存じ上げませんの意味は?存じませんとの使い方の違いや丁寧語・尊敬語も
更新:2019.06.21
ビジネスの場などでよく使われる「存じ上げません」という言葉があります。この言葉の持つ意味と、似た表現である「存じません」とはどのように使い方に違いがあるのかを説明していきます。さらに「存じ上げません」の丁寧語・尊敬語、謙譲語、その類語についても紹介していきます。
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INDEX
存じ上げませんの意味は?
「知らない」の謙譲語
「存じ上げません」または「存じません」という言葉は簡単に言うと「知らない」という意味の言葉です。「知らない」という言葉の謙譲語が「存じ上げません」または「存じません」となるのです。自分がその話題の対象について知らない、今まで聞いたことがない、というような状態を相手に対して丁寧に伝えるときに使います。
謙譲語の表現ですので、使い方としては、自分を落として相手を立てるようなかしこまった場面で使います。言葉そのものは丁寧でかしこまっていますが、内容そのものは単に「知らない」という意味の言葉ですので、そのまま使うとぶっきらぼうな印象にも聞こえます。
そのため「申し訳ありませんが、存じ上げません」といったクッション言葉を一緒に使った方が丁寧です。クッション言葉の例には他に、「恐れ入りますが、存じ上げません」「失礼ながら、存じ上げません」「お恥ずかしいのですが、存じ上げません」などがありますので、場面に合わせて使い分けてみてください。
謙譲語とは
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この「謙譲語」とは敬語の一つです。敬語には相手の行為や状態などを持ち上げて表現する使い方の「尊敬語」や、話し相手を敬って丁寧に「ですます」を語尾に付ける使い方の言葉である「丁寧語」などがあります。
「謙譲語」の使い方は、主に自分のことを落とすことで、相手のことを立てる使い方として使われます。そのため「尊敬語」とは違って、言葉の意味は自分自身を動作主とした事柄についてを表します。
「存じる」という言葉は「思う」と「知る」の二つの意味を持つ「謙譲語」です。ですが「存じ上げません」と否定になる場合には、「知らない」という一つだけの意味を表します。否定の場合の「存じません」には「思う」という意味合いはなくなります。
「存じ上げません」と「存じません」の使い方の違いは?
「存じ上げません」の使い方
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「知る」の「謙譲語」が「存じる」という言葉になります。「知っています」ならば、「存じております」になります。しかしここでは「ません」という否定の形ですので「知らない」という意味の謙譲語は「存じ上げません」または「存じません」という形になります。
では「存じ上げません」と「存じません」の二つの違いは何であるかというと、「存じる」が「上げる」対象になる人物がいるかいないかの違いです。対象の人物がいる場合に使うのが「存じ上げる」です。つまり人物について、知っているか知っていないかを話す際には、存じ上げる、または存じ上げません、が使えます。
例えば、誰か有名な人について「知らなかった」という時は、「その方については存じ上げませんでした」というように使います。逆に間違った例として、「その方については存じませんでした」という言い方はしないということに注意しましょう。
「存じません」の使い方
「存じ上げません」の使い方が人に関してであるのに対し、「存じません」の使い方は人以外の物事に対してとなります。例えば、「そのような催しがあったことを、存じませんでした」というように使います。「そのような出来事があったことを存じ上げませんでした」という使い方はしないので注意しましょう。
「存じ上げます」も「存じます」も両方とも同じ「知る」という言葉の謙譲語「存じる」を使った表現です。ですのでどちらも「謙譲語」という相手を高く持ち上げて自分を下げるへりくだった表現に変わりはありません。大きな違いはへり下る相手がいるかいないかというところです。
つまり相手に対してへり下る時には、「存じ上げません」を使い、へり下る対処の人物がいない場合は、「存じません」を使うように使い分けます。
存じ上げませんの丁寧語・尊敬語は?
存じ上げませんの丁寧語
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自分自身がそのことを「知らない」ということを丁寧に表現する場合「知りません」というのが丁寧語になります。丁寧語は敬語の一種で、相手に対しての敬意を表す表現です。ですのでフォーマルな場面でも使えますし、目上の人に使うこともできます。
「丁寧語」の場合は、自分自身のことを相手に伝える場合に使用できます。ですので「知りませんでした」の主語はあくまで自分自身です。自分が知らなかったということを伝える時に使う表現です。
敬語については、なかなかすぐに覚えるのは難しいので、たくさんの場面での使い方を知り、慣れることが一番です。下の記事にも応用例がたくさんありますので参考にしてみてください。
存じ上げませんの尊敬語
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尊敬語の場合は、相手の動作、行動などを敬った表現ですので、主語は相手となります。相手の方が「知らない」という場面で使います。相手の方がそのことを「知らない」という事実を表す時の尊敬語は「ご存知ない」です。尊敬語も敬語の一つですが、相手を立てる表現です。
「知る」の尊敬語は「ご存知」となります。「知らない」というのであれば「ご存知ない」という表現になりますが、より丁寧な表現としては、あまり「ない」という言葉は使わない方が良いので、「ない」を「ありません」に変えた方がより丁寧な表現になります。「ご存知ない」を「ご存じありません」にした方がよいです。
また「存じ」と「存知」という二つの同じ読みの言葉の違いにも注意が必要です。「存じ」は「知っている」の謙譲語です。謙譲語はへりくだる自分が主語となりますが、「存知」は「知っている」の尊敬語なので、主語は尊敬すべき相手となり、相手が知っていることを表します。「ご」をつけて「ご存知」という使い方をします。
存じ上げませんの類語は?
「わからない」という意味での類語
「知らない」という意味の言葉といっても、その用途や場面によって様々な意味合いへと変わります。それぞれの意味合いによって、その意味合いにあった類語もそれぞれ存在しています。
例えば、「知らない」ということを、「知識がなくてわからない」「理解していない」という意味合いでの使い方をするとしたら、それに近い言葉は「わかりかねます」「承知しておりません」などが類語になります。この場合は主に人に対してではなく物事に対して使う表現です。
いずれの表現についても丁寧な表現ではありますが、もともとの言葉の意味はやはり「知らない」というシンプルな意味だけを表現している言葉ですので、そのまま使わずに、言葉の前に「申し訳ありませんが」などのクッション言葉が必要になります。
聞いたことがない場合の類語
今までそのことについて、全く知らなかった、聞いたことがない、という意味合いの場面で「知らない」という表現を使う場合でしたら、これに近い表現は「初耳です」「お聞きしたことがありません」「初めてお聞きしました」などというのが類語となります。
聞いたことがないというのは物事にも、人に対しても使うことができる表現です。「お名前を聞いたことがありません」は「存じ上げませんでした」という表現ですし、「その地名は初耳です」は「存じません」という表現になります。こちらも「恥ずかしながら」などのクッション言葉を入れて丁寧に使った方が良いと思います。
クッション言葉も場面場面に応じて使い分けがかなり必要な言葉です。基本的には、へり下る意味合いが強い表現です。相手に失礼がないものをその用途やシーンい応じて選べるようにしておいた方が良いと思います。
会ったことがない・存じ上げないの類語
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「知らない」対象が人の場合であった時には、あったことがなくて知らないというケースがあります。つまり相手の顔を知らないといった場合です。その場合は「面識がございません」や「お会いしたことがありません」などが類語として使えます。
この表現は対象が人の場合に限られ、なおかつ名前を聞いたことがなくて知らないという場合ではなく、お互いが知り合いではないということを表す場合に使われます。この場合はクッション言葉はなくてもあまり失礼には当たらない表現です。クッション言葉を使うとすれば、「残念ながら」などが適当かと思います。
人に対して、「知らない」というのは少し失礼な印象を与えかねない場合も多くあります。できる限り相手の気分を損ねない表現にする必要があります。そのため、「面識がない」「知らない」というよりも謙譲語である「存じ上げません」を使った方が無難であると言えます。
「存じあげません」の例文と使うときの注意
「存じ上げません」の例文
「存じ上げません」は人に限定されるため、かなり使われる場面が限られる表現です。ビジネスシーンなどで使われる一例を下に紹介します。
「存じ上げません」使い方例
- 課長がいらしていたとは、存じ上げず、ご挨拶が遅れ申し訳ありませんでした
- 入院していたとは存じ上げず大変失礼いたしました
- 有名な方だったんですね、恥ずかしながら存じ上げませんでした
「存じ上げません」を使うときの注意
基本的に「存じ上げません」というのは申し訳ないことを伝えている場面使う表現ですので、上の例文のように「申し訳ありません」「失礼しました」を一緒に使うことが多い言葉です。
また、うっかり忘れていた場合などは「知らなかった」という「存じあげません」を使うのではなく、正直に「失念しておりました」と謝罪をしましょう。
「知らない」をサポートする言い回し
かねます
知らない、わからないという言葉をもっと和らかく表現するために、「かねます」を最後につける表現の方法があります。「存じません」「存じ上げません」というのはビジネス会話としてはとても良い表現ですが、少し冷たい印象もあります。
特に接客業やサービス業のように、ホスピタリティーが大事で、相手に聞かれたことを案内するお仕事などでは、知らないという表現を存じませんと答えるより、「わかりかねます」と答えた方がより丁寧に伝わります。
また、「かねる」という表現には「できない状況である」という意味があります。ですので「わかりかねます」という言い方には、お答えしたいのだけれども、私の現状の知識では無理であるという、答えたいという気持ちがある、といった意味合いを演出する表現でもあります。
おります
「おります」という言葉は「おる」という言葉で、「いる」という継続的な状態を表す言葉を敬語にした表現です。そのため「おりません」というと、「〜していない」という丁寧な言葉になります。「かねます」と同様に語尾につけて使います。
「知っている」という言葉も丁寧にいえば「知っています」となりますが、さらにそこに「おる」をつけて「知っております」という表現にすると格段に丁寧に美しい言葉に変わります。また、「存じ上げません」でしたら「存じ上げておりません」と伝えると謙譲語がさらに柔らかい表現になります。
「存じ上げます」を使いこなそう
少しフォーマルでかしこまった表現の「存じ上げています」という言葉ですが、なかなか普段の会話では使う機会はないかもしれません。ちょっと背伸びした印象のある言葉でもあります。
日本語の表現はとても繊細で、言い回し一つで印象が変わります。身につけるのはなかなか難しいですが、使いこなすとかっこいい大人だなと周囲から思われること間違いなしです。下の記事も参考にして、日本語をもっと上手に使ってみましょう。
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