花魁言葉(廓言葉)の一覧!現代語への翻訳と花魁言葉の由来についても
更新:2019.06.21
かつて吉原遊廓にいた遊女が利用していたことで有名な「花魁言葉」をご存知でしょうか。「廓言葉」とも「ありんす詞」とも言います。花魁言葉ができた背景を知りたい。今利用している言葉を花魁言葉で変換すると何と言うんだとう?など、知りたい方は必見です。廓言葉の由来や現代語の翻訳など紹介します。
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INDEX
花魁言葉(廓言葉)とは?
そもそも花魁(おいらん)とは最上級の位の遊女のこと
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花魁(おいらん)とは遊女の中でも最上級に位が高い遊女のことです。千人ほどいた遊女の中でも一握りで、いわゆる超有名女優です。元々は「おいらんちの姉さん」と見習いが遊女のことを呼んだことが、「花魁(おいらん)と呼ばれる起源になった言われています。
花魁言葉とは花魁が利用していた言葉遣いのこと
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吉原の花魁(おいらん)が利用していたことから、花魁言葉(おいらんことば)や廓言葉(くるわことば)とも言います。その他には、ありんす詞(ありんすことば)だったり、里詞(さとことば)とも呼ばれています。
吉原とは、江戸時代に幕府が公認でつくった遊廓が集まるエリア一帯のことです。広さは2.7坪と東京ドーム1.5倍分ほどのエリアでした。現在でいうと、東京都の台東区千束四丁目あたりにあったそうですよ。
花魁言葉(廓言葉)が使われるようになった理由は?
遊女が田舎出身であることを隠すための隠語だった
吉原の遊女が、実は田舎出身であるという自分の素性を隠すために生まれたのが、花魁言葉です。吉原遊廓には自ら身を投じる者もいましたが、貧しい家族を助けるために身を投じる者もいました。そのため、田舎から売られてきた少女が多くいました。
田舎出身特有の訛りや方言を隠す。そういった背景から、花魁言葉は生まれました。吉原遊女たちは男性を虜にする妖艶な女性になるよう、徹底的に廓詞を教えられたそうです。優艶な女性の象徴である花魁姿が気になる方は、ぜひこちらの記事をご覧ください。
高嶺の花だからこそ隠す必要があった出身地
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しかし、吉原の遊女はまさに高嶺の花です。男性は3度通ってようやく触れられるそんな存在でした。艶やかで美しい遊女に会うためにお金を注ぎ込む男性たちに幻滅されないために、遊女たちが田舎者だと知られない必要があったのです。
花魁言葉(廓言葉)一覧13選!現代語の翻訳付き
花魁言葉(廓言葉)を現代語に変換①|ありんす
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花魁言葉の1つ目は、「ありんす」です。「ありんす詞(ことば)」と花魁言葉のことを呼ぶほどなので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。「ありんす」は現代の言葉でいうと語尾につける「~です」という意味になります。
語尾につける言葉ですから、『~ではないでありんす』は現代語に変換すると「~ではありません」という意味です。その他、『そうでありんした』は現代語の「そうですか」、『~ありんすか?』は現代語の「~ですか?」にあたります。
花魁言葉(廓言葉)を現代語に変換②|わきち、わっち、あきち
廓言葉の2つ目は、「わきち」です。現代語に変換すると「私」や「自分は」という意味で利用されており、「わっち」「あきち」も同様の意味になります。しかし、女郎の位によって言い方が異なります。花魁や遊女など上級女郎は「あちき」「わちき」と自分のことを言い、それ以外の女郎は「わっち」と言っていたそうです。
花魁言葉(廓言葉)を現代語に変換③|おいでなんし
花魁言葉の3つ目は、「おいでなんし」です。ドラマなどで聞いたこともあるかもしれませんが、現代語で変換すると「いらっしゃいませ」です。他にも「また、おいでなんし(またいらしてください)」という意味でも使っていたようです。
ちなみに実はこの言葉、現在でも利用されている地域がありました。長野です。長野の一部の地域では方言として今でも「おいでなんし」が利用されていました。長野で「いらしてください」や「いってらっしゃい」という意味で利用しているそうですよ。
花魁言葉(廓言葉)を現代語に変換④|ありがとうござりんした
花魁言葉の4つ目は、「ありがとうござりんした」です。何となく予想できるかもしれませんが、現代語に変換すると「ありがとうございました」という意味になります。花魁は、売れっ子中の売れっ子です。現代でいうと、No.1風俗嬢ですね。もちろん、接客業なので江戸時代では、よく利用されていたのではないでしょうか。
花魁言葉(廓言葉)を現代語に変換⑤|おさればえ
廓言葉の5つ目は、「おさればえ」です。この意味は、おいでなんしの反対語である「さようなら」という意味です。自分目当てで通ってくれるお客が多いほど言い訳ですから、「おさればえ」は利用することが少なかったのではないでしょうか。
吉原舞台のドラマや映画でみるような、馴染みとなった客に覚悟を決めてさようならを伝えるときに、利用された少し悲しい言葉なのかもしれませんね。
花魁言葉(廓言葉)を現代語に変換⑥|きさんじなもんだね
花魁言葉もとい、ありんす詞の5つ目は、「きさんじなもんだね」です。当時は「だめだね」や「いけないね」という意味だけでなく「洒落ているね」という意味でも利用されていました。現代の「ヤバイ」とほぼ同じでで、面白いですね。
花魁言葉(廓言葉)を現代語に変換⑦|ごめんなんし
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廓言葉の7つ目は、「ごめんなんし」です。こちらも字面から想像できるかもしれませんが、「ごめんなさい」という意味です。語尾に「ありんす」を利用するように、「なんし」も語尾に用いられることが多い言葉です。
たとえば、前述の「おいでなんし(またいらしてください)」もその一つです。その他、「きなんし(きてください)」「見なんし(みてください)」などもあります。
花魁言葉(廓言葉)を現代語に変換⑧|ありんせん
廓言葉の8つ目は、「ありんせん」です。現代語に変換すると「~ではありません」という意味です。花魁言葉を代表する「ありんす」を利用した言い方では「~ではないでありんす」と言います。その他、「~ござりんせん」とも言うそうですよ。
花魁言葉(廓言葉)を現代語に変換⑨|しておくんなんし
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花魁言葉の9つ目は、「~しておくんなんし」です。「~してください」というお願いをするときに利用する言葉なんです。当時は廓言葉で「~いたしんす」だったり、「~いたしんしょう」とも言ったそうですよ。
花魁言葉(廓言葉)を現代語に変換⑩|いいなんすな
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廓言葉の10つ目は、「いいなんすな」です。「~言わないでください」という意味で、映画などで聞いたことはないでしょうか。旦那様に対して、「野暮なことは、いいなすな(そんなセンスのないことは、言わないでください)」などと利用することもあったかもしれませんね。
花魁言葉(廓言葉)を現代語に変換⑪|ざんす
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ありんす詞の11つ目は、「ざんす」です。今でも、お坊ちゃまがいそうな家庭で利用している方もいるかも知れませんね。「ようざんす(結構です)」「ほんざんす(本当です)」「お楽しみざんす(お楽しみです)」などと、利用します。
花魁言葉(廓言葉)を現代語に変換⑫|武左(ぶざ)
廓言葉の12つ目は、常に威張っている客のことを指す武左です。接客業である廓では、客を悪く言う言葉がいくつもあります。たとえば「塩次郎(うぬぼれが強い客)」「しわ虫太郎(けちな客)」「油虫(お金がない冷やかしだけの客)」などです。その他にも、武士を軽蔑する意味の「しんござ」という言葉もあるそうですよ。
花魁言葉(廓言葉)を現代語に変換⑬|おゆかり様
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花魁言葉の13つ目は、「おゆかり様」です。現代語に変換すると、何度も通ってくれる男性客のことです。恋愛禁止である遊女ですが、おゆかり様とは深い中になることもあったそうです。
体は売っても心は売らない。あなただけのものということを伝えるために、二の腕に男性の名前の刺繍をほったりし、爪を剥がして恋仲である男性に渡したりすることもあったそうです。そう思うと切ないものがありますね。
現代でも使われている花魁言葉(廓言葉)は?
現代でも使われている花魁言葉①|おてもと
現代でも使われる花魁言葉の1つ目は、「おてもと」です。現代でも箸のことを指しますが、当時も箸のことを「おてもと」と呼んでいました。理由は縁起の悪い「端」と同じ音のためです。「端」の反対である「手元」から、箸のことを「おてもと」と言われるようになったそうです。
現代でも使われている花魁言葉②|あたりめ
現代でも使われる花魁言葉、廓言葉の2つ目は、「あたりめ」です。「するめ」は盗みをする「掏る」と音が同じ言葉のため、スルメのことをあたりめに呼ぶようになったと言われています。客商売上、験担ぎではないですが縁起が悪いことには、とても敏感だったことが伺えますね。
現代でも使われている花魁言葉③|あがり
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現代でも使われる花魁言葉、廓言葉の3つ目は、「あがり」です。廓では最後に出すお茶のことを「上がり花」といい、そこからお茶のことを「あがり」と呼ぶように変化したと言われています。ちなみに、お寿司屋で「あがりください」というのは失礼にあたるので、気をつけてくださいね。
現代でも使われている花魁言葉④|馴染み
現代でも使われる花魁言葉、廓言葉の4つ目は、「馴染み」です。当時は、常連の男性客と親密な関係になる意味を「馴染み」と言ったそうですよ。現代は少し意味合いが変換され、「~でお馴染みの~」というように様々なところで、利用されていますよね。
現代でも使われている花魁言葉⑤|お茶を挽く
現代でも使われる花魁言葉、廓言葉の5つ目は、「お茶を挽く」です。お店に客がおらず暇なことを指す意味の言葉です。実はこの言葉は、客がつかず暇な遊女が客に出すお茶を挽いていたことが、語源とされています。450年続いた花魁文化ですが、今での言葉となり言葉が残っているというのは感慨深いものがありますね。
現代でも使われている花魁言葉⑥|えて
現代でも使われる花魁言葉、廓言葉の6つ目は、サルのこと、つまり「えて」です。「えて」と呼ぶのも、当時の縁起の悪い言葉を避ける、験担ぎの文化からきています。そのため、「去る(サル)」と反対の意味の「得る」から、「えて(得て)」と呼ぶようになったと言われていますよ。
翻訳が現代と違う花魁言葉とは?
翻訳が現代と違うありんす詞①|さし
翻訳が現代と違う花魁言葉の1つ目は、「さし」です。廓言葉で「さし」とは、何かしらの事情があり会いたくない客のことを指します。現代では「さし飲み」など、1対1のことを指しますね。このように同じ言葉でありながら、全く意味が異なる言葉が他にもあるので、紹介します。
翻訳が現代と違うありんす詞②|七夕
翻訳が現代と違う花魁言葉の2つ目は、「七夕」です。現代では彦星と織姫が年に1度だけ会える中国の伝統にちなんだお祝いです。しかし、花魁言葉で意味を翻訳すると、なんと「バタバタと足音のうるさい客」のことを指す言葉だそうですよ。
翻訳が現代と違うありんす詞③|野暮(やぼ)
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翻訳が現代と違う花魁言葉、廓言葉の3つ目は、「野暮」です。現代では、「野暮用」、「聞くだけ野暮だ」など様々な言い回しがありますね。多くは、融通が効かない。センスがないという意味合いで利用することが多いと思います。
花魁言葉で「野暮」の翻訳は「センスのない、ダサい客」になります。洗練されていないことを「野暮ったい」など言いますが、もしかすると語源となったのは、花魁言葉の「野暮」からきているのかもしれませんね。
翻訳が現代と違うありんす詞④|主(ぬし)
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翻訳が現代と違う花魁言葉、廓言葉の4つ目は、「主」です。時代劇では「お主」というのを聞いたことがありますね。現代では「主」は、一家の長のことや、中心人物を指す意味ですが、花魁言葉では意味が異なります。花魁言葉に翻訳すると「あなた」という意味をになり、お客を「主さん」と呼ぶこともあったそうですよ。
花魁言葉、廓言葉は女性の艶やかさを引き出してくれる言葉遣いだった
花魁言葉について触れてきましたが、いかがだったでしょうか。実は遊廓は、450年続く歴史ある立派な日本の文化だったんです。ただ体を売るわけでなく、字や花、舞、三味線など一流を嗜む遊女は、言葉遣いも一流を求められました。着物をきて、花魁言葉を使い優艶な1日を過ごす特別な日があっての良いかもしれませんね。
京都には花魁体験ができる場所もありますし、着物レンタルができるお店も多くあります。京都で着物をきて、街を散策するなんていかがでしょうか。この記事には、オススメのお店がまとめてあるので、いいですよ。
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