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和綴じとは?
和綴じは製本様式の一種
和綴じは、ひとつに束ねた紙の背を、麻糸などでしっかりと綴じた製本様式のことです。日本の本は、明治期までは和綴じが主流でしたが、西洋の製本技術が導入された現在では、洋綴じの方が多いですね。手作りの和綴じと異なり、機械での大量生産が可能となったことが、理由です。
和綴じと洋綴じの大きな違いは、表紙の背の部分にあります。洋綴じの場合、綴じた部分は、表紙のカバーで隠されていますが、和綴じの場合は、かがった糸の模様をそのまま見ることができます。
和綴じ製本の成り立ちは平安時代
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和綴じ製本の成り立ちは、千年以上も昔まで遡ります。製本の方法そのものは、中国から入ってきたものですが、当初は2つ折りにした紙を束ねて、糊付けしたものが基本でした。ここから独自に発展し、大和綴じという、表紙の2箇所を糸でシンプルに結ぶ方法が生み出されました。
その後、木版での印刷が可能になった江戸時代に、本を出版する版元が増えました。出版の需要にしたがって、糸で綴じる、和綴じの製本技術が発展していったのです。
魅力は糸が織りなす表紙の装飾性
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和綴じ製本は、糸の部分が見えるということが、長所です。糸の通し方や、穴の開け方ひとつで、本の雰囲気が変わってくるため、洋綴じでは演出できない魅力を発揮します。侘び寂びが感じられるシンプルなものから、刺繍をしたような装飾的な一冊などを、自由自在にデザインすることができます。
実際に、製本作業が爆発的に増えた江戸時代には、さまざまな種類の綴じ方を職人たちが開発しています。自分ひとりで和綴じ製本をしても、工夫や想像しだいで、新しい綴じ方を開発することができるのが魅力です。
手作りの和綴じ製本がブームに
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現在の和綴じは、お寺の経本や謡曲の本などで見かけることができます。江戸時代ほど和綴じで製本した書籍の出版は盛んではありませんが、代わりに「誰でもできる作りの和綴じ」という楽しみ方が誕生しました。自分だけの和綴じノートを作るなど、和綴じ製本の技術は、静かなブームとなって受け継がれているのです。
江戸時代の和綴じは、和紙で作られていましが、現代の和綴じ製本は、昔以上にアレンジの幅を広げることができます。さまざまな種類の紙を手にいれることができ、糸の素材も豊富なためです。和の魅力を出しつつ、オリジナルの工夫を追求できる点が人気となっています。
簡単な手作り和綴じ製本の作り方は?
簡単な手作り和綴じ製本の作り方①基本の四つ目綴じ
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簡単な手作り和綴じ製本の作り方の1つ目は、基本中の基本となる「四つ目綴じ」です。本などを綴じるために、4つの穴を必要とすることから名付けられました。マスターしておくと、いろいろな応用が効くようになります。道具・材料・始める前の準備が完了したら、まずはここからスタートしてみましょう。
和綴じ製本に必要な材料と道具
- 材料:表紙用の紙(2枚)・本文用の紙(お好みで)・糸
- 道具:千枚通し・クリップ(2つ)・カッターマット・針
始める前の準備
- 本文用の紙は二つ折りにする
- 穴部分の寸法を測った紙を準備
- 穴に左から1・2・3・4の番号をふる
和綴じ本は、基本的に袋綴じです。例えば、A4サイズのノートを作るのなら、A3用紙を二つ折りにして折り目でない方を糸で綴じます。穴の寸法は、大きさによって異なります。基本的に両端が狭く、中が太いです。ここでは両端(0→1・4→0)が1,5cm、中(1→2→3→4)は6cmずつを目安にしています。
四つ目綴じノートの作り方
- 表紙用と本文用の紙を束ねクリップで端を固定
- 背の部分に穴を4箇所、千枚通しで開ける
- 3の穴に糸を紙の間から入れて1周させる
- 2の穴に移動して1周させ、1の穴に移動
- 端は縦横に糸を通す、2に移動し上から入れる
- 3に移動し下から入れ、4に移動し上から入れる
- 端は縦横に入れる、3に移動し糸を留める
糸は丈夫なものを選んで1本取りで綴じます。糸の長さは、本の縦のサイズの約4倍+10cmほどみておけば大丈夫です。丈夫さを持たせたいなら、必要に応じて糸を通し直してください。紙の量が多くて、穴を開けるのが難しいときは、小型のハンマーで叩けば簡単です。詳しい動きを確認し方はこちらが参考になります。
POINT
カンタン応用編
穴の数を5つにした五つ目綴じや、3つにした三つ目綴じ、2つ穴の大福帳綴じなどもあります。基本的に四つ目綴じと同じ手順を繰り返せばOKです。大きめのサイズは五つ、メモ帳などの小型のものは、三つまたは大福帳綴じというように使い分けることができます。
簡単な手作り和綴じ製本の作り方②端を彩り綴じる康煕綴じ
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簡単な手作り和綴じ製本の作り方の2つ目は、本などの両端を彩るように綴じる「康煕(こうき)綴じ」です。四つ目綴じの両端の穴の、半分の位置の対角に穴5と6を加え、6つの穴にして綴じていきます。「四つ目綴じノートの作り方」の手順の④まで同じです。
康煕綴じノートの作り方
- 端に縦横の糸を通し、内側の穴5に上から入れる
- 手前に1周させて再び穴5に上から入れる
- 側面に1周させて再び穴5に上から入れる
- 穴1に戻り、四つ目綴じの手順通りに穴4に移動
- 同様の手順で右端もしっかり綴じる
簡単な手作り和綴じ製本の作り方③華やかに彩る麻の葉綴じ
簡単な手作り和綴じ製本の作り方の3つ目は、本などの背の部分を、全面的に華やかに綴じる「麻の葉綴じ」です。「康煕綴じノートの作り方」の⑤の手順まで同じです。穴1→2→3→4の間にある四角の中央部分に、それぞれ1つずつ穴を追加します。追加した穴は、右から7・8・9の順番に番号をふります。
麻の葉綴じノートの作り方
- 穴3に戻り、穴7に上から糸を通す
- 手前に1周させて、再び穴7に通す
- 穴4から針を出し、再び穴7に通す
- 穴3に移動し、穴8に上から糸を通す
- 手前に1周させて、穴2に移動
- 穴9に上から糸を通して、手前に1周
- 穴1に下から糸を通して、穴9に上から
- 穴8でも同じ手順、穴3で終了
自分で出来る手作り和綴じ製本のアレンジ方法は?
自分で出来る手作り和綴じ製本のアレンジ方法①直線でモチーフを工夫
自分で出来る手作り和綴じ製本のアレンジ方法の1つ目は、直線でモチーフを工夫するものです。麻の葉綴じの手順などから分かるように、穴を開ける場所と、糸を通す順番を工夫するとモチーフのアレンジができます。
基本的に幾何学的なモチーフが作りやすいですね。実際のアレンジ例として、五芒星、トンボなど、オリジナリティ溢れるものが目立ちます。また、穴の部分にリング状のシールなどを貼ると、カラフルなアクセントにもなります。
自分で出来る手作り和綴じ製本のアレンジ方法②自作の栞紐で工夫
自分で出来る手作り和綴じ製本のアレンジ方法の2つ目は、栞紐(しおりひも)またはスピンまでも自作して、おしゃれ感を演出することです。綴じた後の、余分な糸を再利用して作ってみましょう。ミサンガや組紐のように編み込んだり、ビーズなどを紐の下側に取り付けたりするなどのアレンジができます。
本やノートに栞紐がついていると、見た目も華やかになりますし、実用的ですね。もちろん、糸だけでなく、リボンや紙などを工夫して装着させても素敵です。
栞は、糸だけでなく折り紙でも作れます。栞紐を自作するためのヒントとして、こちらの記事の作り方を活用してみませんか?簡単なものから、難しいものまで揃っています。
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自分で出来る手作り和綴じ製本のアレンジ方法③表紙で工夫
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自分で出来る手作り和綴じ製本のアレンジ方法の3つ目は、表紙の素材などで工夫する方法です。紙だけでも和紙か、厚紙かで雰囲気が代わりますよね。紙の表紙だけに留まらず、布表紙などを採用すると、刺繍を入れる楽しみも生まれます。思い切り和柄にしても良いですし、北欧風の刺繍などで意外性をもたせても良いですね。
また、背を綴じた糸の部分に、表紙の柄に合わせたチャームなどを引っ掛けても可愛いです。市販のものを選んだり、自作したり、アレンジの幅が広がります。
チャームの作り方の手順が知りたい方は、こちらの記事を参考にしてみてください。バッグチャームをメインにしていますが、いろいろと応用が効くものばかりです。アクセントとして、素敵な一品を作ってみてくださいね。
自分で出来る手作り和綴じ製本のアレンジ方法④ノート用紙で工夫
自分で出来る手作り和綴じ製本のアレンジ方法の4つ目は、ノート用紙で工夫することです。ノートやメモ帳をせっかく自作するなら、無地の紙だけではつまらないと思いませんか。和紙や罫線つきの紙、ワックスペーパーなど、入手できる紙の種類が豊富な現代だからこそできる楽しみ方です。
また、和綴じは、基本的に用紙が袋綴じになっていますね。メモに使うだけでなく、袋部分を閉じることで、小物を保管するための入れ物としても使えます。
和綴じ製本以外におすすめなノートの綴じ方は?
和綴じ製本以外におすすめなノートの綴じ方①平綴じ
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和綴じ製本以外におすすめなノートの綴じ方の1つ目は、平綴じです。重ねた紙の背の部分を、ホッチキスでバンバン留めるだけの方法が一般的ですね。ノート用紙を束にして、背の部分を2本の糸やリボンで綴じるだけの方法もあります。四つ目綴じと同じ間隔で穴を4つ開けて、1.2と3・4をそれぞれリボン結びしましょう。
ノート用紙の束を固定するためのポイントとして、数枚ずつマスキングテープなどを背の部分に貼っておくと、ずれが生じなくなります。結びをほどけば、手軽に用紙の枚数を追加できる、便利な綴じ方です。
和綴じ製本以外におすすめなノートの綴じ方②中綴じ
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和綴じ製本以外におすすめなノートの綴じ方の2つ目は、折り目の中央を中から綴じる、中綴じです。糸で結ぶほかに、ホッチキスで留める方法もあります。回転するホッチキスがあれば便利です。ない場合は、紙を半分に折って折り目に沿って2箇所ほど留めます。ホッチキス針が出る部分だけを折り目の線に押し当てましょう。
このとき、消しゴムなどの柔らかい素材を紙の下に置いておくと、ひっくり返して針を抜くことができます。垂直の状態になっている針を、爪で折り曲げて固定すれば完成です。指が痛くなるようでしたら、小型のハンマーで叩きましょう。ちょうど中央の線に沿って、ホッチキスを留めることができます。
可愛いノートの作り方を、もっと詳しく知りたいと思ったら、こちらの記事も併せてご覧ください。和綴じ以外のノートを手作りするための、便利な道具やおしゃれな装飾の付け方などをまとめています。用途に応じて、さまざまなノート作りを楽しんでくださいね。
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和綴じ製本は想像力との勝負
和綴じ製本は、日本に古くから伝わる、糸を利用した製本様式です。綴じ方の自由度が高いため、江戸の職人たちが、こぞってバリエーションを考え出しました。江戸時代よりも、便利な道具や、豊富な素材が揃っている現代なら、その楽しみ方も倍増です。
おとぎ話の王女様でも、昔はアイスクリームを食べられないという歌がありますが、和綴じ製本でも同じことが言えるのではないでしょうか。和洋問わず、さまざまな道具や素材を駆使して、手作り和綴じ製本にチャレンジしてみましょう。あなたの想像力の分だけ、昔の職人が作れなかった一品が生まれますよ。
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