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書評や論評の意味とは?書き方のコツ・基本の書き出しや例も

更新:2019.06.21

本を購入するときに、書評や論評を参考にするという人はたくさんいるでしょう。でも、そもそも書評や論表とはどんなもののことをいうのでしょうか。また、それを書く側になった時は、どんな書き出しがふさわしくて、どんなコツや基本があるのでしょうか。書き方の例とともに紹介します。

書評や論評の意味とは?

書評の意味とは本の内容を読者に紹介するもの

書評とは、簡単に言えば本の内容を読者に紹介するものですが、「新刊について」という限定が付きます。また、本の内容を全てつまびらかにするのではなく、「本を選ぶときの参考になる内容」を書かなければなりません。読書感想文やレビューとは、そもそもの観点が違います。

大学のレポートなどで書評を書けと言われる場合は、新刊には限りませんが、「書評ってなに?」「どうやって書くの?」と面喰ってしまいますよね。レポートなどで書評を求めるのは、学生に客観的な視点で論評させたいという目的と、とにかくまずは本を読ませたいという目的があるようです。

論評の意味とは筆者の最終的な結論に対して批評を行ったもの

まとめる

論評とは、筆者の最終的な結論に対して批評を行ったもののことをいいます。意味だけでいうと、筆者の結論に限らず、物事に対して批評すること全般が論評です。よって、書籍に関するものではなくとも、物事に何か意見を述べたものは全て論評なのです。書籍になったものに対して論評を行うと、書評となります。

だから、書評は、読書感想文とは違うものだということになるのです。主観的で、「私は」ということが中心となるものは、感想文です。自分自身の経験などもどんどん書いて構いません。でも、書評は、客観的で、「この本は」ということが中心でなければいけないのです。なおかつ公平であればよりよいでしょう。

書評を書く前にまとめること5つ

書評を書く前にまとめること①著者や作者について

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書評を書く前にまとめることの1つ目は、著者や作者についてです。著者や作者についての情報を読者に提示するのは、書評の基本です。生年月日、出生地、受賞歴や、他の著書を書くのがごくごく一般的な書評の形ですが、そういった情報は、書評本文とは分けたところに書くことが多いです。

書評内には、その作者や筆者の傾向や、その作品意外の作品についてのエピソードをいれておくと、読者の読書欲をかきたてます。また、その作者や筆者の人となりや、日常生活、プライベートの情報も盛り込んでおくと、親しみをもった読者がその本を読むという可能性も出てきます。

簡単なところでいえば、作者・筆者と出身地が同じだというだけで、その本を読んでみようかなと考える人がいるのです。同じことは、出身校にもいえます。趣味が同じ、好きな色が同じ…何が同じでも共感さえできれば、読者は意外とくいつくものなのです。

書評を書く前にまとめること②小説・評論の概要

メモ

書評を書く前にまとめることの2つ目は、小説・評論の概要です。これを書き出しとするのが基本です。主な登場人物や時代背景、物語を揺るがす大きな出来事や、評論の主題となっているものを提示することで、読者の興味を喚起しなければいけません。くれぐれも、結論や結末を提示してしまわないように気をつけましょう。

個性を出すために、感想から書きはじめる書評や、かなりキャッチ―な引用からはじめる書評ももちろんあります。でもそれは、かなり腕に自信のある書評家のすることで、初心者や大学生がレポートをまとめるときに真似をするのはかなり危険です。

その本を読もうかどうか迷っている人に、自身の感想を押し付けるようなことは、書評を書く上ではお勧めできません。押し付けているつもりはなくとも、あなたの感想で、読者の考えが偏ってしまうかもしれません。そのような影響を与えることは、書評の目指すところではないのです。

書評を書く前にまとめること③作品の背景をレポート

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書評を書く前にまとめることの3つ目は、作品の背景をレポートしているような内容のものです。書評には、その本の成立背景や、そこに著者や作者がこめた思いを盛り込むことがあります。そういった内容が盛り込まれていることで、読者の興味をひくのです。

その作者や著者を知っている人にとっても、作品の成立背景は貴重な情報となります。その情報があることによって、その作品の位置づけが明確になるのです。ここでまとめた情報の、基本的な書き出し方の例としては「○年ぶりの書き下ろし」とか「作者初の私生活エッセイ」とかいうものがあります。例を参考にまとめましょう。

書評を書く前にまとめること④自分が感動した・良いと思った部分

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書評を書く前にまとめること4つ目は、自分が感動した・良いと思った部分です。書評は、感想文とは違いますが「その本を勧めたい!」という書き手の熱が伝わってくるものでなければいけません。論評なので自分の思想を交えてはいけませんが、どんな部分が魅力的な本なのかということは、書く前にまとめておきましょう。

初読の時に、客観的に分析するのはなかなか難しいので、まずはメモしておいて後からそれを読み直すといいでしょう。初読の興奮を一度覚まさなければ、きっとあなたの書評は論評にはなりません。自分の感情や自分の思想というものは、知らず知らずのうちに、表出してしまうものです。本人すら気づいていないこともあります。

書評を書く前にまとめること⑤自分が批判したい・イマイチだと思った部分

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書評を書く前にまとめること5つ目は、自分が批判したい・イマイチだと思った部分です。4つ目にあげた良い部分をあげつらうだけでは、書評にはなりません。もちろん非の打ちどころのない物語や評論文も存在はしているでしょうが、この部分がもっとこうなら…という所もまとめておいて、客観的な論評を目指しましょう。

4つ目と5つ目を、まとめるときにおススメなのが、付箋の利用です。感動した部分、イマイチだと思った部分を全て書き出すのは大変なので、メモをしつつ付箋を貼りつけていくようにしましょう。まずは、思いつくがままに貼り付け、いざ書評を書くという時に、取捨選択を行っていけばよいのです。

書評の書き方のコツ7つ|基本編

書評の書き方のコツ|基本編①本の効能を示す・例とともに

効能

書評の書き方のコツ1つめは、本の効能を示すことです。その本を読めば、どんないいことが起きるのかを読者に提示しましょう。例をあげると「視野が広がる」「勇気づけられる」「心があたたまる」など、様々な効能が存在しますが、その効能を提示されることで、読者は、「読んでみようかなあ」という気になります。

欲をいえば、先にあげたような漠然としたものよりも、「○○が把握できた」とか「〇○に感謝できるようになった」というような具体的なものの方が望ましいです。そういった言い方であれば、より、読者の読みたいという気持ちを喚起できるでしょう。

書評の書き方のコツ|基本編②世間の評に対立または補足する・例とともに

対立

書評の書き方のコツ2つ目は、世間の評判に対立または補足することです。世間でもある程度もてはやされているような作品に有効なのが、この方法です。例えば、「芸人さんが書いた小説だから…」と言われているものには、「芸人さんが書いた小説だからと軽んじてはいけません」などと書けばよいのです。

世間の評判を聞いてなんとなく、読むことをためらっていた読者にとって、そういった書評はとても役に立つはずです。また、絶賛されている作品の魅力を補足的に提示すれば、あなたの書評は、他の書評とは違う特別なものになり得ます。

本を選ぶときに人が基準にするものは様々ですが、基準にされるような書評を書くためには、世間とは違う視点というものも必要となってきます。自分の中の固定観念と戦いながら、論評を行う必要があるのです。センセーショナルだからと世間とは反対の意見を言う…というのではないことをしっかり理解してください。

書評の書き方のコツ|基本編③ネタバレは絶対にしない

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書評の書き方のコツ3つ目は、ネタバレは絶対にしないことです。当然ですが、これからその小説または評論を読むかどうか迷っている人に、結末や結論を言ってはいけません。これは、書評云々以前の基本的なマナーです。読みたいという人の気持ちをそぐことほど、読書家に対する無礼はありません。

例えば、推理小説で、どんなトリックが使われるか、または誰が犯人かということを読む前に知りたいという人はいるでしょうか。きっと、いないはずです。知らないから、読みたいのです。自分で読みながら推理したり、想像したりする楽しみを、ネタバレという行為は奪ってしまうのです。それは、書評にはあるまじき行為です。

書評の書き方のコツ7つ|上級者編

書評の書き方のコツ|上級者編④書き出しで本のジャンルを意識する

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書評の書き方のコツ4つ目は、本のジャンルを意識することです。もしあなたが書評を書こうとしている作品が「How to」本ならば、それを読むことで得られる効果をかなり具体的に提示する必要がでてきます。評論なら、その評論を読むことが、読者の考え方やもののみかたにどんな影響を与えるかを示せると良いでしょう。

ただその本の内容を紹介するという観点だけで終わるのではなく、このジャンルに手をのばす読者たちは、どんなことを求めているのかという観点からも書評を書けるようになれば、あなたの書評は厚みを増すでしょう。また、書き出し方も変わってくるはずです。

書評の書き方のコツ|上級者編⑤発表の場を意識して論評を行う

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書評の書き方のコツ5つ目は、発表の場を意識することです。ブログや「本の紹介サイト」のような所に書評を発表するのであれば、自分独自の観点を大切にし、個性的なものを書くことで注目を集めると良いでしょう。しかし新聞などに発表する場合は、基本的に情報を提示することがメインだと考えなければいけません。

書評の書き方のコツ|上級者編⑥読者層を意識する・例とともに

読者層

書評の書き方のコツ6つ目は、読者層を意識することです。自分の書評を読んでいる人が、どれくらいの年齢層なのかを知ることによって、呼びかけ方がかわるはずです。この呼びかけを効果的に書き出しに使う書評は、読者の興味をひきやすいです。

例をあげると、高校生の物語について書評を書くとき、大人が対象なら「あの頃を思い出して胸がきゅんとする物語ですよ」という呼びかけになるし、対象が高校生なら「共感がとまらない」という呼びかけが適切となります。はっきりと読者層が特定できない時は、両方を使った方がいいかもしれませんね。

書評の書き方のコツ|上級者編⑦引用

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書評の書き方のコツ7つ目は、引用することです。作者や著者の物語・評論内での言葉を引用することで、読者の興味をひくという手法ですが、これは、選定の目がかなり高くなければ効果を得られません。長々と引用するわけにはいかないので、ワンフレーズで、書き出し、読者の心を射止めましょう。

書評の基本の書き出しや例は?

書評の基本の書き出しは「作品の背景」

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書評の基本的な書き出しは、作品の背景です。「作品の背景」、「作品の概要」「作品の魅力」、「まとめ」の順で書くのが最もオーソドックスな例で、書評の後や前に、その小説や評論の作者・著者の情報を付け加えます。もちろんこれは基本の型なので、「作品の魅力」から書き出しはじめるような書評もあります。

ただしそういった書評を書く際には、絶対に感想文にならないように、最新の注意を払わなければいけません。感情に流されて書くものは、書評とはいわないのです。

書評の例|「異邦人」原田マハ

原田マハは、芸術や海外との親和性が高い。それは彼女の経歴が影響しているだろうが、時事的なものにもめっぽう強いのが彼女のもう一つの特徴だろう。この「異邦人」の中にあるのは、もちろん人の奥底に眠る芸術や美術への渇望だが、その中にさりげなく原発事故への恐怖や、原発事故による影響が散りばめられている。

原田氏の作品の中で原発事故に言及しているものは意外に多いが、ここまで言及したものはこの作品と「モダン」の中の一作品だけではないだろうか。そして、その原発事故をメインのテーマとしないところがまた、原田氏の上手いところでもある。この物語のメインは、日本画だ。ただ、その日本画を描ききれなかった弱さはある。

日本画には、底知れない深みとしがらみがありすぎたのだろう。描き切れてはいないが、この「異邦人」は、そんなしがらみと芸術への渇望に身を任せていく女性の戦いの物語だ。しがらみだらけの京都という街を公平な目で描き切る手腕といい、日本画の鮮やかな描写といい、やっぱり原田マハはおもしろいと言わざるをえない。

書評を書くつもりで読書してみよう

書評を書くとなると、多くのことを気にしなければいけません。でも、それだけ深く、その本に向き合っているということになるので、レポートなどで無理強いされていなくても、「書評を書くつもりで本を読む」ということにトライしてみてはどうでしょうか。読書についての記事があるので、合わせてご覧ください。

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