家したのですが天皇の強い希望により再入内することになります。出家した女性が再び入内するというのは異例のことでしたので周りからの印象は良くありませんでしたが、それでも近くにいたいという一条天皇の愛が伝わってきますね。そんな一条天皇に向けて詠んだ和歌です。

亡くなった人を偲び、悲しみで流す涙を「血の涙」と言います。「涙の色が血の色になっているか知りたい」という気持ちの中には、自分が亡くなったあと本当に悲しんでくれるのか、という不安な気持ちがみえます。一条天皇を愛する気持ちが大きいがゆえに確かめたくなったのかもしれませんね。

恋の辞世の句③亡くなった恋人を思い詠んだ和歌

満月

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わが恋は 三島の浦の うつせ貝 むなしくなりて 名をぞわづらふ 引用元:女性の偉人『美しい辞世の句一覧』12選|心に残る有名な句

おすすめの辞世の句3つ目は、鶴姫の詠んだ和歌です。この和歌の意味は「私の恋はまるで三島の浦の空っぽの貝のよう。とてもむなしくて、あなたの名を思い出すだけで身が引きちぎられるようにつらい。」です。亡くなった恋人の越智安成を思う意味になっています。

鶴姫は戦国時代を生きた女性で自ら陣頭に立って戦う女武将でした。一方で「瀬戸内海のジャンヌ・ダルク」としても有名で、悲恋の女性というイメージも浸透しています。鶴姫と安成は結婚する予定でしたが、安成が戦死してしまいます。恋人を失い悲しみの中戦い続けますが、鶴姫は安成の亡くなった海で入水自殺をします。

鶴姫の「とてもむなしい」という感情には、安成を失った悲しさに加え、戦の愚かさを思う感情も表現されているのかもしれません。安成がいなくなってぽっかり空いた心を貝に例えているところが和歌として綺麗で素敵ですよね。

別れを描いたおすすめの辞世の句|例文3選

別れの辞世の句①美しく散ることを覚悟して詠んだ和歌

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散りぬべき 時知りてこそ 世の中の 花も花なれ 人も人なれ 引用元:女性だからこそ、遺せた言葉【辞世の句ー女性編】

おすすめの辞世の句1つ目は、細川ガラシャが詠んだ和歌です。「花も人も散りどきを心得てこそ美しいのだ。」という意味です。この和歌には「花は散りどきを知っているから美しい、私もそうでありたい」との強い気持ちが表れています。

細川ガラシャは明智光秀の娘で、細川忠興の妻として知られています。さらに有名なのは、ガラシャは隠れキリシタンだったことです。敵の石田三成がガラシャを人質にしようとした時、それを拒み、キリシタンは自殺を禁じられていたので家老の小笠原秀清に自身の胸を衝かせて自害しました。

この行動は武士の妻として足を引っ張らぬよう、潔く散ってしまったほうが良いと考えてのことだったのかもしれませんね。この世からの別れを選び、未練なく美しく散ろうとした思いが伝わってきます。

別れの辞世の句②現世との別れを嘆く気持ちを詠んだ和歌


着物

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あはれなり わが身の果てや 浅緑 つひには野辺の 霞と思へば 引用元:女性だからこそ、遺せた言葉【辞世の句ー女性編】

おすすめの辞世の句2つ目は、新古今和歌集で小野小町が詠んだ和歌です。この和歌の意味は「私の亡骸は荼毘の煙になり、最後には野辺にたなびく霞になってしまうのだなあ。」です。小野小町は平安時代を代表する女性の歌人として有名で、さらに世界三大美女の一人と言われるほど、綺麗な人でした。

小野小町の詠む和歌には華やかさがあり、恋をテーマにした和歌が多いことでも有名ですので彼女自身も恋多き女性であったのでは、と言われています。百人一首に選ばれるほど栄華な時代もあった一方で、晩年はあまり良いことがなかったそうです。晩年については謎なことも多く、不明であるとされています。

「あはれなり」という言葉からは、この世と別れなければならない現実と、さらに自分の美しさとも別れねばならないことを嘆いている心情が読み取れるのではないでしょうか。

別れの辞世の句③覚悟を持って現世との別れを選び詠んだ和歌

小鳥

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さらぬだに 打ちぬる程も 夏の夜の 別れを誘う ほととぎすかな 引用元:戦国一の美女・お市の方はなぜ勝家と共に死んだ?二人の辞世にご注目

おすすめの辞世の句3つ目は、お市の方が詠んだ和歌です。この和歌の意味は「ただでさえ夏の夜は短いのに、あの世の使いのホトトギスが今生の別れを急かすようですね(そろそろあの世に逝かなくてはならない)」です。この和歌には返歌があります。夫の柴田勝家はどうやって妻であるお市の方へ返歌をしたのでしょうか。

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夏の夜の 夢路はかなき 後の名を 雲井にあげよ 山ほととぎす 引用元:戦国一の美女・お市の方はなぜ勝家と共に死んだ?二人の辞世にご注目

意味は「夏の夜の夢のようにはかなかった人生だったが、 ホトトギスよ、後世にも届くよう私の名を空高くあげてくれ。」です。二人は辞世の句を詠み合ったあと、自害しています。

ホトトギスは「この世とあの世を行き来する鳥」と言い伝えられています。お市の方は当初勝家から退散するよう言われたようですがそれを拒否し、現世との別れを覚悟した上で「ホトトギスが死へ誘っているかのようですね」と詠んだのです。互いにホトトギスというワードを使っており対の句として綺麗にまとまっています。

女性が残した綺麗なおすすめの辞世の句|例文3選

綺麗なおすすめの辞世の句①心を打つ真剣な思いが伝わる和歌

信念

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ものゝふの 猛き心に くらぶれば 数にも入らぬ 我が身ながらも 引用元:女性の偉人『美しい辞世の句一覧』12選|心に残る有名な句

おすすめの辞世の句1つ目は、中野竹子が詠んだ和歌です。この和歌の意味は「武士の勇ましい心と比べれば、数にも入らない私の身ではあるけれども、私もともに戦います」です。竹子は戊辰戦争で娘子軍として戦いました。


竹子は敵陣の銃弾を胸に受けてしまい、命を落とします。その際、薙刀にこの辞世の句が結んであったと言われています。女性でありながら、戦力として戦い抜いた強い心が表現されている一方で、健気な姿が思い浮かぶ綺麗な和歌と言えるのではないでしょうか。

綺麗なおすすめの辞世の句②月に思いをのせた和歌

沈む月

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西に入る 月を誘い 法をへて 今日ぞ火宅を 逃れけるかな 引用元:春日局 最後の言葉〜辞世の句

おすすめの辞世の句2つ目は、春日局の詠んだ和歌です。「西のほうへ沈んでいく月を胸に刻み、仏の道を通って、今日こそこの煩悩多い世の中から逃れることができます。」という意味です。徳川家光の乳母をしていたことで有名で、江戸幕府の将軍になるまで家光を支えた人物でした。

春日局の人生は最後まで波乱万丈な人生でしたが、辞世の句は終わりゆく命を沈んでいく月として表現している綺麗な和歌になっています。

綺麗なおすすめの辞世の句③都の空を思い浮かべて詠んだ和歌

草葉

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武蔵野の 草葉の末に やどりしか みやこの空に かへる月かげ 引用元:言心録

おすすめの辞世の句3つ目は、徳川和子が詠んだ和歌です。意味は「武蔵野の草葉のはてに宿るのだろうか、都に帰る月の光は」です。幕府と朝廷の結びつきを強くするために、天皇家と結婚し、間を取り持った女性です。

和子は芸術に精通していたようで、その様子がこの和歌からも窺えるのではないでしょうか。こちらの和歌も、空や月光というワードを使うことで綺麗な情景が思い浮かぶ和歌ですね。

マイナーだけどおすすめの辞世の句|例文3選

おすすめの辞世の句①美しい最後の句

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月も見て われはこの世を かしくかな 引用元:加賀千代女・俳人列伝/日本俳句研究会

マイナーな辞世の句1つ目は、加賀千代女(かがのちよじょ)の詠んだ句です。意味は「美しい月をも見れたのだから、私はこの世を去りましょう。」です。加賀千代女は江戸時代の詩人です。彼女の俳句には、自然を題材にしたものが多く、女性らしさや優しさが感じられるものが数多くあります。

加賀千代女というと他に有名な句があるため、辞世の句を取り上げられることはめったにありませんが、辞世の句も清らかで美しいですね。和歌を詠むことが人生そのものであった歌人・加賀千代女は人生の最後にどんな思いを込めて詠んだのでしょうか。

加賀千代女の辞世の句からは、最後のときであっても平穏な心で過ごしたいという思いが伝わってきます。一生を通して自然を題材に句を詠んできた女性だったので、穏やかな辞世の句となったのかもしれませんね。月という言葉を使っていることで、綺麗な風景が思い描かれますね。

おすすめの辞世の句②世の無常を詠んだ和歌

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誰か世に ながらへて見る 書きとめし 跡は消えせぬ 形見なれども 引用元:女性だからこそ、遺せた言葉【辞世の句ー女性編】

マイナーな辞世の句2つ目は、紫式部の詠んだ和歌です。意味は「これから死ぬという人が書いたものを誰が読もうと思うだろうか、書いたものは消えずに形見となるけれども」です。紫式部は『源氏物語』の作者としてその名を馳せています。

百人一首にも載るほど、和歌に明るい人物でしたので辞世の句が特別取り上げられることはありません。そういった意味でマイナーな辞世の句と言えるのではないでしょうか。死にゆくものが書いたものを誰が読むだろうか、と世の無常を謳いながらも、書いたものは形見になる、という今までの自信も垣間見えます。

おすすめの辞世の句③詠み継がれる句

言葉

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ながらえば ありづる程の 浮き世ぞと 思えば残る 言の葉もなし 引用元:辞世の句

マイナーな辞世の句3つ目は、乞食女の詠んだ句です。「生きながらえていればいるほど辛いことが多い人生だと思い切ってしまえば、今さら死後に残す言葉もない」という意味です。ある乞食女が京都三条橋の下で亡くなっていました。死因は自害であったそうですが、女のそばには彼女の辞世の句が残されていました。

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言の葉は長し短し身のほどを 思えば濡るる袖の白妙 引用元:辞世の句

この乞食女の辞世の句は噂となって広まりました。そしてある貴族が「残す言葉もないと言ったが、言葉というものは長くもあり短くもあるもので人生もまた同様である、自ら命を絶ったあなたの心情を思うと私の袖が涙で濡れます」と返歌したのです。

彼女は歴史に名を残すような有名な女性ではありませんでしたが、現在まで辞世の句は受け継がれています。「今さら死後に残す言葉もない」という思いとは裏腹に、彼女の言葉はこの先もずっと残されていくことでしょう。

女性が残したおすすめの辞世の句を探してみよう!

女性の残した辞世の句はどれも自分の人生を女性らしい綺麗な言葉で表現しています。時代は違えど同じ女性として、辞世の句に共感を覚えた方もいるのではないでしょうか。

今回紹介した例文の中に、共感できる、好きだ、と感じた辞世の句が一つでも見つかったならば、それは素敵なことですね。辞世の句からその女性のことが気になり、もっと深く調べてみると、今まで知らなかったことや意外な一面が垣間見えることもあるかもしれません。

辞世の句をきっかけに、あなたがより多くの素敵な和歌に出会えることを願っています。まだまだ女性の残した辞世の句はありますので、ぜひおすすめできる辞世の句を見つけてみてくださいね!下の記事は短歌・和歌に関する記事ですので、併せてぜひご覧下さい。

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