「申し訳ないです」を使うのが失礼な理由は?誤用敬語の正しい言い換えも
更新:2019.06.21
ビジネスシーンにおいてミスをすることは誰にでもあります。「申し訳ない」という言葉はよく用いられる言葉です。では、上司や取引先に対して謝る時は、どのように言い換えると失礼にあたらないのかご存知ですか?「申し訳ない限り」などの丁寧な敬語や謙譲語を使い、誤用や間違いで使わないように意識していきましょう。
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INDEX
ビジネスで「申し訳ないです」を使うのが失礼な理由は?正しい言い換えは?
「申し訳ないです」が失礼な理由①正しい敬語だが敬意が伝わらない
ビジネスの世界でよく使われている「申し訳ないです」という謝罪の言葉は「すみません」や「ごめんなさい」よりも丁寧で正しい敬語ですが、自分のした行いを言い訳する時に使う言葉になるため、敬意が伝わらないのです。
「言う」の謙譲語「申す」を使った「申し訳」という言葉は、自分の不注意による間違いに対し、理由を説明する「言い訳や弁解のこと」です。謝る相手に言い訳や弁解をする余地がない時に、詫びる姿勢を表した言葉が「申し訳・ない」になります。
「申し訳ないです」は「申し訳ない・です」を合わせた言葉で、形容詞と丁寧語の助動詞の構成です。同僚に何か頼みごとをした時に「すまない」という気持ちを表現する時に「申し訳ないです」という敬語を使います。
「申し訳ないです」が失礼な理由②正しい敬語だがビジネスシーンに適さない
失礼にあたる理由2つ目は、ビジネスシーンにはふさわしくないということです。「申し訳ないです」は、謝罪の気持ちを表現する敬語ですが、目上の人や取引先の人に対する謝罪に用いるのは、誠意の気持ちが伝わりません。「ないです」は失礼な印象があり、丁寧さに欠けるため、謝罪の言葉としてふさわしくありません。
謝罪の言葉をビジネスシーンで正しく使うためには、適切な表現に言い換えて使いましょう。「申し訳ないです」は、失礼にあたらないよう相手との関係や状況を見て使うことが大切です。
正しい言い換え①接続詞を加える「申し訳がありません」
「申し訳ないです」の正しい言い換え1つ目は、「申し訳がありません」という言い方です。「申し訳・ありません」のあいだに、接続詞の「が」を入れる言い方で、文法上の適切な使い方と言われています。
正しい言い換え②接続詞を加える「申し訳がございません」
「申し訳ないです」の正しい言い換え2つ目は、「申し訳がございません」という言い方です。1つ目の表現と同様「申し訳・ありません」のあいだに接続詞の「が」を入れる表現で、お詫びの気持ちを相手に伝えることができます。
正しい言い換え③謙譲語を用いる「申し訳なく存じます」
「申し訳ないです」の正しい言い換え3つ目は、「申し訳なく存じます」です。「思う」の謙譲語「存ずる」に、丁寧語「ます」の構成で「存じます」となります。へりくだることで、相手の立場を上げる表現になります。
敬意を増した謝罪の気持ちを相手に伝えることができます。上司や取引先へ謝罪する時など、シーンによって使い分けてみましょう。謙譲語表現に言い方を変えるだけで、印象が随分変わってきますね。
正しい言い換え④「限り」を使った表現「申し訳ない限りです」
「申し訳ないです」の正しい言い換え4つ目は、「申し訳ない限りです」という言い方です。ビジネスシーンでは「申し訳ない限りです」は殆ど使いません。ここでいう「限り」は、 物事の行きつく上限、最上という意味を持っています。
申し訳なく思っている気持ちが込められてた表現で、謝罪に対する強い誠意が感じられますが、堅苦しい印象を持った表現になります。
「申し訳ございません」と「申し訳ありません」が誤用な理由は?
誤用と言われる理由と考え方|「申し訳ない」は形容詞であるから
ビジネスシーンにおいてよく耳にする「申し訳ございません」と「申し訳ありません」の言葉が何故、誤用と言われるのかを見ていきましょう。誤用と言われるのは、形容詞である「申し訳ない」の「ない」の部分だけを「ございません・ありません」に変えて使うことができないという理由です。
しかし実際には文法的に正しくないとされる「申し訳ございません」「申し訳ありません」は、一般的に広く使われており、多くの人に認知されているのが現状です。
誤用ではないという理由と考え方|「申し訳」は名詞であるから
そもそも「申し訳ない」は、名詞の「申し訳」と形容詞「ない」の構成でできています。誤用とする考え方は、「申し訳ない」を形容詞として見た場合でしたが、現代では「申し訳」を名詞と考えるのであれば、「一概に誤用とは言えないのではないか」という意見があります。
例えば、弁解の余地が見当たらない時に用いる「申し訳が立たない」という言葉の「申し訳」は、「自分が何故そのようにしたのか」の説明(言い訳)です。「言い訳がない状態」を指す表現として考えるのであれば、「申し訳ございません」「申し訳ありません」は適切であるという考え方です。
「申し訳」は「言い訳」のことなので「申し訳ありません」は「自分には弁解の余地がなく、言い訳することはありません」という意味になります。ビジネス用語は「相手の捉え方や伝わり方で変わる」ということがわかりましたね。現代では「はっきり指摘はできないが、どこかおかしい」といった言葉は、誤用と呼ばれています。
「申し訳ないです」の正しい言い換えを使った例文は?
「申し訳ないです」言い換え①「申し訳がありません」例文
「申し訳ないです」の1つ目の言い換えは、接続詞を加えた「申し訳がありません」についてです。文法的には正しくないとされる「申し訳ありません」ですが、「申し訳ありません」は慣習的に用いられており、使用しても問題ないとされていますので、ここでは「申し訳ありません」の例文をご紹介します。
「申し訳ありません」は、こちらに非があり弁解する余地がないことから、相手に対して詫びる気持ちを表す表現です。他部署宛の社内メールや社内の上司とのやり取り、電話対応等で謝罪する時に用いられる丁寧な表現です。
「申し訳ありません」の例文
- 当方の不手際によりご迷惑をおかけし、誠に申し訳ありません。
- 本日は体調が悪いため、お休みをいただきます。申し訳ありません。
- お忙しいところ申し訳ありませんが、相談したいことがありますので少々お時間よろしいでしょうか。
- 申し訳ありませんが、今しばらくお待ちください。
- お誘いいただきましたが、あいにくその日は都合が悪く参加できません。申し訳ありません。
- お待たせして申し訳ありません。まもなく・・が参ります。
「申し訳ないです」の言い換え②「申し訳がございません」例文
「申し訳ないです」の2つ目の言い換えは、接続詞を加えた「申し訳がございません」についてです。文法的には正しくないとされる「申し訳ございません」ですが、こちらもビジネスの世界では頻繁に用いられますので、ここでは「申し訳ございません」の例文をご紹介します。
「申し訳ございません」は、「申し訳ありません」よりも丁寧な言い方です。「ありません」の丁寧な表現が「ございません」となりますので「申し訳ございません」という言葉は、主に取引先の担当者やお客様に対して謝罪するときに用いられる丁寧な表現です。
「申し訳ございません」の例文
- この度は私どもの不手際により、御社に多大なるご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございません。
- このような事態を招いてしまい、誠に申し訳ございません。謹んでお詫び申し上げます。
- ・・の件について返信が遅くなり、誠に申し訳ございません。
- ご多忙のところ申し訳ございません。折り入ってご相談したいことがありますので、お時間いただけますでしょうか。
- この度は・・様のご希望に添えず、誠に申し訳ございません。
- チャンスを生かすことができず、申し訳ございませんでした。
「申し訳ないです」の言い換え③「申し訳なく存じます」例文
「申し訳ないです」の3つ目の言い換えは、謙譲語を用いた「申し訳なく存じます」についてです。謙譲語は、へりくだった言い方で相手の立場を上げることができる表現です。相手方から質問を受けた時に自分の考えを述べる時の丁寧な言い方になります。
例えば、100%こちらに非がある時に、相手方から「この件をどう思っているの?悪いと思ってるの?」と聞かれた時の返事として「申し訳なく思っています」では、相手方に謝意が伝わりません。
ビジネスシーンでは、自分が思っていることを相手に伝える場合、「思います」ではなく、「思う」の謙譲語「存ずる」に丁寧語の「ます」を加えて「存じます」と受け答えをします。
「申し訳なく存じます」の例文
- 度重なるお願いで申し訳なく存じますが、ご対応の程よろしくお願いいたします。
- この度は多大なるご迷惑をおかけし、申し訳なく存じます。
「申し訳ないです」の言い換え④「申し訳ない限りです」例文
「申し訳ないです」の4つ目の言い換えは、最上の意味をもつ「限り」を加えた「申し訳ない限りです」についてです。「大変申し訳ない」「非常に申し訳ない」という気持ちが相手方に伝わる表現なのですが、「申し訳ない限りです」という言葉は、ビジネスシーンではあまり使われていません。
堅苦しい印象をもつ「限り」を用いた表現は、社内では不向きです。例えば、人との繋がりを大切にしている社内で「限り」を用いると相手に冷たい印象を与えてしまう可能性があります。「申し訳ない限り」の他に「嬉しい限り」や「お恥ずかしい限り」といった言葉もありますが、使う状況や相手にあわせて使うと良いでしょう。
「申し訳ない限りです」の例文
- 急かしてしまい申し訳ない限りです。・・までに納品いただけると幸いです。
下記の記事では、ビジネスシーンでよく使われている「ご連絡させていただきました」という言葉についてまとめています。電話やメールでの使い方など、確認してみてましょう。
申し訳ない!誠意のある謝罪する際のポイントは?
誠意が感じられる謝罪のポイント①自分の間違いを認めて丁重に謝る
ビジネスパーソンとして知っておくべき、誠意が感じられる謝罪のポイント1つ目は、「自分の間違いを認めて相手方に丁寧に謝る」ということです。正しい謝り方は、その場の勘に頼るという訳にはいきません。誠実さが感じられるお詫びでなければ、頭を下げても意味がなく、失礼にあたります。
これまで築き上げてきた取引先との関係を修復するためにも、こちら側に非があることを厳粛に受け止め、正しい敬語を用いて謝罪することが大切です。
誠意が感じられる謝罪のポイント②誤りを認めて謝罪し今後の対策を講じる
2つ目の誠意が感じられる謝罪ポイントは、「自分の誤りを認めて相手方に丁重にお詫びし、今後の対策を講じる」ということです。気持ちを込めて丁重に謝罪をすると、相手に「反省する気持ち」や「誠実さ」が伝わります。
築き上げてきた信頼関係を取り戻すためには、心から謝罪することが大切です。また、二度と同じミスを繰り返さないために「どうしてミスをしてしまったのか」「同じミスを繰り返さないためにどう改善していくか」など今後の対策を講じる事も大切です。
正しい敬語を身につけて「申し訳ない」という気持ちに誠意を込めよう!
今回は、「申し訳ない」という言葉が失礼な理由や誤用と言われる背景、「申し訳ない限り」等に正しく言い換えた例文をご紹介しました。いかがでしたか?ビジネスパーソンとして乗り越えなければならない「謝罪」には、誠意の感じられる姿勢が最も大切です。そのためには、普段から意識して正しい敬語を身につけましょう。
下記の記事では、ビジネスシーンでもよく使われる「させていただく」という言い方についてまとめています。使い方や類語などもチェックしてみましょう。
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