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ヘブライ語が由来の名前11選!キリスト教や聖書の単語が由来の人名も

更新:2019.06.21

ユダヤ人が使用するヘブライ語ですが、世界中の人々の名前に影響を与えています。この記事ではヘブライ語に由来する名前を紹介します。聖書に登場する単語やキリスト教に関わる人名を集めました。日本人の名前にも使われているものがありますよ。

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ヘブライ語って何?

古典ヘブライ語|古代ヘブライ人の言語

本と女性

ヘブライ語は2つあります。まず1つ目は、古典ヘブライ語と言われる古代ヘブライ人が使用していた言語です。古代ヘブライ人は現在のパレスチナで生活していたとされ、ユダヤ人の母体となった存在です。ちなみにヘブライは、ユーフラテスという中東地域に流れる川を越えて移住した人々をへブル人と呼んだことに由来します。

古典ヘブライ語は、ヘブライ人が日常使っていた言語とカナン語という中東地域の言語が混ざった言語だとされています。当時はアラム語が席巻していましたが、徐々にこちらの言語が使われていきました。ユダヤ人がディアスポラで散り散りになったため、日常的に使われることはなくなってしまいました。

現代ヘブライ語|イスラエルのユダヤ系住民の言語

お祈りをする女性

2つ目のヘブライ語は、現代ヘブライ語というイスラエルのユダヤ系住民が使用する言語です。20世紀になって復活しました。パレスチナに移住したあるロシア人が、聖書から単語を発掘したり新しい言葉を作り上げるなどして、復活に貢献したそうです。

ディアスポラ以降、ヘブライ語はユダヤ教の宗教儀式で話されるのみでしたが、現在はイスラエルの公用語となるまでに話されるようになりました。また、イスラエルのアラブ人住民の影響を受け、現代ヘブライ語にはアラビア語が混じっています。

ヘブライ語が由来の世界の人々の名前5選

ヘブライ語由来の人名①キリスト教に関連する男性名ジョン

親切な男性

ヘブライ語の人名、1つ目はジョンです。男性名でキリスト教の聖人ヨハネに由来し、神は親切を意味します。ちなみに、ヨハネはラテン語形式です。ヘブライ語ではヨハナンという単語になります。新約聖書には洗礼者とキリスト教の使徒の2人のヨハネが登場します。洗礼者ヨハネはイエス・キリストに洗礼を授けた人物です。

十二使徒のヨハネはイエスの最初の弟子だったそうです。ヤコブという兄弟がおり、2人で漁をしていたところ、声をかけられて弟子になりました。気性の激しさから雷の子の愛称が付けられています。キリスト教の十二使徒の中では唯一生涯を全うし、トルコ西部のエフェソスで亡くなりました。

ヨハネにはジョニー、イアン、ジャン、ハンスなど派生形がたくさんあります。ヨーロッパ以外に、アフリカにもDeshawnなどヨハネのルーツがある名前があります。


ヘブライ語由来の人名②聖書に登場するエヴァ

妊婦

ヘブライ語由来の人名、2つ目はエヴァです。女性名で聖書に登場する原初の女性が由来です。エヴァをヘブライ語にするとハヴァとなり、呼吸する・生命を意味する単語です。このエヴァはアダムが最初に創られたのちにその肋骨から創られ、アダムに名付けられました。エデンで実を食べてしまい、アダムとともに追放されます。

実を食べた罰として、出産とそれにまつわる苦しみを与えられたエヴァは、カインとアベル、セトの3人の子どもを産みました。セトからノアの箱舟で知られるノアが誕生します。この話により、彼は人類の繁栄をもたらし、最初に子を産んだエヴァは人類の母と言われるようになりました。

エヴァの派生形はイヴ、エヴィー、エヴィータが挙げられます。これも世界中で広まっている名前です。日本では絵羽、絵葉という名前があります。

ヘブライ語由来の人名③イスラエルの英雄デイビッド

腕組みする男性

ヘブライ語由来の人名3つ目は、デイビッドです。男性名でイスラエルの英雄ダヴィデに由来し、愛される・伯父の意味の単語です。ダヴィデの正式名はダーウィーズです。旧約聖書に彼の功績が記されており、それによるとゴリアテという巨人の敵と戦って倒し、その後の戦争も勝ち抜いてイスラエルの王となったそうです。

ダビデは王として40年イスラエルを統治したのち、息子のソロモンに王位を譲りました。死後は、芸術の対象となりダビデ像などの作品が生み出されています。また、新約聖書によると、イエスはダビデの子どもとされています。

ちなみに、トランプのスペードの王様はこのダビデがモデルになったそうです。現在のイスラエル国旗の六芒星はダビデの星と呼ばれ、ユダヤ人の象徴となっています。デイビッドの派生形はダヴィド、デイブなどがあります。女性形はダビナです。

ヘブライ語由来の人名④蜂蜜を意味する単語のデボラ

蜂蜜

ヘブライ語由来の人名4つ目は、デボラです。女性名でヘブライ語のDevorahに由来し、蜂蜜を意味する単語です。旧約聖書では女性の預言者、乳母の2人が登場します。預言者デボラは士師と言われる裁判官のような仕事をしていました。彼女が裁判をしていた場所を「デボラのナツメヤシの木」と呼んでいたそうです。

デボラが士師となったのは、カナン人の支配下にあったイスラエルの民衆の頼みによるものです。のちにデボラはバラクという同僚とともにカナン軍と戦う兵士を召集し、その際にした預言が的中しました。戦いには勝利し、士師記5章では歌を贈られています。デボラは士師の中で唯一の女性であり、夫よりも活躍していました。


デボラにはデビー、デブといった短縮形があります。長らくユダヤ人の間でのみ使用されていた名前で、イギリスで使われだしたのは清教徒革命以降です。

ヘブライ語由来の人名⑤レビ記に関連するリヴァイ

握手する男性

ヘブライ語由来の人名、5つ目はリヴァイです。旧約聖書のレビに関係する男性名で、参加した・付属したという意味がある単語です。リヴァイは英語読みで、オランダではレビと発音します。ユダヤ人が主に使用する名前です。イギリスにはデボラと同じように清教徒革命の後に入ってきました。

聖書のレビはヤコブというヘブライ人の息子で、彼と一緒にエジプトへ移り住んだのち、レビというイスラエルの一族の始祖となりました。レビは職業と土地を受け継がなかったために、彼の子孫はイスラエルで重要とされる氏族から外れています。その代わりに、祭司の仕事を父親から与えられています。

旧約聖書のレビ記には、祭司の規則やユダヤ人のための規則が記されています。ちなみに、このレビ記はモーセが書いたとされています。出エジプト記で有名なモーセはレビ族の出身です。彼はアーロンという同族とともに、奴隷であったイスラエル人を脱出させることに成功しました。

ヘブライ語が由来の日本人女性の名前3選

日本人女性の人名①ユダヤ人名由来の直美(ナオミ)

愛想の良い女性

日本人女性の人名1つ目は、直美です。なおみや尚美などの表記の仕方も豊富ですが、ユダヤ人名でもある名前です。由来は旧約聖書のルツ記に登場するナオミで、愉快な・愛想の良いという意味です。エリメリクという男性の妻であったナオミは、夫の死後に息子の妻であるモアブ人のルツと生活し、彼女の再婚を見届けます。

ルツが再婚したのはナオミの夫の親戚であるヘブライ人でした。2人の間に産まれた子はナオミが預かって育てたそうです。この子孫からあのダヴィデ王が誕生します。聖書にルツ記があるのは、ダヴィデ王のルーツに異なる民族の人間がいて、それを神が受け入れる寛大さを象徴するためだという解釈がされています。

この名前もユダヤ人によって長く用いられてきました。イギリスで一般的になったのは清教徒革命後、日本で使われるようになったのがいつ頃なのかははっきりしていません。

ヘブライ語の人名②聖母に由来する真利亜(マリア)

お腹を撫でる妊婦

日本人女性の名前2つ目は、真利亜です。短縮形の麻里などもよく見かける名前ですね。この名前はキリスト教の聖母マリアに由来します。マリアのヘブライ語表記はミリアムです。正確な意味は分かっていませんが、苦しみの海・反抗・子どものために祈るといった仮説があります。聖母マリア以外にマグダラのマリアも有名です。

福音書によると、イエスの母マリアは処女のまま出産したことになっています。そのため「処女マリア」や「乙女マリア」といった称号が贈られています。ほかに「神の母」「我らが貴婦人」といった呼び名があり、特にカトリック教徒に崇拝される存在です。マグダラのマリアは娼婦扱いでしたが、最近は見直す動きがあります。

日本で最古のマリアは京極マリアという安土桃山時代の女性です。彼女は浅井久政の娘で、キリスト教の神父からドンナ・マリアという洗礼名を授かったことでマリアと名乗るようになりました。海外ではキリスト教の影響もあり、ユダヤ人以外でも古くから使われてきた名前です。

ヘブライ語の人名③ユダヤ人名由来の紗良(サラ)

プリンセスの格好の女の子

日本人女性の名前3つ目は、紗良です。サラには沙羅双樹由来の名前もありますが、ユダヤ人名のサラが由来の場合もあります。ヘブライ語で意味は貴婦人・王女となります。旧約聖書ではアブラハムの妻として登場し、ユダヤ人にわれらの母と呼ばれる存在です。理由は、夫・アブラハムが最初のヘブライ人とされているためです。

聖書によると、彼女は不妊でしたが90歳のときに息子イサクを産みました。それ以前にアブラハムの側女がイシュマエルという名の子を産んでおり、親子共々サラによって追放されてしまいます。のちにイサクはユダヤ人の太祖として、イシュマエルはアラブ人の先祖として称えられるようになります。

日本では、江戸時代初期にやってきたヤックス・スベックスというオランダ人が日本人との間にもうけた娘がサラだということが分かっています。サラは日本語に近い響きで馴染みやすいので人気な名前です。こちらの記事でさらに使える漢字を知りましょう。

ヘブライ語が由来の日本人男性の名前3選

日本人男性の名前①ヘブライ人名の譲(ジョー)

ソースを注ぐ男性

日本人男性の名前1つ目は、譲です。作曲家の久石譲さんが有名ですね。ジョーはラテン語のジョゼフの変化形であり、元々はヘブライ人名のヨセフです。単語の意味は加える・すすぐとなります。母親のラケルの初めての子どもで、神がその恥を注いだという説と、もう一人男の子を加えることを神に願ったという説があります。

このヨセフは、旧約聖書にユダヤ人の祖先であるヤコブの11番目の子として登場します。ヨセフは父親に溺愛され、他の兄弟から妬まれた結果エジプトに向かいます。そこで宰相にまで登り詰め、イスラエルを大飢饉から救うことになります。兄弟たちとは飢饉の最中にエジプトで再会し、紆余曲折を経て仲直りを果たしました。

譲によく似た譲二という名前はジョージが由来のため、ジョーとは関係がありません。ジョーの派生形としては、ジョーイ、ジョゼ、ジュゼッペが代表的です。

日本人男性の名前③ヘブライ人名の弾(ダン)

天秤と木槌

日本人男性の名前2つ目は、弾です。ウルトラマン7にちなんで名付けられる名です。ダンの由来は2つあり、1つはヘブライ人名のダンが由来で、彼は判断したという意味です。ヨセフと同じようにヤコブの子で、ダン族の先祖として名を残します。のちに、ダン族からはサムソンという怪力の士師が旧約聖書に登場します。

もう1つの語源は、ダニエルというヘブライ人名です。ダニエルの短縮形はダンで、意味は「神は私の審判者」です。旧約聖書にバビロン王に仕える賢明な男性として登場し、色々な謎解きや預言をしています。ある説ではこのダニエルは想像上の人物で、当時抑圧されていたユダヤ人を励ます意味がある書だとしています。

日本人男性の名前③伊作(イサク)

笑う男性

日本人男性の名前3つ目は、伊作です。漫画家や教育者にこの名前の方がいますね。由来はアブラハムの息子イサクです。ヘブライ人名で、彼は笑うという意味です。イサクは180歳まで生き、子どもにはユダヤ人の先祖だとするヤコブとエサウがいます。

旧約聖書のイサクの燔祭という話では、アブラハムはこのイサクを神にささげるよう命じられ、その通りにしようとして天使に止められます。これにより信仰心が神に祝福され、子孫を増やすことを約束した、という内容です。

外国人風の名前で登夢や怜雄などが珍しい名前としてありますが、伊作もなかなか見られない名前ですね。こちらの記事ではそんな変わった名前が紹介されています。

世界の人名のルーツとなるヘブライの名前を知ろう

ヘブライの名前はユダヤ教やキリスト教の聖書に登場するため、世界中で派生形が誕生しており、日本では戦国時代に宣教師を受け入れているため、ヘブライ語由来の名前が時々見かけられます。ヘブライ人の名前と意味を知れば、世界の多くの人名のルーツが分かるようになりますよ。

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