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えんがちょの意味と使い方とは?指のポーズのやり方と語源や歴史も

更新:2020.02.08

「えんがちょ」とは?その意味や歴史を知っていますか?ジブリ映画の千と千尋の神隠しでも登場するものですが、指のポーズには種類があります。また、「縁切った」するまでが正しいやり方だそうです。しかも、方言があるために地域で言い方が異なる場合もあるとか・・!

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えんがちょの意味とは?

えんがちょの意味とは?「民俗風習の1つ」

「えんがちょ」は、日本に伝わる民俗風習の1つです。「穢れの感染」を防ぐための「おまじない」のような言葉であり、「えんがちょ」と言いながら特有のポーズを行います。ポーズは全身ではなく、指や手だけで作ることが基本です。

えんがちょの意味とは「児童の遊びの1つ」

「えんがちょ」がよく見られたのは、児童たちが遊ぶ中でした。主に、児童らの中で「穢れの感染を防ぐため」に「えんがちょ」が用いられていたということです。たとえば、誰かが「汚いもの」に触れた時に、その「汚い」が自分に移ってこないように「えんがちょ」と言っていました。

「汚いもの」というのは、「便・吐瀉物・死骸・虫・汚れた動物・泥」などです。現代は公共物の衛生面の管理が厳しくなっている上に、子供たちが自然の中で泥まみれになりながら遊ぶ・・といった場所も少なくなりましたが、「えんがちょ」が一般的によく使用された時代は、そういった場所や物がそこら辺にありました。

そのために、本人の意思とは関係なく、予想外にも「汚いもの」に触ってしまうことがあったのです。故意的か不注意かはさておき、そんな子供を見た別の子供は、汚いものに触れた子供に対して「えんがちょ」したのです。「えんがちょ」はやり方を間違えると、不注意で汚れた子供は傷付いてしまいます。

えんがちょの語源や歴史は?

えんがちょの語源や歴史①縁or穢れ+チョンが語源

「えんがちょ」の語源と言われているのは、「縁」+「チョン」あるいは「穢れ」+「チョン」です。「チョン」は擬音語の類で、「ハサミでチョン切る」などの「チョン」のことです。現代的な言葉の響きとしては、「縁」+「チョン」の方がしっくりきます。

実は他にも、語源として挙げられている説があります。それは、「因果の性を転訛した説」「縁が千代切ったを略した説」などです。しかし、有力な説だと考えられているのは、上記でご紹介した「縁」あるいは「穢れ」に「チョン」という「切ることの擬音語」を組み合わせた語源説です。

えんがちょの語源や歴史②古来から使用されていたらしい


「えんがちょ」の歴史についてですが、13世紀(西暦1201年~1300年)頃の書物とされる「平治物語絵詞」に「えんがちょ」によく似た指のポーズをしている人が描かれていることから、「えんがちょは13世紀以前から使用されていたのではないか?」と言われています。

平治物語絵詞の中では、生首に対して「えんがちょ」の指のポーズを見せています。人差し指と中指を交差させている様子から、「えんがちょは古来より伝わる魔除けのポーズである鉤十字が起源では?」と考えられています。確実な起源は定かではないことも含め、「えんがちょ」には長い歴史がある可能性が高いそうです。

えんがちょの語源と歴史③戦前頃から使用頻度が高くなった

「えんがちょ」は13世紀以前より存在していたことが考えられますが、国民の中で頻繁に用いられるようになったのは「戦前頃から(恐らく1930年代頃)」と言われています。なぜ「えんがちょ」の使用頻度が上がったのかは謎ですが、何かしらのいわゆる「穢れ」が増加したことが理由では?と推測されています。

えんがちょの指のポーズは?

えんがちょの指のポーズ①両手の指で輪を作るタイプ

「えんがちょ」の指のポーズその1は、「両手の指で輪を作るタイプ」です。このポーズは、「えんがちょの基本ポーズ」と言われています。どういう経緯で「輪」=「丸」を「拒否の意味」にしたのかは分かりませんが、通常は「許可」を意味する「丸」も「えんがちょ」の中では「拒否」の意味になっています。

では、ポーズの仕方をご紹介します。まず、両手を顔の前辺りに持ってきます。そして、両手の人差し指と親指で輪を作ります。これで、「両手の指で輪を作るタイプのえんがちょポーズ」は完成です。シンプルですが、これを「えんがちょ」のポーズだと知らない人からすれば「え?なになに?(近寄る)」かもしれません。

えんがちょの指のポーズ②人差し指を交差するタイプ


「えんがちょ」の指のポーズその2は、「人差し指を交差するタイプ」です。画像では猫さんが腕をクロスさせてバツマークを作っている感じになっていますが、「えんがちょ」のポーズでは「人差し指をクロス」させます。つまり、右手の人差し指と左手の人差し指でバツを作る・・単にバツマークを作るイメージでOKです。

えんがちょの指のポーズ③中指と薬指を交差するタイプ

「えんがちょ」の指のポーズその3は、「中指と薬指を交差するタイプ」です。右手の中指と右手の薬指(左手の中指と左手の薬指)を交差させるため、要は片手で出来きます。「片手で作るバツマーク」です。中には、両手でこのバツマークを作り、相手に向ける方法を行う人もいるようです。

えんがちょの指のポーズ④親指を中指と人差し指の間に入れた拳タイプ

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「えんがちょ」の指のポーズその4は、「親指を中指と人差し指間に入れた拳(グーの形)タイプ」です。画像が見つからなったので単なるグーの画像を使用していますが、「えんがちょ」のポーズとしては、グーをした時に親指が中指と人差し指の間から少し出ている感じになります。

以下の記事では、魔除けなどが信じられている「塩の持ち歩き効果」について紹介しています。「えんがちょ」は一種の厄除けとも言えるため、関連として、以下の記事もおすすめします。興味がある方は、お読みください。

えんがちょの使い方は?

えんがちょの使い方(やり方)①穢れを拒否するため

やり方その1、「汚いもの」=「穢れ」に触れた人がいた時に、それが自分に近寄ってこないよう示すのが「えんがちょ」です。言い換えれば「穢れはこっちくんな!」ですが、やんわり言えば「穢れから守られたいんです」という意味合いで「えんがちょ」を用います。

この使い方をする際に気を付けたいのは、「それが本当に穢れなのか?」そして「不注意で穢れに触れてしまったなら助けることもすること」です。「穢れ」は個人の価値観に基づく場合もありますが、基本は「死に関したもの」「糞尿・吐瀉物」「泥・土などの汚れ」でしょう。「助けるやり方」については以下にご紹介します。


えんがちょの使い方(やり方)②穢れの縁を切った!するまでが順序

やり方その2です。「えんがちょ」を行うにおいて、人数は最低でも3人必要になります。1人は「穢れに触れた人」、もう1人は「えんがちょする人」、そして最後の1人は「えんがちょされた穢れを切ったする(無くす)人」です。

まず、Aさんが汚いものに触れてしまいます。そして、その人に対してBさんが「えんがちょ」します。そこに、Cさんが「縁切った」と言いながら手でハサミで切った仕草をします。これで、Aさんは穢れから解放され、誰かが誰かを穢れものとして避ける事態が無くなりました。

不注意で汚いものに触れてしまった場合、その当人が一番ツラいわけです。そんな中で他の人から「えんがちょ」ばっかりされて避けられたらどうでしょう?さらにツラいはずです。そのため、ただ「えんがちょ」するだけでは気の毒な話になります。「えんがちょ」するなら、不注意で穢れに触れた人もちゃんと助けましょう。

えんがちょの使い方(やり方)③千と千尋の神隠しでは千尋や坊ねずみが使う

やり方その3は、ジブリ映画「千と千尋の神隠し」でのやり方です。千と千尋の神隠しでは、千尋や坊ねずみが「えんがちょ」するシーンが有名です。千尋も坊ねずみも、「えんがちょ」により大変なことにならずに済みました。

「千と千尋の神隠し見たけど・・そんなシーンあった?」と言う方も少なくないようですが、「えんがちょ」をその当時から知っていた人からすると「あ、えんがちょだ」と記憶に残りやすかったようです。また、千と千尋の神隠しの影響で、えんがちょのやり方が今の人にも知られている可能性もあります。

「えんがちょ」のやり方や言葉自体を知らない人も出てくるであろう時代ですので、千と千尋の神隠しを見て「えんがちょ」の存在ややり方を知るキッカケにするのも良いでしょう。ただ、やり方や言い方は千と千尋の神隠しに沿わない場合(方言)もあります。SNSを見る限りでは、指交差のやり方が多い印象です。

えんがちょの地域による違いは?

えんがちょの地域による違い①方言がある

「えんがちょ」の言い方は、地域で違います。つまり、方言があるのです。方言により、「えんがちょ」の言葉とは全く違う言葉になっていることもあります。「え?何のこと?」と思っていたら、「なんだ、えんがちょのことか」となることもあるでしょう。そのくらい、方言によって言い方が異なる場合があります。

えんがちょの地域による違い②方言での言い方は様々

東京は「エッピー」横浜は「エンピ」神戸は「ミッキ」、神奈川は「えんがちょ切った!鍵締めた!」「がっちょーん」「ガッキンバリア」の3種類があるそうです。佐賀は「ブッチ、バリヤ」福岡は「がっぴ」福島は「バーリ」や「けーがれっ」、広島は「ぶりっきゅー」埼玉は「ぎっちょ」や「バリア」です。

名古屋は「やめち」「めんき」「ガーチョ」「メーンキ」「イーンキ」とバリエーション豊富です。大阪は「でん、ぎっちょ」「べべんじょ、かんじょ、鍵しめた」「ギッチョ、べべんじょ鍵かった」と言葉長めです。青森は「ピースバリア」北海道は「ビッキ」「ピッコロ」札幌は「えった、ちーんき」「エッタ、ギム」です。

現地の人からは「えー?そんな言い方しないけど」なんて声も上がるかと思いますが、方言的には「えんがちょ」をそのような言い方にするとされます。また、上記にない他の地域では、単に「えんがちょ」と呼んでいるようです。しかしながら、現代では全国的に「えんがちょ」かもしれません。

えんがちょの地域による違い③なぜ方言があるのか?

「えんがちょ」に似た意味で用いられるものに「バリヤ」がありますが、これは鉄人28号やウルトラマンの影響を受けたものです。そもそも「えんがちょ」と「バリヤ」には使い方の違いがありますが、子供たちの中では、どちらも「受けたくないものを拒否する」意味で用いられるようになったとされます。

地域で「えんがちょ」の言い方に違いがある理由は定かになりませんが、かつて現都道府県が1つ1つの国であった頃に、それぞれで発展した文化が関係している可能性はあります。全国的には「えんがちょ」ですが、なんとなく可愛い・面白い響きの方言もあるので、何だか言いたくなってしまう方もいるのではないでしょうか。

以下の記事では、「魔除けグッズ」についてご紹介しています。「えんがちょ」は一種の「邪気を避けるポーズ」ですので、「えんがちょ」をする人の中には魔除けや厄除けに興味が向きやすい方もいるのではないでしょうか?魔除けグッズに興味がある方は、以下の記事もご覧ください。

えんがちょは穢れを拒否する言葉!ただし使い方には気を付けよう!

今回は、穢れが自分に付かないよう拒否する意味を持つおまじない的な言葉「えんがちょ」についてご紹介しました。誰かが「穢れ」に触れた時に、自分に穢れが付かないよう「穢れに触れた人」に対して「えんがちょ」をするわけですが、それだけでは「寄ってくるな」という悪意になってしまいます。

自分を守るだけでなく、穢れに触れてしまった人を助けるために「切った」の動作もちゃんと行いましょう。ただし、その人が「不注意で穢れに触れてしまったなら」です。故意的に触れるのはちょっと違うので、「えんがちょ」もせずに避けた方が良いとも言えます。また、何でもかんでも「えんがちょ」するのもやめましょう。

昔からある「えんがちょ」ですが、現代は千と千尋の神隠しによる影響が強いとされています。誰かを傷付けるような間違った使い方をせずに、あくまで「穢れのものを見た時にその穢れから自分を守る」あるいは「みんなを穢れの不安や不快さから切ったする(解放する)」ために使用してください。

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