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「あいわかった」の返事の意味や使い方は?相分かった/あい分かった

更新:2021.04.16

「あいわかった(相分かった)」という言葉を耳にしたことはありますか?現在ではあまり使われていない表現ですが、「よくわかった」と返事をする時に使われていました。ここでは、「あい分かった」の意味や使い方の他、「わかり申した」などの類語についてもまとめてみました。是非参考にしてみてください。

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「あいわかった」の意味とは?

「あいわかった」とは「よくわかった」という意味

きれい

あいわかったとは、現在の言葉では「よくわかった」という意味です。漢字では「相分かった」と表現されます。この漢字の「相」は、昔の言葉によく使われており、後に続く言葉を重く受け止めている様子を表すことが多いです。交渉や依頼などで使われており、通常の会話においてはあまり使われません。

また、「あい」と発音することで、語調を整える効果があります。言葉の初めに「相(あい)」をつけることで、言葉のリズム感や発音のしやすさなどの調子を整える意味があったと伝えられています。語調を整える目的で「相」をつける場合、「相成るべくば」のように、「相」の後に続く言葉が訓読みの言葉となります。

「あい」は返事ではない

電話

「あいわかった」の「あい」の部分は返事ではありません。初めて「あいわかった」と聞くと、赤ちゃん言葉の返事のような印象を受けるかもしれませんが、「あいわかった」は、「相分かった」と、漢字で表される言葉なので、「あい」の部分は返事ではないのです。

「あいわかった」は身分の高い人が使う言葉

「あいわかった(相分かった)」は、武士の他に地域の長や殿様など、身分が高い存在や高貴な存在である人が使います。昔は、方言のせいで大事な伝言が行き渡らなくなるのを防ぐために、サムライ言葉が使われました。このサムライ言葉に「あい分かった」が含まれており、上流階級の人々の共通の言葉として知られていました。

伝わりにくい方言といえば、真っ先に思い浮かぶのは「沖縄の方言(うちなーぐち)」ではないでしょうか?標準語と比べてみてその違いに驚いた方も多いと思います。参考記事として「【女子必見】沖縄の方言(うちなーぐち)を解説!かわいい方言も紹介!」を以下に載せていますので、併せてご覧ください。

「あいわかった」と使う時は深刻な状況が多い

ミス

現在、「あいわかった(相分かった)」という言葉を知ることができる場所は、古い書籍やゲームやアニメのキャラクターのセリフがほとんどですが、「あいわかった」という言葉が使われる時は、必ずと言っていいほど深刻な状況に陥っています。大きな決断を迫られた時や、仕方なく相手を受け入れた時などに使われています。


実際に使われていた時代では、依頼を受けた場合など、深刻な場面に限らず使われることもありました。ですが、やはり身分の高い人が使うことの多い言葉だったということもあり、そういう立場の人が選択を迫られる場面というのは、窮地に追い込まれた場合が多いです。

「わかり申した」という返事の使い方と似ている

返事

「あいわかった」の類語は「わかり申した」です。「わかり申した」の方が聞き覚えがあるかもしれません。「わかり申した」は、時代劇やアニメのサムライキャラのセリフによく使われます。単純に返事をするだけなら「わかり申した」の方が自然ですが、深刻な場面での返事は「あいわかった」の方がより真剣さが伝わります。

「わかり申した」と「相分かった」は微妙に違う

パソコン

「わかり申した」もサムライ言葉の一つですが、「相分かった」との違いは、そのフランクさにあります。「わかり申した」は、深刻な場面の他に、日常会話で使うことができる言葉です。対して「相分かった」は、日常会話で使うのは仰々しい印象があります。場面に合わせて使い分ける必要のある言葉です。

「あいわかった」の語源とは?

「相分かった」の「相」の語源について

考え事

「相分かった」の語源を知るには、まず「相」の意味や使い方について知る必要があります。「相」という字は、「あい」と読む場合、「合い(会い)」という意味になります。動詞の前に使われると「一緒に」という意味になります。

「相」を初めにつけることで、「面と向かって話をしている状況」である意味を含んでいます。つまり、「相分かった」とは、語調を整える意味を持ちながら、「相手の話をしっかり聞いて理解し、納得した」という強い決意の表れであると言えます。

「相」とは候文に使われる言葉

本

「相分かった」に使われる「相」は、候文(そうろうぶん)に含まれる言葉の一つです。候文とは、中世から近代にかけて使われた文語の文体の一種です。候文の中には、助動詞の「候(そうろう)」や、副詞の「いささか」等多くの言葉がありますが、その中でも「相」は、接頭語として分類されています。


接頭語は現在でも使われており、代表的な言葉を例にすると、「御親切」の「御」に当たる部分を指します。この「御」は敬語を作るための接頭語になりますが、「相分かった」の「相」の場合は「一緒に」や「互いに」といった意味を表す接頭語となります。

古事記に掲載されている歌が語源

本

「相分かった」と同じ接頭語の「相」は、古事記が語源となっています。古事記歌謡六一に「御諸の 其の高城なる 大猪子が原 大猪子が 腹にある 肝向う 心をだにか 相思はずあらむ」という歌がありますが、ここで使われている「相思はずあらむ」は、「あなたも一緒に思ってほしい」という意味になります。

ここでの「相」の使い方は、「相分かった」の「相」と同様に、接頭語としての使い方であるため、語源とされています。「相分かった」の場合、「一緒に」という直接的な意味ではなく、相手の話を聞いた上で「承知した」という意味を含んでいます。

万葉集にも使われている

本

「相」は、古事記と同じく歴史的な古書である、万葉集にも使われています。「夢の逢ひは 苦しかりけり 覚どろきて かき探れども 手にも触れねば」という歌の、「夢の逢ひは」の部分ですが、ここは原文だと「夢之相者」となります。この「相」は、そのまま「会い」という意味になります。

「あいわかった」は現代で使える言葉?

「あい分かった」は現代で使うべきではない言葉

仕事

「あい分かった(相分かった)」という言葉を知る機会が圧倒的に少ない現代では、使用を避けた方が無難かと思われます。最もポピュラーな表現である「わかりました」で十分伝わります。使用したい場合は、「あいわかった」の意味と使い方を知っている人の前で使いましょう。

対して、昔から伝わり、現在に至るまで使用され続けている言葉も存在します。その一つが「参上」という言葉ですが、正しい使い方を知っていますか?なんと「○○参上!」のように後付けするのは間違いなのだそうです。「「参上」は正しい敬語?意味や例文・使い方・類語も紹介!【状況別】」を是非参考にしてみてください。

職業次第では「あい分かった」を使う場合もある


仕事

職業によっては、この「あいわかった」を使う場合もあります。それは、舞台役者や、日本文化の継承を目的とした職業の場合です。前者の舞台役者は、時代劇などの自分のセリフで使うことになるかと思います。後者の日本文化の職業は、剣道や茶道・華道など「道」のつくもので、ごく一部ですが今でも使われているようです。

「あいわかった」の文例3選

「あい分かった」の文例①「すまぬ、あいわかった。」

助け

「あい分かった」の文例その1は、「すまぬ、あいわかった。」です。時代劇や小説の中で、この表現を見たことがある人もいるのではないかと思います。主に、相手に何かしてもらった時に使います。現在で言うところの「申し訳ございません。ありがとうございます。」の使い方と似ています。

「あい分かった」の文例②「あいわかった、よきに計らえ。」

考えごと

「あい分かった」の文例その2は、「あいわかった、よきに計らえ。」です。「あいわかった」もそうなのですが、「よきに計らえ」という言葉も、現在ではあまり使われなくなっている言葉の一つです。こちらは、現在の使い方で「わかりました。都合のいいように処理しておいてください。」と言っているのと同じになります。

「あい分かった」の文例③「あいわかった、我にお任せあれ。」

お任せ

「あい分かった」の文例その3は、「あいわかった、我にお任せあれ。」です。こちらもやはり、現代向けの表現ではなく、今では時代劇等の作中にて使われる文章となっています。主に、相手の依頼を承った時に使い、現在で言うところの「承知いたしました。私にお任せください。」の使い方と似ています。

「あい(相)」が付く表現3選

「あい(相)」が付く表現①「相成る」

チーム

「あい(相)」が付く表現の1つ目は、「相成る(あいなる)」です。「相成る」は、現在では、メールでの時候の挨拶や、集会での初めの挨拶などに使われている言葉の一つです。

時候の挨拶では、「春暖の候と相成りましたが」のように使います。「相成る」の類語は、「起きる」「発生する」「生起」なので、「相成る」とは、何らかの現象が起きたことを意味する単語ということになります。かしこまった言い方なので、日常生活で使われることはあまりありません。

「あい(相)」が付く表現②「相変わらず」

サプライズ

「あい(相)」が付く表現の2つ目は、「相変わらず」です。こちらは、日常生活においても口にする機会の多い言葉で、「今までと変わった様子が見られない(以前と変わらない)」という意味になります。類語は「いつも通り」「今も昔も」「変化がない」などであり、以前の状態を継続している様子を表す言葉です。

「相変わらず」という言葉は、言い方一つで相手の気分を良くしたり悪くしたりする場合があるので、注意が必要です。例えば、「相変わらずお綺麗ですね」と言えば褒め言葉になりますが、「相変わらず子供っぽいね」と言えば蔑んだ言葉になります。人間関係を円滑にするために、ポジティブな言葉として使っていきましょう。

現代でも使える「相変わらず」ですが、久方ぶりに会う人に対して使う言葉です。そんな場面で使える言葉やマナーについてまとめた記事「手土産・お土産の渡し方やタイミングは?挨拶の言葉・ビジネスマナーも」を関連記事として載せていますので、そちらも併せてご覧ください。

「あい(相)」が付く表現③「相すみません」

謝る

「あい(相)」が付く表現のその3は、「相すみません」です。「相すみません」は、実は前まで使われていた言葉で、昔はビジネスシーンにて謝罪するときに使われることがありました。最近では、言葉自体を知らない人が多くなってきたということで、使用することが不適切な風潮が出てきたため、使われる機会が減りました。

元々、上司や顧客に対して謝罪する場合、「すみません」という言葉は避けた方がいいというマナーがあります。そういう事情もあり、「相すみません」が使われることはあまりありませんでした。ですが、昔生まれた言葉が最近まで使用されていたということを、長く続いた歴史の一つとして知っておくことは大切です。

日本文化の一つとして「あいわかった」を知ろう

「あい分かった」は、今では使われない返事の仕方ですが、昔使われていた言葉や文化として是非知っておきましょう。「相」の語源についても知識として知っておくことで、普段使われている「相変わらず」「相成る」などの意味がもっとよくわかると思います。これをきっかけに昔の言葉に興味を持っていただけると嬉しいです。

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