自己欺瞞の意味とは?自己欺瞞の心理・特徴・原因・克服する方法4選!
更新:2022.06.13
人間関係において他人に攻撃的な人や、自分を正当化する人に困ってはいませんか。そのような人は自己欺瞞といい、周りが見えない箱に入った状態の可能性があります。欺瞞という言葉は一見難しそうですが、この記事で様々な例や哲学者サルトルの言葉を挙げ、自己欺瞞の意味や陥る心理、克服法に至るまでを解説していきます。
※商品PRを含む記事です。当メディアはAmazonアソシエイト、楽天アフィリエイトを始めとした各種アフィリエイトプログラムに参加しています。当サービスの記事で紹介している商品を購入すると、売上の一部が弊社に還元されます。
INDEX
自己欺瞞の意味とは?簡単な言葉に言い換えることはできる?
自己欺瞞とは自分の本心に嘘をつくこと!類語として「だます」も
自己欺瞞とは、簡単に言うと自分の本心に嘘をついて、無理に自分を正当化することです。「欺瞞」という言葉には「あざむく」=嘘をつく・反するという意味があります。「騙す」というのも類語にあたります。それを自己に行うと、自分の本心に嘘をついて自分を正当化する考えや発言をしてしまう、ということになります。
例として、人間関係においてトラブルが発生した時、自分のほうが悪いのに「相手が○○だからこうなった」と、言い訳をして相手を責める人を見たことはありませんか?また、他人からそうされたり、逆に自分がそうしてしまったりということもあるでしょう。自己欺瞞は多かれ少なかれ、誰でも陥ることがあるものなのです。
哲学者サルトルは自己欺瞞の例を挙げ「自分への偏見」と意味付け
フランスの哲学者サルトルは、自身の著書「存在と無」の中で自己欺瞞についてさまざまな例を挙げ語っています。サルトルによると、人間は自由な存在であるがゆえに自分の選択や行動に責任を持ち、同時に他者に対しても責任を持たなければならないとしています。よって、時に自分の意に反した選択もやむを得ないと言えます。
そのように他者の目線や意見にとらわれ、自分の本来の性格や気持ちをあざむいてしまった自己欺瞞の状態とは「自分に対する偏見」なのだそうです。とてもわかりやすい例ですね。本当の自分をだまし、間違った視点で自分自身を見てしまうと、自分の本質を見失うことになります。
自己欺瞞を例えると「箱に入った」状態!心理的防衛だがトラブルの元にも
自己欺瞞は一種の心理的防衛です。自己欺瞞に陥ることによって責任をとることから逃れたり、自分の欠点や失敗に目を向けずに済んだりと、自分の身を守ることにつながります。しかし自己欺瞞によって身の安全が守られるのは一時的であり、自分の中の問題は未解決なままになってしまいます。
自己欺瞞に関する専門書では、自己欺瞞に陥った状態を「箱に入る」と表現します。自己欺瞞に陥って周りが見えなくなる様子を、箱に入って外が見えない状態に例えています。いったん箱に入ってしまうと抜け出すのは難しく、他人と言い争いになったり信用を無くしたりといった、人間関係のトラブルを招きやすくなります。
自己欺瞞の心理・特徴6選!詳しく知って人間関係に活かそう
自己欺瞞の心理・特徴①自覚がない
自己欺瞞に陥る人は、自覚がないのが一番の特徴です。自己欺瞞が心理的防衛であると前の項でお伝えしましたが、心理的防衛というのは無意識に起こるものです。なので基本的に、自己欺瞞の状態に自らなろうとしてなる人はいません。さらには、本心や現実と違うことでも「これが真実なのだ」と信じ込むようになります。
自己欺瞞の心理・特徴②弱い自分を認めたくない
自己欺瞞に陥る心理として、弱い自分を認めたくないことも挙げられます。誰しも自分の弱さや欠点からは目を背けたくなるものですが、目を背けてばかりいると全く弱い自分を認められなくなり、自分を正当化したり相手を非難したりすることによって、弱い自分を必死に隠す方向に行ってしまいます。
自己欺瞞の心理・特徴③自分を認めてもらいたい
自己欺瞞に陥る人は、自分を認めてもらいたいという気持ち(承認欲求)が強いです。承認欲求は誰にでもあるものですが、自分で自分を認める力が弱いと他人に認められることに依存してしまい、自分の主張を押し通そうとしたり、自分と違う意見の人を激しく非難したりと他人に攻撃的になってしまいます。
自己欺瞞の心理・特徴④他人より自分が優位でないと気が済まない
自己欺瞞に陥る心理として、他人より自分が優位でないと気が済まないというものもあります。自己欺瞞の箱に入った状態の人は、周りの声が聞こえないので自分の意見だけが正しいと思うようになります。また、②の「自分の弱さを認められない」がベースとなり、自分を偉く強い人間に見せかけて他人より優位に立とうとします。
自己欺瞞の心理・特徴⑤強迫観念が強い
自己欺瞞に陥る人は、強迫観念が強い特徴があります。「こうあるべき」というこだわりが強いと、「~ねばならない」と無理な行動を起こしてしまいがちです。例えば上司が自己欺瞞に陥っていると、「上司とは部下にとってこうあるべき」という理想を崩さないために自分の意に反した指示をおこなってしまう場合があります。
自己欺瞞の心理・特徴⑥思い込みが激しい
自己欺瞞に陥る人は、思い込みが激しい特徴もあります。上記の強迫観念と似ていますが、「自分は何をやってもうまくいかない」「こうしたらこうなるに決まっている」などと、自分や周囲の人・物事にレッテルを貼る傾向があります。これは幼少期の親の価値観が強く影響していると考えられています。
自己欺瞞の原因4選!「箱」に入ってしまうのには理由があった
自己欺瞞の原因①甘やかされて育った
自己欺瞞に陥る原因一つ目は、甘やかされて育つことです。悪いことをしても「子供のしたことだから」などと謝罪や責任を取ることを免れてしまうと、自分のことも他人のこともごまかして何とか生きていける、という精神が身についてしまいます。子供でも悪いことをしたら、ある程度自分で責任を取る経験をさせましょう。
その他、親は良かれと思って子供が苦労をしなくて済むようにあれこれ世話を焼きますが、度を越えると子供の将来のためにはなりません。大きくなるにつれて身の回りのことを自分でさせる、自分で考える癖をつけさせるといったことが子供の成長過程には必要なのです。
自己欺瞞の原因②自分で意思決定をした経験が少ない
自己欺瞞に陥る原因二つ目は、自分で意思決定をした経験が少ないことです。子供の頃にも、私たちは様々な意思決定を迫られる場面がありますが、親や周りの人の意見によって自分の意思とは違う選択をさせられると、それも自己欺瞞の一種となります。以下の例を見てみましょう。
自己欺瞞の一種になってしまう意思決定の例
- 自分は水泳を習いたかったのに、親の意向でピアノを習わせられた
- 自分の志望校とは違う学校を親に受験させられた
子供の頃に自分より親の意志を優先させることを当たり前にしてしまうと、自分の本心に気づけなくなり、自分自身よりも周りの意見や期待を優先させる大人になってしまいます。現在大人で、こうして育った自覚のある人は、日常の中で自ら意思決定する経験を積むように意識しましょう。今からでも遅くはありませんよ。
自己欺瞞の原因③人間関係で傷ついた体験がトラウマになっている
自己欺瞞に陥る原因三つ目は、人間関係で傷ついた体験がトラウマになっていることです。誰しも人間関係におけるトラブルは経験するものですが、それがあまりにも強烈なものだったり、傷ついた心を癒やせないままにしてしまったりすると、「自分の思うことは周りに受け入れられない」という刷り込みができてしまいます。
自己欺瞞に陥りやすい人間関係のトラウマの例
- 自分が本気で恋愛していた相手が二股をかけていた
- 相手のことを思ってやった行動や発言を激しく拒否された
このような原因で自己欺瞞に陥ってしまった場合は、人を信じられなくなっています。他人のことも自分のことも信じられていない状態です。人を信じられないというのは、対人恐怖症に当てはまる可能性があります。こちらの記事も、合わせて目を通してみてくださいね。
自己欺瞞の原因④自己評価が低い
自己欺瞞に陥る原因四つ目は、自己評価が低いことです。「自分には能力がない」「自分はどうせ○○な人間だ」と、自分で自分を低く見ている状態です。①~③に当てはまる人にも共通することですが、自己評価が低いと自分に自信がないため地に足がつかず、正しく物事を見極めたり判断したりといったことができません。
そうすると当然、自分の口から出る言葉も本心とは違う「嘘」となり、人間関係もちょっとした会話もすべて嘘で塗り固められていくことになってしまいます。そう考えると、自己欺瞞に陥ることがいかに恐ろしい状態かおわかりいただけると思います。しかし、自己欺瞞は克服できるものです。続いて克服法をご紹介していきます。
自己欺瞞を克服する方法4選!誰でも「箱」から抜け出せる
自分の箱から抜け出す方法①固定観念を捨てる
自己欺瞞を克服する方法一つ目は、固定観念を捨てることです。私たちは生きる過程で、「こうあるべき」という固定観念を知らないうちに自分の中に植え付けています。しかし、あなたが「こうあるべき」と思い込んでいるものは、本当にそうでしょうか?
固定観念の例
- 良い大学に行って良い職業につかないと価値のある人間になれない
- 妻は夫より多く家事を負担するべき
- 子供は学校に行かなければならない(不登校になってはいけない)
こういった固定観念は、幼少期に親の影響を受けて根付くことが多いです。子供のうちは生きる世界が狭いので、親の言うことは絶対的ともいえるほど価値観や人格の形成に影響し、当たり前のものと信じて疑いません。しかし、そうやって思い込んだことが世の中の常識とは限らないのです。
自分の箱から抜け出す方法②自分を客観視する・様々な考え方の例を知る
自己欺瞞を克服する方法二つ目は、自分を客観視することです。いわゆる「箱に入った」状態だと、周りが見えないので主観的にしか自分のことを見られなくなっています。自分を客観視して、本当に今の行いは望ましいものだったのか、他人の立場から自分自身を見たらどう思うのか、考える癖をつけてみましょう。
日記を書くなど、紙に書きだして考えると状況や気持ちの整理がしやすいですよ。客観的な視点で、本当の自分を知りましょう。なお、本当の自分を知る方法は、こちらの記事に詳しく書いてあります。参考にしてみてくださいね。
自分の箱から抜け出す方法③自分の弱点・弱みを受け入れる
自己欺瞞を克服する方法三つ目は、自分の弱点・弱みを受け入れることです。自己欺瞞に陥る心理として、前の項で「弱い自分を認めたくない」点を挙げましたが、それを克服するには受け入れることに尽きます。といっても、自己欺瞞で自分の弱点を否定してきた人にとって、弱い自分を認めて受け入れることは大変なことです。
しかし、すぐにすべてを受け入れようとするのは苦痛以外の何物でもないので、自分のこれまでの行いを振り返って「あの時ああいうことがあった」と事実確認をするなど、ちょっとしたことから始めてみましょう。ただし、この作業は本当に苦痛を伴うため、カウンセラーなどの専門家にアドバイスを仰ぐことをおすすめします。
POINT
自己欺瞞によってうつ状態や人格障害になる人もいます
自己欺瞞の状態が続くと、自分の本心を欺き続けることになるのでかなりのストレスを伴います。ひどい場合はうつ状態や人格障害になることもあります。体調が思わしくない、または人間関係のトラブルが絶えず精神状態がおかしいということがあったら、メンタル系の病院を受診しましょう。
自分の箱から抜け出す方法④サルトルの本を読む
自分の箱から抜け出す方法四つ目は、最初の項で紹介したサルトルの本を読むことです。サルトルは「実存主義」を展開した哲学者ですが、「人間の本質とは何か」を見極め、その中で人間が本来持つ「自由」との付き合い方を追求しました。
自己欺瞞に限らず、広い意味で人間の本質や思考のメカニズムの知識を自分の生き方の参考にしたい方は、サルトルの本を読んでみましょう。箱から抜け出すきっかけが得られるかもしれません。サルトル自身の著書は内容が多く難しいと言われますので、サルトルの思想をわかりやすく解説した本を最初に読んでもいいと思います。
自己欺瞞の「箱」から抜け出し自分に正直に生きよう
自己欺瞞とは、誰しもが陥ることのある状態です。無意識に起こる心理的防衛反応のため、自分では気づきにくいですが「なんだか人間関係がうまくいかない」など日常の中で困ったことがあったら、自己欺瞞の箱に入っている可能性があります。
自己欺瞞の箱から抜け出すのには時間がかかりますが、自分が自己欺瞞に陥っていることに気づけたあなたはそれだけで克服の一歩を踏み出しているのです。自信をもって、箱から抜け出すための取り組みを続けていきましょう。自己欺瞞の箱から抜け出した本来のあなたは、とても魅力的なはずですよ。
商品やサービスのご購入・ご利用に関して、当メディア運営者は一切の責任を負いません。