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春夏秋冬・季節の和歌8選

和歌は四季の季語を詰め込んだ季節感あふれる日本の文化

和歌というのは日本語で読まれる歌のことです。31文字の短い文の中に、季節をあらわす季語などが入り情景を表現します。和歌は季節感あふれる日本の文化なのです。

季節の和歌・春編①紀友則の歌で春の日の和歌

季節の和歌・春編の1番目は紀友則の歌で春の日の和歌です。「久方の 光のどけき春の日に しづ心なく花の散るらむ」この歌は百人一首にも収められている有名な歌で紀友則が作者です。知っている人も多いかもしれませんね。

この歌の意味は「光がのどかな春の一日に、どうして落ち着いた心もなく桜の花は散っているのだろう」です。風のない春の穏やかな日差しの中でちらちらと散っていく桜。それを見て作者は人生の儚さを重ね合わせているのかもしれません。作者の静かな心とそれに対して次々に散っていく桜の、静と動の対比が美しい和歌です。

季節の和歌・春編②俊成卿の女の歌で梅の花の和歌

季節の和歌・春編の2番目は俊成卿の女の歌で、梅の花の和歌です。「風かよふ 寝覚めの袖の花の香に かおる枕の春の夜の夢」この歌の作者は女性で、恋人が訪ねてこない夜を一人で過ごした次の朝に詠んだものです。

意味は「夜明けの風は部屋の中に吹いてきて、ふと目覚めた私の袖が花の香に薫る。花の香りが漂う枕で見ていた儚い春の夜の夢よ。」ですが、愛しい恋人の夢を見ていたのでしょうか。自分の枕元や袖が風で運ばれてきた花の香りに包まれていきます。定かでない甘美な夢の余韻に浸っている美しい歌です。

季節の和歌・夏編①持統天皇の歌で初夏の風景の和歌

初夏

季節の和歌・夏編1番目は持統天皇の歌で初夏の風景の和歌です。「春過ぎて 夏来にけらし白妙の 衣干すてふ天の香具山」こちらも百人一首にも選ばれている歌で、有名な歌なので知っている人も多いでしょう。初夏のすがすがしい風景に感動した気持ちを素直に詠んだ歌です。

意味は「春が過ぎて、夏がやって来たらしい。天の香具山に今、真っ白な衣が干してあるよ。」で新緑の情景が浮かんでくる絵画のような歌です。

季節の和歌・夏編②藤原良経の歌で梅雨の風景の和歌

季節の和歌・夏編の2番目は藤原良経の歌で、梅雨の風景の和歌です。「うちしめり あやめぞかおる ほととぎす 鳴くや五月の雨の夕暮れ」あやめやほととぎす、五月雨といった季語がふんだんに使われ、情感たっぷりの歌です。五月の夕暮れにしとしとと降り続く五月雨は、陰暦5月の梅雨時を表しています。

そんな梅雨時の夕暮れにあやめの香りが一段と強く薫ってきます。ほの暗い夕闇の中からどこからともなくほととぎすの鳴き声が聞こえてきます。梅雨時の肌にまとわりつくような湿気と、夕闇に閉ざされた視界の対比が、五月雨とほととぎす、あやめの香りとして詠まれていて、嗅覚と聴覚を見事にとらえている歌です。

季節の和歌・秋編①藤原敏行の歌で立秋の和歌

季節の和歌・秋編の1番目は藤原敏行の歌で立秋の和歌です。「秋来ぬと 目にはさやかに見えねども 風の音にぞ驚かれぬる」この頃は暦の上では秋ですが、まだ夏の名残が残っていて秋になった実感がありません。秋の紅葉やコオロギの鳴き声もまだ遠い季節です。

歌の意味は「秋が来たとは目にはっきり見えないが、風の音によって気が付いたことだよ。」で、秋の到来を微妙に変わった風によって作者はとらえたようです。わずかな空気や風の違いを敏感に感じ取って歌に詠んだ、作者の鋭敏な感覚が光る一首です。

季節の和歌・秋編②藤原顕輔の歌で月の和歌

季節の和歌・秋編の2番目は藤原顕輔の歌で月の和歌です。「秋風に たなびく雲の絶え間より 漏れづる月の影のさやけき」百人一首にも選ばれている有名な歌で、意味は「秋風に吹かれてたなびいている雲の切れ間から、漏れ出てくる月の光の明るく清らかなことよ。」です。

秋風が吹いてきて、雲が次々に空を流れていきます。その雲がふと途切れると、雲の切れ間から明るい月の光が差し込んできます。澄み切った明るさに息を飲むという、その一瞬の瞬間を鮮やかに切り取った歌です。上から下へと流れるように続く言葉づかいも、月の光の一瞬の印象を見事に表しています。

季節の和歌・冬編①山部赤人の歌で富士山の和歌

季節の和歌・冬編の1番目は山部赤人の歌で、富士山の和歌です。「田子の浦に 打ち出でてみれば白妙の 富士の高嶺に雪はふりつつ」意味は「田子の浦を通って、視界の開けたところに出てみると、なんと真っ白に富士の高嶺に雪が降り積もっているよ。」で、駿河湾と富士山を組み合わせた雄大な景色を歌った歌です。

しかし実際には田子の浦から雪の積もった富士山を見ることは不可能であることから、作者が頭の中で組み立てたイメージを歌に詠んだとされています。青い海と白い雪をかぶった富士山の絵画的な情景が目の前に浮かんでくる、美しい冬の歌です。

季節の和歌・冬編②大伴家持の歌で百人一首にもある天の川の和歌

季節の和歌・冬編の2番目は大伴家持の歌で百人一首にもある、天の川の歌です。「鵲の 渡せる橋に置く霜の 白きを見れば世ぞふけにける」です。意味は「鵲が架けたと伝えれれている橋の上に降りた霜が、いかにも白々とさえているのを見ると、天井の夜はもうすっかり更けてしまったのだな。」で有名な和歌の一つです。

鵲の橋というのは七夕の伝説で、七夕の夜に鵲たちが天の川に橋を架けて織姫と彦星を合わせたといわれています。作者は冬の夜空にきらめく天の川を見て、ロマンチックな伝説と天上界の神秘的な世界を思い浮かべています。天の川の星と、白い霜の輝くようなイメージが、幻想的な歌です。

和歌は研ぎ澄まされた言葉を集めた、究極の日本語とも言えますが、現代の日本語にも注目してみましょう。かっこいい日本語の単語や難しい熟語など、ここでもう一度日本語をおさらいしてみませんか。次の記事をぜひチェックしてみてくださいね。

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もっと色んな和歌が知りたい!おすすめの和歌集は?

おすすめの和歌集①古今和歌集

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おすすめの和歌集の一つ目は古今和歌集です。古今和歌集の特徴は、それまでの和歌集にはない、日本古来の美意識がちりばめられた点で、それ以降の日本の文学や美術に大きな影響を与えました。和歌だけでなく様々な日本文化の基本となっているとも言えます。花は桜と謳われたのも古今和歌集が最初です。

ここで古今和歌集の中から有名な和歌をご紹介します。「我が君は 千代に八千代にさざれ 石の巌となりて 苔の生すまで」言わずと知れた国家、君が代の元となった歌です。この歌の作者は読み人知らずとされていて、はっきり誰が作ったかは分かっていません。

歌の意味は「私の大切な君は、人の千倍も八千倍も永遠に生きて、小さな石が岩になってそこに苔が生えるまで、長寿でありますように。」ということを歌っています。お祝いの席で詠まれた歌が伝承され現代の国歌になったと言われています。

おすすめの和歌集②新古今和歌集

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おすすめの和歌集の2番目は新古今和歌集です。この和歌集は古今和歌集の後に、後鳥羽院の命によって編纂された和歌集で、古今和歌集と比べると春の歌に比べて秋の歌、夏の歌よりも冬の歌が圧倒的に多くなっています。新古今和歌集に収められた歌は高い技術と教養が要求され、ロマンチックな世界観が表現されています。

それでは新古今和歌集の中から和歌をご紹介しましょう。「梅の花 匂ひをうつす袖の上に 軒もる月の影ぞあらそふ」これは「梅の花が香りを移す私の袖の上に、軒先から漏れ落ちる月の光が、梅の香りと争うかのように、映っていることだ。」という意味です。梅と月、香りと光とドラマチックな光景が浮かんできますね。

次の和歌は「かきやりし その黒髪の筋ごとに うち臥すほどは面影ぞ立つ」、この歌の意味は「一緒に夜を過ごしたあの夜、私が払いのけてやった愛しいあの人の黒髪。寂しい夜を過ごしているこんな夜は、その黒髪の一筋一筋までも鮮明にあの人の面影が浮かんでくる」という官能的でロマンチックな歌です。

春夏秋冬・季節の和歌を味わって季節を楽しもう

春夏秋冬の季節の和歌を味わうことで、自然の美しさや日々の何気ない変化にも感動する心が生まれます。和歌は言葉を選んで凝縮した美しい日本語の結晶です。歌人たちは現代で言うコピーライターに通じる部分があるかもしれませんね。そんな和歌の世界をちょっとだけ意識すると生活がより豊かになることでしょう。

和歌は日本文学にも多大な影響を与えたといわれています。時にはそんな日本の文学名作をじっくり読んで、和歌の世界と比べるのも面白いかもしれませんね。下の記事もぜひチェックしてみてください。

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