エジプトの民族衣装について!男性・女性の伝統衣装は?着用シーンも
更新:2022.03.05
中東と言えばまず「エジプト」が浮かぶでしょう。そのエジプトの民族衣装・伝統衣装はどのようものなのでしょうか。エジプトの首都カイロは非常に発展した近代都市です。それでもエジプトの衣装は男性・女性ともにどんな名称でどんなデザインなのでしょう。ここでは、エジプトの民族衣装・伝統衣装をご紹介します。
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INDEX
エジプトってどんな国?首都カイロを知ろう!
エジプトはアフリカ大陸にあるアラブ圏中心の国
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エジプトはアフリカでも北東に位置しています。第一次大戦後、イギリスの統治により、国の形状は、他国との境目が直線を引いたようにぎこちないものとなっています。風俗や宗教のため、欧州とは全く違う印象を受けますが、地中海を渡れば、すぐエジプトです。そこでバカンスには欧州から気軽に遊びに行ける国でもあります。
エジプトの首都はカイロ
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有名な首都カイロは新市街と旧市街とに分かれています。新市街には日系企業も進出し、先進国の様相を呈しています。しかし旧市街にはモスクが建ち並び、アラビア文字の装飾が内部を飾り、豪華絢爛です。また、旧市街の商店街はアラビア語で「スーク」と呼ばれ、迷路のようになっていますので、お買い物では要注意です。
エジプトを代表する観光名所はギザの三大ピラミッド
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ピラミッドは古代から「世界七不思議」の中でも現存する建造物と言われてきました。観光地として最も有名なピラミッドはギザにあります。それは「ギザの三大ピラミッド」と呼ばれ、「クフ王・カフラー王・メンカウラー王」のピラミッドです。紀元前2560年頃の建築と言われ、完成時の高さは146.6mもありました。
ギザの三大ピラミッドは、ナイル川中流の西岸都市にあります。そこで、エジプトの首都カイロからは、ナイル川を挟んで、20km も西岸に位置しています。以前はギザへの道は遠く、交通は不便でしたが、2005年にメトロが開通しました。21世紀に入り、ギザへの観光は世界中の人々にとって容易になりました。
こちらはインドの民族衣装を紹介しています。未だに「アラブとインドの区別がつかない」という認識が多い日本において、大変貴重な記事となっています。他国の文化を知るために、民族衣装は大変重要な要素です。こちらの記事も、ぜひ併せてお読み下さい。
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エジプト女性の民族衣装・伝統衣装は?
エジプトの女性用の民族衣装・伝統衣装①ニカブ
【ニカブ】は nikab と英語表記されます。これはアラビア語で「マスク」の意味です。【ニカブ】により、女性は目以外の全てを覆い隠します。エジプトの都市圏を中心に着用されている伝統衣装です。全身真っ黒ですが、ヴェールの裾に白、胸元には黒で刺繍が施されています。ここに女性のおしゃれ心が垣間見えます。
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このエジプトの【ニカブ】は、アラビア半島では【アバヤ】(abaya) と呼ばれます。頭からすっぽりとヴェールを被り、着衣しているドレスは、女性の体のラインを全て覆うスタイルとなっています。これはイスラムの聖典『コーラン』での厳格な戒律のためなのです。
エジプトの女性用の民族衣装・伝統衣装②ヘジャブ
こちらの民族衣装・伝統衣装は【へジャブ】(hejab) です。女性が顔や手を出せるため【ニカブ】の閉塞感から解放された美しさがあります。【ニカブ】はイスラム教でも戒律の厳しい「ワッハーブ派」に属する女性の衣装です。しかしそれ以外のエジプト女性は、【へジャブ】でファッションを楽しむことができます。
エジプトの女性の民族衣装・伝統衣装の着方は?
①ヘジャブをヴェールのように垂らして着る
エジプトの民族衣装【へジャブ】は、ヴェールのように垂らして着用するスタイルがあります。この場合は、鼻から下の顔立ちを隠す布を付けることもあります。しかし、基本的にはヴェール以外は、どんなドレスを下に着用しても構わないし、手を見せても良いのです。そこが【ニカブ】と全く異なる【へジャブ】の良さでしょう。
こちらの女性も【へジャブ】をヴェール風に着用しています。また鼻から下を覆う布を付けています。しかし、白い華奢な手首には腕時計を付け、またドレスも襞をたっぷりとったピンクのドレスです。【へジャブ】からドレスまで、ピンクで統一したファッションを楽しむエジプト女性は微笑ましく、美しいですね。
15世紀のエジプトでは、貴族階級の未婚女性は【へジャブ】を頭から垂らし、顔を覆う布をやはり付けていました。しかし美しい瞳がヴェールの下に輝いています。それに魅せられた男性が、顔を一目見たいと、顔を覆う布を強引に取り払うことがありました。その場合、その男性にはその娘と結婚する義務が掟として生じました。
②ヘジャブを首回りに巻いて着る
さて民族衣装【へジャブ】のもう一つの着用スタイルは、スカーフ風に首周りに巻くことです。あとは洋風の自由なファッションが楽しめます。この画像の女性はまるでオードリー・ヘップバーンのようなファッションセンスです。でもよく見れば【へジャブ】の端が背中に垂れています。その辺りがエジプト風で素敵です。
こちらの女性も民族衣装【へジャブ】をスカーフ風に着用しています。淡い水色のワンピースにグレーの上着というコーデは本当に都会的です。手にするバッグも白です。ファッションセンスがとても垢抜けています。これからデートなのかもしれません。神殿前で待つのはロマンティックですね。
エジプトの結婚式の女性の衣装は?
エジプトの結婚式の女性の衣装|ヘナタトゥー
エジプトの花嫁は、とっておきのお化粧として、指先から手に【ヘナタトゥー】を施します。この【ヘナタトゥー】でお化粧することを【メヘンディ】(mehndi) とも言います。これは古来から続く、インド、西アジア、北アフリカに至るまでの伝統です。「ヘナ」という植物を水で溶き、細い筆で肌に模様を描きます。
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エジプトの花嫁は、結婚式の日に、白いヘナで主に花柄や蝶など、豊富な【ヘナタトゥー】のデザインの中からお好みの柄を選び、丁寧に美しい模様を肌に描いてもらいます。お化粧は主に手の甲ですが、中には赤のヘナで、指先と手首から腕に【メヘンディ】を施す女性もいます。日本にはない、羨ましいほど美しいお化粧ですね。
エジプトの結婚式の女性の衣装|純白のヘジャブとドレス
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挙式の晴れ姿には、エジプトの花嫁は純白の民族衣装【へジャブ】をヴェールとして着用します。そして額を豪華な宝石のアクセサリーや金貨で飾ります。ドレスは西洋風の白いドレスが大変人気です。こうしたドレスがエジプト女性の憧れとなった背景には、英国など欧米列強が19世紀末から支配した歴史と関係があるでしょう。
こちらは現代エジプトにおける結婚式のダンスの様子です。花嫁は【ヘジャブ】をヴェール状に垂らし、ドレスは西洋風のウエディングドレスです。花婿も西洋風のタキシードを着用しています。ただ音楽はエジプトでしか聴くことができない、伝統的な民族音楽です。伝統音楽で晴れの日を祝う人々の楽しそうな心が伝わります。
こちらは、結婚式の BGM を特集した記事です。人生で最高の日に、人々はどんな音楽で結婚式を祝うのかがよく分かります。音楽には人それぞれの好みもありますが、結婚式にはどのような曲を流すのが好まれるのか、興味深いですね。ぜひこちらの記事も併せてお読み下さい。
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エジプト男性の民族衣装・伝統衣装は?
エジプトの男性用の民族衣装・伝統衣装①クーフィーヤ
エジプト男性も、女性同様、頭衣を被りますが、男性用の頭衣は【クーフィーヤ】(kaffiyeh) と呼ばれます。通常は頭から腰に至るまでの【クーフィーヤ】をヴェールのように頭にかけて着用します。しかし【クーフィーヤ】の端を女性の【ヘジャブ】のように首元にまで巻き、更に鼻まで覆うこともあります。
【クーフィーヤ】という言葉は、イラクの首都バグダッドにある「クーファ」という街の名から由来するものだそうです。バグダッドは昔、『千夜一夜物語』の舞台となったほど、文化芸術で栄えた都でした。現在はこの【クーフィーヤ】をデザイナーのバレンシアガが気に入り、パリコレでモデルの首周りに巻いて登場させました。
【クーフィーヤ】で口元を覆い、眼だけ出すというエジプト男性の着衣スタイルには、「砂漠の砂嵐や昼間の暑さを凌ぐ」という目的があります。砂漠に暮らしていた昔から、テントの外に出るのは男性のみでした。そこで、その着衣スタイルが定着したのです。現在の【クーフィーヤ】には色彩に豊富なバリエーションがあります。
エジプトの男性用の民族衣装・伝統衣装②ガカール
エジプト男性の民族衣装・伝統衣装として、【クーフィーヤ】がまず普段から着用されることから、この【クーフィーヤ】を固定する【ガカール】と呼ばれる黒いリングも必要とされます。これはヤギの毛で編まれた物で、黒い紐状になったものを二重にして着用します。エジプト男性の頭部の装飾品でもあります。
この【クーフィーヤ】を画像のようにねじると、この頭衣を固定する【ガカール】は特に必要ではありません。この結んだ【クーフィーヤ】がインドの【ターバン】と混同されますが、【ターバン】は頭上で留まっているのに対し【クーフィーヤ】は結んだ後、余った布を背後に垂らすため、区別がつきます。
エジプトの男性用の民族衣装・伝統衣装③ガラベイヤ
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エジプト男性の民族衣装・伝統衣装としての衣類は【ガラベイヤ】(garabeya) と呼ばれます。木綿や麻で織られた貫頭衣風の衣類です。腰帯や腰紐などの体を締め付ける物は一切使用しません。袖口も広く、ゆったりとした風通しの良い衣類です。下着には木綿のアンダーシャツを着用します。
この【ガラベイヤ】はエジプトでは女性も着用します。女性用【ガラベイヤ】は花柄などが織り込まれ、華やかですが、男性用【ガラベイヤ】は白か茶色一色で地味です。エジプト都心部の男性は、まず洋風のスーツを着用し、それに【ガラベイヤ】を着て【クーフィーヤ】を被るというスタイルが定着しています。
エジプト男性は民族衣装・伝統衣装として刀を差していた?
エジプト男性は民族衣装・伝統衣装として三日月刀を身につけていた
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現在のエジプトでは、男性が腰帯を巻き、そこに三日月刀や、日本刀によく似た細長い刀を差す姿は見られません。しかし西洋列強による中東一帯の植民地支配以前は、アラブ圏の男性は民族衣装・伝統衣装として腰帯に三日月刀を差していました。男性が刀を大事にする文化は、不思議なことに、昔の日本とよく似ています。
エジプト男性は武力と伝統を維持するために三日月刀を身につけていた
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第二次世界大戦後の1948年から1949年にかけて、「第一次中東戦争」が起きました。これはアラブ諸国とイスラエルとの戦争です。戦後、ユダヤ人は『旧約聖書』に基づき、「古代ローマ帝国に滅ぼされる以前は、パレスチナ地方にユダヤの王国があった」と主張し、パレスチナ地方にイスラエルという国家を建国しました。
そこでパレスチナ地方に2千年以上住んでいたアラブ人達を虐殺するという事件が起きました。それが機となり「第一次中東戦争」が勃発しました。その際エジプトなどのアラブ軍勢は、馬に乗り細長い刀を振りかざし、イスラエルへと突撃しました。この件でも分かるように、刀はエジプト男性には「武力と伝統」の象徴なのです。
エジプトの民族衣装・伝統衣装を着用するシーンは?
エジプトの民族衣装・伝統衣装を着用するシーン①地方でも日常から着用する
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こちらのエジプト男性は、【クーフィーヤ】を被っています。エジプト男性は地方でも【クーフィーヤ】を着用しない姿が稀なほど、いつも頭衣として巻き付けるようです。もう日常生活の中に民族衣装・伝統衣装が溶け込んでいるようですね。朝起きたら【クーフィーヤ】を被り、【ガラベイヤ】を着るという毎日のようです。
エジプトの民族衣装・伝統衣装を着用するシーン②普段着のように身に着ける
エジプト女性も、【ヘジャブ】は日常生活に欠かせない民族衣装・伝統衣装のようです。現代日本人は着物という民族衣装・伝統衣装の着用は、お正月や成人式・結婚式のみとなっています。しかしエジプトでは、女性もどんなに洋風のコーデを着ようと、民族衣装・伝統衣装の【ヘジャブ】だけは必ず普段着のように身に着けます。
異文化エジプトの民族衣装・伝統衣装をもっと知ろう!
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いかがでしょうか。エジプトというとピラミッドや黒づくめの衣装といった先入観が先走っていないでしょうか。そこに住む人々の民族衣装・伝統衣装の名称や、どのようなシーンで使われているのかなどを知ると、また違った興味が湧いてきます。エジプトの女性も、ヴェールの下ではコスメに夢中と思うと、親近感を抱きますね!
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