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月に関する和歌8選|朧月をテーマにした有名な和歌/美しい恋の短歌

更新:2021.04.19

夜空に浮かぶ月が思い浮かぶような美しい月に関する和歌を知っておきましょう。朧月の浮かぶ情景が脳裏に浮かぶ風情溢れる和歌や、人の心を月に映し出した恋の短歌など知っておきたい和歌が盛りだくさんです。万葉集や後撰和歌集からおすすめの和歌を紹介します。

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月に関する美しい和歌8選

月に関する美しい和歌①亡くなった天武天皇を思う短歌

夜空

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北山にたなびく雲の青雲の 星離れ行き月を離れて 引用元:万葉集

月に関する美しい和歌1つ目は、万葉集で持統天皇の読んだ短歌です。この和歌の意味は「北の方の山に雲がたなびいていきます。青い雲は星を離れ、そのうち月からさえも離れていきます。」です。この和歌でいう「雲」は「天武天皇」を示しています。亡くなった天武天皇を思い、読まれた和歌です。

亡くなった天武天皇は北の山を登り、空をたなびいて行き遂には星からも遠ざかりいずれ月からも離れてしまうという和歌は、残された人の悲しみを感じることができます。流れる雲や輝く月を思い浮かべることのできる、美しくも儚く悲しげな和歌です。

月に関する美しい和歌②亡くなった妻を思う短歌

手

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去年見てし秋の月夜は照らせども 相見し妹はいや年さかる 引用元:万葉集

月に関する美しい和歌2つ目は、万葉集で柿本人麻呂の読んだ短歌です。この和歌の意味は「今見ている秋の月は去年見た月のように空を照らしているけれど、一緒に見た妻は年が経つごとに遠くに行ってしまうのだ」という意味です。亡くなった妻を思う意味になっています。

そこにある月はいつまでも変わらず空を照らしているけれど、一緒に見ていた妻は年数が経つにつれて遠い存在になってしまうという現実を憂いた和歌になっています。愛する人を亡くし、時間が経つことへの悲しさが儚げな月と共に表現されていますね。

月に関する美しい和歌③月の光と人の心を読んだ和歌と意味

月夜

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秋の夜の月の光はきよけれど 人の心の隈は照らさず 引用元:後撰和歌集

月に関する美しい和歌3つ目は、後撰和歌集で読まれた短歌です。「秋の夜の月の光は清く美しいけれども、人の心の奥まで照らすことはできない」という意味です。どんなに美しく清らかな月の光であっても、人の心の奥までは月でさえも見ることができないという思いが込められています。

これは昔はもちろん今現在の人間関係にも当てはめることができます。思い人はもちろん、家族や友人などの近しい人物の心など読み取ることはできません。月のようにどんなに自分自身の心が清かったり、美しかったりしても相手が何を考えているのかなど知ることはできないのです。

月に関する美しい和歌④美しい朧月に思いを馳せる和歌

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照りもせず曇りも果てぬ春の夜の 朧月夜にしくものぞなき 引用元:新古今和歌集

月に関する美しい和歌4つ目は、新古今和歌集で大江千里の読んだ短歌です、「明るく照っているわけでも完全に曇っているわけでもない春の夜空に浮かぶ朧月の美しさには、敵うものなどない」という美しい和歌です。この和歌を聞くと、春の夜空の美しい情景が脳裏に浮かびます。

深い青色に包まれた春の空には、雲1つないわけでもなく微かに雲が漂っています。その微かな雲が月を包み込み「朧月」となった空にぼんやりと佇んでいます。春の夜空の風情を感じ、朧月の美しさに思いを馳せた内容になっています。この和歌を思い浮かべながら、春の夜空を眺めたいですね。

月に関する美しい和歌⑤萩を照らす月の光を思う美しい和歌

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幾世へて後か忘れん 散りぬべき野辺の秋萩みがく月夜を 引用元:後撰和歌集

月に関する美しい和歌5つ目は、後撰和歌集で清原深養父が読んだ短歌です。「どんなに時が経っても、今にも散りそうな秋の野の萩を輝くように照らす月の光を忘れることはない。」というとても美しい意味です。萩はイネ科の植物で、秋になると銀白色の花を咲かせます。秋の七草とも言われています。


萩の花が咲き誇る時期はちょうど秋の9月から10月の間で、散り際の萩の美しさをより一層輝くように照らす月の光が目に浮かびます。一度見たら忘れることがないと和歌で歌われるほど美しく輝くその光景は、ぜひ一度見てみたいと感じることのできる秋ならではの光景です。

月に関する美しい和歌⑥すべての恋をする人に捧げる綺麗な和歌

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あひ見しもまだ見ぬ恋も ほととぎす月に鳴く夜ぞ世に似ざりける 引用元:後撰和歌集

月に関する美しい和歌6つ目は、後撰和歌集で読まれた和歌です。「思いを遂げた恋にも、まだ思いを遂げていない恋にも、ホトトギスが月に向けて鳴くこの夜こそふさわしい」という意味です。恋をしている人々に、この夜を捧げようという恋の和歌です。この和歌にはファンが多いことでも知られています。

恋をしている相手を思い夜空を見上げることは現代でもありますよね。美しい夜空にホトトギスの鳴き声が響いている様子は、まさに恋をしている人々全てに見上げてほしい美しさが感じられます。和歌では月の様子に人の心を映していました。美しい月には「どんな恋でも恋をしている心は美しい」という思いが込められています。

月に関する美しい和歌⑦男性が女性の気持ちを歌った恋の和歌

夜空

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月読の光に来ませ あしひきの山きへなりて遠からなくに 引用元:万葉集

月に関する美しい和歌7つ目は、万葉集で湯原王が読んだ和歌です。「月の光をたどって私に会いに来てください。山が道を隔つほど遠くはないのですから。」という意味があります。湯原王は男性ですが、この和歌では女性の気持ちを歌っています。夜、恋をしている相手をじっと待っている女性の気持ちが表れています。

この和歌が読まれた時代、恋仲の男女が会うのは夜でした。誰にも見られないように男性が女性の元を訪れて、仲を深めていった時代です。月の光が道を照らしており、女性の元に向かう男性を導いているような様子が浮かびます。女性の「会いたい」という気持ちが美しく反映されていますね。

月に関する美しい和歌⑧降り積もる雪を月の光に見立てた和歌


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むばたまの夜のみ降れる白雪は 照る月影の積もるなりけり 引用元:後撰和歌集

月に関する美しい和歌8つ目は、後撰和歌集で読まれた和歌です。「夜に降った真っ白く美しい雪は、光り輝く月が積もっているようだ」という意味です。雪が降り積もる様子を「月の光が積もっているようだ」と表現していますね。とてもロマンチックな言い回しの美しい和歌になっています。冬を代表する和歌です。

ふわふわとした真っ白い雪は、降り積もるとキラキラと光ります。今でこそ街灯の明かりで照らされて輝く雪ですが、この歌が読まれた時代に照らしていたのは街灯ではなく月の光です。月の光によって照らされた雪のキラキラとした輝きが本当に美しいんだと思わせてくれる素敵な和歌ですね。

美しい和歌をもっと知りたい!おすすめの和歌集は?

おすすめの和歌集①万葉集

美しい和歌をもっと知りたい人におすすめの和歌集1つ目は、「万葉集」です。学校の授業などで誰でも一度は聞いたことのある有名な和歌集で、日本に現存する和歌集の中では最も古いです。万葉集は全20巻で、収録されている和歌の数は4500種類あります。

今回紹介した月に関する和歌はもちろん、恋の和歌や人の死に関する和歌などジャンルも豊富です。和歌が歌われた頃の時代をしっかり映し出し情景を思い浮かべることのできるような歌もありながら、現代にも当てはめることのできる人の心を詠んだ歌もあります。お気に入りの和歌をぜひ見つけたいですね。

おすすめの和歌集②古今和歌集

美しい和歌をもっと知りたい人におすすめの和歌集2つ目は、「古今和歌集」です。万葉集と同様に、こちらも誰でも聞いたことはある有名な和歌集ですね。平安時代前期に作られた和歌集です。古今和歌集は全20巻で、1111種類の和歌が掲載されています。

有名な「枕草子」「源氏物語」の中にも登場するほど親しまれていた和歌集で、古今和歌集を古今和歌集を暗唱することが貴族の教養であるとされていました。今回紹介した月に関する和歌はもちろん、四季に関する和歌と恋の和歌が半数以上を占めています。美しい情景や人の心を思い浮かべつつ読むことのできる和歌集です。

おすすめの和歌集③後撰和歌集

美しい和歌をもっと知りたい人におすすめの和歌集3つ目は、「後撰和歌集」です。古今和歌集を参考にしながら作られた和歌集として知られています。そのため、四季に関する和歌や恋の和歌が多数掲載されています。全20巻で、1425種類の和歌が掲載されています。

恋の和歌の中には、離別の和歌もあります。美しくも悲しい意味の和歌が多く掲載されており、失恋の悲しみや別れることになってしまった辛さを表現している和歌を読むことができます。また、手紙のように贈り物として使われていた「私的な和歌」も多く、和歌を読んだ人々の生活を垣間見ることのできる和歌集です。

月に関する和歌を読んでみよう

月に人の心を重ねて読まれていた美しい和歌は、どれも情景が目に浮かぶものばかりです。月は昔も今も変わらず空に浮かんでおり、輝きも同じです。違うのは生活スタイルや月が照らす街並みの様子だけで、人の心はそれほど大きく変わっていません。そのため、今現在の自分の様子に当てはめることができるのも魅力です。

美しい月の和歌を読み、日本ならではの綺麗な情景をぜひ思い浮かべてみましょう。万葉集や古今和歌集・後撰和歌集は月に関する和歌以外にも様々な和歌が掲載されています。ぜひ一度読んで、知識を深めたいですね。他にも和歌に関する参考になる記事を紹介します。合わせてご覧ください。

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