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敬礼の由来

敬礼とは相手に敬意を表すこと

敬礼とは相手に敬意を示し礼を尽くすことを言います。敬礼と聞くと、自衛隊や海軍の方が右手を額付近まであげる姿を想像しますよね。しかし、日常生活で私たちがしている握手やお辞儀も本来は敬礼の一種なのです。敬礼には海軍式の敬礼や殉職者への敬礼など様々な種類があり、そのやり方は細かいルールで定められています。

敬礼の由来は甲冑の兜をあげる仕草

敬礼の由来は、ヨーロッパの騎士に由来すると言われています。中世のヨーロッパでは、戦に行く際に甲冑を身に着けていました。甲冑とは胴部を守る鎧と、頭部を守る兜で出来ています。兜のまびさし(目の部分)を下げていると、外部からは顔を確認することが出来ず、敵か味方か分かりませんよね。

そのため甲冑を付けた騎士は、貴婦人や自分の上官の前を通る際には、兜のまびさしを上げて自分の顔を見せるという風習がありました。この顔を隠している兜を上げる仕草が、現在の敬礼の由来となったと言われています。また中世のヨーロッパの服装に関する記事があったので、参考までにご覧ください。

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イギリスでの敬礼の由来は敵意のない証

イギリスでの敬礼の由来は、イギリス国家の頂点である女王に騎士が謁見する際に、武器を持っていないという印として右手をあげていたことに由来します。武器は基本的には右手に持つものとされており、その右手の手のひらを見せて、武器を持っていないことを証明することで、敵意がなく忠誠の証とされていたのです。

左手で敬礼をする意味とは?

左手で敬礼をする意味とは相手への侮辱

一般人で敬礼に関する知識のない私たちは、ついつい左手で敬礼をしてしまうこともありますよね。しかし、左手で敬礼をするというのは、相手に対する侮辱であり、とても失礼な行為にあたります。まず何故右手で敬礼をするのかというと、銃や槍などの武器を扱う右手を相手に見せることで敵意がないことを表すためです。

そしてそれは同時に、相手に対する尊敬、敬意にも繋がります。元々は敵意がないことを示す目的で行われていた敬礼ですが、現在では目下の者から目上の方に対して行われる礼儀のような意味や、殉職者に対する敬意という意味も含まれています。

このような歴史がある中で、左手で敬礼をしてしまうと、相手に対して「私はあなたに敵意があります」「かかってこい」と言っているも同然にとられてしまうのです。軍隊や警察の方からすると一般人の敬礼はヘンテコに見えるのであまりしない方がいいという意見もありますが、敬礼を返したい時には必ず右手でしましょう。

軍隊では左利きは認められない

日本の自衛隊では、左利きの隊員は右利きに矯正されます。つまり左利きの隊員は軍隊においては認められないということになります。敬礼に関しても武器を持つ右手をあげることで、敵意のないことや忠誠を誓う証とされていますね。なぜなら昔からほとんどの武器が右手で扱うことを前提に設計されているからなのです。

日本の自衛隊でも正式採用されている小銃も右で扱う事が前提の設計になっています。どの部分が右利き用の設計になっているのかというと、弾を打った時に排出される薬莢の排出口が基本的に右側についていることです。つまり左で銃を打つと排出される薬莢が自分に当たってしまうのです。

自衛隊では、銃を左利きに改良するのではなく、兵士が銃に合わせるべきだという考えが今も根強く残っているのだそうです。しかし世界最強と言われるアメリカの軍隊は実は左利きを認めています。銃をかっこよく使うおすすめのミリタリー映画が見たい方は、こちらの記事も合わせてご覧ください。

正しい敬礼の仕方

正しい敬礼の仕方①右手で敬礼・左手はグー

正しい敬礼の仕方1つ目のポイントは、右手で敬礼・左手はグーです。右手で敬礼をするということは相手に敵意のないことを示す重要なポイントです。同時に敬意を示すということにもなります。敬礼は相手に敬意を表すことであるので、これは必ず守らなければならない敬礼の作法です。

また右手を額近くまであげる敬礼を「挙手の敬礼」といいますが、警察や自衛隊が行うこの挙手の敬礼をする際は、もう片方の左手はパーではなく、グーで行うこととされています。ちなみに自衛隊では挙手の敬礼を行う際のルールが細かく決められており、両足の開く角度は60度で、入隊当初は上官に分度器で測られるそうです。

正しい敬礼の仕方②手のひらは見せない

正しい敬礼の仕方2つ目のポイントは、手のひらは見せないことです。日本を始め多くの国では挙手の敬礼をする際は、右手の手のひらは見せず、左下方向に向けるとされています。これは海軍式でも陸軍式でも同じルールで行われています。

日本では手のひらを見せることは正しい敬礼の仕方ではないとされていますが、逆にイギリスやフランスでは挙手の敬礼をする際は、手のひらを相手に見せなければなりません。これはイギリスで女王に謁見する際に、武器を持っていないことを示しそれを忠誠の証としていた歴史に基づいており、その名残が今も続いています。

正しい敬礼の仕方③帽子をかぶっていない時は行わない

正しい敬礼の仕方3つ目のポイントは、帽子をかぶっていない時は行わないということです。このルールについてはあまり知られていないかと思いますが、日本では着帽時以外には挙手の敬礼は行いません。陸軍式でも海軍式の敬礼でも、着帽時と脱帽時では細かく敬礼の種類が定められています。

アメリカなどでは、帽子をかぶっていない時でも挙手の敬礼を行います。挙手の敬礼に対してする敬礼を答礼と呼ぶのですが、アメリカ兵が挙手の敬礼をした場合、日本の自衛隊は帽子をかぶっていない場合、腰を曲げてお辞儀をするという敬礼の形をとるので、それを始めてみるアメリカ兵には驚かれることも多々あるそうです。

敬礼の種類

敬礼の種類①陸軍式と海軍式の敬礼

敬礼の種類1つ目は、陸軍式と海軍式の敬礼の違いです。挙手の敬礼に右手を使うことや、額あたりまで手を挙げ、手のひらは見えないように左下方向に向けるという基本的なルールはすべて同じですが、陸軍式と海軍式の敬礼の仕方には一つだけ違う点があります。

それは、陸軍式では肘を目線の高さまであげるのに対し、海軍式では脇を占めることです。なぜ陸軍では挙手の敬礼の際に目線の高さまで肘をあげるのかというと、陸軍は敬礼をする際に広い野原のような場所ですることが想定され、隊員全員が肘をあげるだけのスペースがあるからです。

一方で、狭い艦内で日々の活動をする海軍は、肘を閉めて余計なスペースを使わないように挙手の敬礼をするため、必然的に肘を閉めてする敬礼の仕方が根付いたと言われています。特別な意味があるというわけではなく、陸軍式と海軍式の敬礼の違いは、その活動の場所に適した形に変化して根付いたということですね。

敬礼の種類②着帽時の敬礼

敬礼の種類の2つ目は、着帽時の敬礼です。自衛隊の礼式に関する訓令で定められている着帽時の敬礼には、大きく分けて天皇に対する敬礼とその他の敬礼があります。まず着帽時の天皇に対する敬礼は、小銃を携行しているときは捧げ銃の敬礼、携行していないときは挙手の敬礼を行ないます。

その他の場合は、小銃、自動銃又は軽機関銃を携行しているときは銃礼を、これらを携行していないときは挙手の敬礼を行なうとされています。天皇への敬礼とその他の敬礼で相違する部分は、小銃を携行している場合のみで、携行していない場合はどちらも挙手の敬礼を行います。

天皇に対する捧げ銃の敬礼とは、左手で銃の中央を持って上に引き上げ、右手で下部をささえます。それを体の中央に来るようにして行います。武装時の着剣している場合の捧げ銃の敬礼は、儀式上最高位の敬礼で天皇に対して行われます。

敬礼の種類③脱帽時の敬礼

敬礼の種類の3つ目は、脱帽時の敬礼です。脱帽時には、着帽時のような銃礼や挙手の敬礼は行いません。まず天皇に対する敬礼では、脱帽している場合、45度の敬礼を行ないます。体を45度に曲げた深いお辞儀ですね。そしてその他の場合には10度の敬礼という体を10度に曲げた少し軽度なお辞儀を行います。

敬礼の種類④殉職者への敬礼

敬礼の種類4つ目は、殉職者への敬礼です。殉職者への敬礼に関しては、天皇への敬礼と同じく最高位の敬意を示す敬礼の方法が記載されています。着帽している場合は、小銃を携行しているときは捧げ銃の敬礼を、小銃を携行していないときは挙手の敬礼を行ないます。そして脱帽時は45度の敬礼を行います。

国家のために働き、命を落とした殉職者に対して天皇への敬意と同等の最高位の敬意を示しているのですね。厳しい訓練を乗り越え、一緒に働いてきた仲間が殉職した場合には最高位の敬礼をという風習には、彼らの仕事に対する誇りを感じることが出来ますね。

敬礼の種類⑤国旗又は国歌への敬礼

敬礼の種類5つ目は、国旗又は国歌への敬礼です。国旗又は国歌が流れている場合には、着帽時、脱帽時に関わらず姿勢を正す敬礼を行ないます。これは私たちも小学校や中学校などで、運動会の時などに国旗があがる場面や、国家または校歌を歌う際に、姿勢を正せとよく言われましたよね。

外国の敬礼は?

イギリス・フランスの敬礼は手のひらを見せる

日本の敬礼にも細かいルールがあるように、外国でもその国によって様々なルールがあります。まず、一目で違うなと分かるのが、日本やアメリカが手のひらを左下に向けて挙手の敬礼を行うのに対して、イギリスやフランスでは手のひらを見せることです。この手の角度は国によって様々で、真下に向ける国もあるそうですよ。

アメリカでは脱帽時も挙手の敬礼

日本では脱帽時は挙手の敬礼を行わないのに対して、アメリカでは脱帽時にも挙手の敬礼を行います。アメリカでは左利きの軍人も認められているなど、さすが自由の国アメリカといった感じもしますね。また、アメリカのメジャーリーグの開幕戦などでよく選手や観客が、右手を左胸に当てるポーズをしますよね。

これも敬礼の一種で、国旗や国歌に対して行われます。右手を左胸に置く意味は、左にある心臓を指して敬意を示しているのです。またスポーツの場面以外に政治の場面でもこの敬礼は良くみられます。これは大統領などの政治家が、軍服を着た軍人から挙手の敬礼を受けた時に、その答礼として右手を左手に置く敬礼を行います。

正しい敬礼で相手にきちんと敬意を示そう!

自衛隊や警察官でない限り、敬礼をする機会というのはほとんどありませんね。それが故に私たちは敬礼の意味ややり方を間違った認識で覚えてしまっています。しかし、警察官や消防隊員の方にお世話になったときやご苦労様ですと声をかけたいときに、その気持ちが間違った敬礼のせいで失礼にあたるのは悔しいですよね。

私たちも敬礼の由来や意味、そして正しい敬礼の仕方をしっかりと知識として身に着け、国のために働いている自衛隊や警察官、消防士の方々、または殉職された方に敬礼をする機会があれば、日ごろの感謝を正しい敬礼をもって伝えてみましょう。

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