パシュートのルールとは?スピードスケートの団体競技の見どころは?
更新:2019.06.21
平昌オリンピックで、見事金メダルを獲得した「パシュート」。ワクワクしながら観戦しつつも、これってどういうルールなの?と思った方も、意外と多いのではないでしょうか。今回は、そんなチームパシュートのルールを、スピードスケートの団体競技の見どころと、併せてご紹介いたします。
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INDEX
パシュート(チームパシュート)とは?
パシュート(チームパシュート)とは①スピードスケートの団体追い抜き競技
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パシュート(チームパシュート)とは、スピードスケートの団体で行なう追い抜き競技のことです。英語で「追跡、追撃」という意味の「persuit」が語源となっています。また後ほど詳しく説明しますが、競技中に、相手チームやチーム内の味方を追い抜いきます。そして、それがこの競技のルールの要となってくるのです。
なお、スピードスケートは基本的に個人競技です。そんな中で、パシュートは、団体競技として初めて導入されました。そう考えると、スピードスケート界においても、とりわけ特殊な種目ですね。個人で力を磨いていた選手が、いかにチームワークを発揮できるかが、勝敗を分けるキーポイントとなってきます。
パシュート(チームパシュート)とは②最近できたスピードスケート種目
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パシュート(チームパシュート)は、最近できたスピードスケート種目です。実は、もともと自転車競技の種目だったが、そのままスピードスケートにも導入されたのがきっかけです。2000年頃から始まった競技なので、比較的歴史の浅い競技ですね。まだまだルールを知らない人が多いのも、理解できます。
パシュートが初めて大会で採用されたのは、2004年度のISUスピードスケート・ワールドカップでした。以降、オリンピック種目にも加わり、2006年のトリノオリンピックからは、オリンピックの正式種目に採用され始めます。
パシュート(チームパシュート)とは③日本女子チーム金メダル獲得種目!
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パシュート(チームパシュート)は、2018年の平昌オリンピックで、日本女子チームが金メダルを獲得した競技です。絶対王者と言われていたオランダを破り、2分53秒89というオリンピック新記録で、華々しく優勝を飾りました。これをきっかけに、パシュートを知った方も多いのではないでしょうか。
しかし、このパシュートの日本チーム、実は平昌オリンピック以前から、着実に成績を残していたことをご存知でしたか?下記が全オリンピックの成績結果ですが、1度は2位まで浮上しており、銀メダルまで獲得しているのです。日本チームの高いポテンシャルが読み取れるので、これからの活躍にますます期待できますね。
オリンピック日本女子パシュートチーム成績結果
2006年 | トリノオリンピック | 4位 |
2010年 | バンクーバーオリンピック | 2位 |
2014年 | ソチオリンピック | 4位 |
2018年 | 平昌オリンピック | 1位 |
パシュート(チームパシュート)のルールとは?
パシュート(チームパシュート)のルール①3人1チームでタイムを競う
それでは、パシュート(チームパシュート)のルールをご説明いたします。1つ目は、3人で1つの隊列をつくり、タイムを競うということです。3人1組になった2つのチームが、スケートリンクのトラックを同時に回りながら、速さを競います。
興味深いのは、スタート地点です。通常の一斉スタートのように、2チーム横並び一線ではスタートしません。各チームごとに、コースの反対側に分かれてスタートします。男子は400mリンクを8周(3200m)、女子は6周(2400m)し、ゴールとなります。
ゴールも特徴的で、ゴール基準は「最後の選手のブレードの、最後部がゴールラインに達した時点」です。そのため、ゴール前では隊列を崩し、3人横一列に並んでゴールする姿が見受けられます。最後の1人まで目が離せませんね。
POINT
パシュートの登録選手は4人?
チームパシュートを実際に滑るのは3人ですが、よくテレビでは4人紹介されていますよね。なぜなのかというと、それは選手としては4人登録されているからです。そして、その中から選抜された3人が滑ることになっています。
パシュート(チームパシュート)のルール②相手チームに追い抜かれたら失格
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パシュート(チームパシュート)のルール、2つ目は、相手チームに追い抜かれたら失格ということです。パシュートの由来となった理由の1つは、ここにあります。スタート時点で、相手チームとの差は半周あり、この差が無くなって、追い抜かれた時点で負けとなります。
なお、先頭の選手まで追い越されなくても、チーム最後尾を滑っている選手が追い抜かれた時点で、そのチームは負けとなってしまいます。チームの1人も遅れが出ないような滑りを、心がけなければなりませんから、チームの結束力が試される競技ですね。
パシュート(チームパシュート)のルール③チーム内で追い抜きをする
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パシュート(チームパシュート)のルール、3つ目は、チーム内で追い抜きをすることです。これが、パシュートの由来となった理由の、もう1つのルールです。チーム内で入れ替えを行ないながら、各選手とも最低1回は、先頭を走らなければならないのです。
なお、最低回数は決められていますが、上限は決められていません。そのため、体力やペース配分を考えて、何回でも入れ替えは可能です。ただし、回数が多いほど失速しやすいので、なるべく回数は少ないほうがベターです。
入れ替え回数と同様、入れ替わる順番も自由です。例えば、1→2→3で並んでいたところから、3→2→1にしても、2→1→3にしても、先頭が入れ替わっているのなら、どちらでもOKです。しかし、この入れ替わりのスムーズさで、スピードにも差が出てきますから、順番も重要なポイントとなってきます。
POINT
先頭を走らなければならない距離は決められているの?
先頭を滑る最低距離は決められていて、各選手、最低1周以上滑らなければなりません。ただし、それ以外は自由ですから、この走行距離も、駆け引きのポイントです。
パシュート(チームパシュート)のルール④男女別
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パシュート(チームパシュート)のルール、4つ目は、男女別ということです。現在、男子チームと女子チームに分かれており、混合チームは作られていません。
実は、2010年バンクーバーオリンピックで、男女混合パシュートの正式種目採用が、1度検討されたのですが、見送られたという経緯があります。現時点ではあり得ませんが、いつか男女混合チームが結成される可能性もあるかもしれませんね。
パシュート(チームパシュート)のルール⑤ダブルフライングで失格
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パシュート(チームパシュート)のルール、5つ目は、2度目のフライングで失格になるということです。これは、パシュートに限らず、全スピードスケート競技に共通するルールなので、覚えておいて損はありません。
スタート時にフライングをすると、1度目は警告が入り止められるので、やり直しとなります。しかし、同じチームが2度目のフライングをしても、警告は入りません。そのままレース終了まで滑走した後に、フライングとして失格を告げられるのです。1度でもフライングをすると、ヒヤヒヤが止まりませんね。
パシュート(チームパシュート)のルール⑥勝敗の決め方が大会ごとに違う
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パシュート(チームパシュート)のルール、6つ目は、勝敗の決め方が大会ごとに違うということです。これは競技自体のルールというよりも、大会のルールの豆知識として覚えておきましょう。オリンピックは、勝ち残りのトーナメント方式、世界選手権は、1レースのみのタイムトライアル方式を採用しています。
1回しか滑らない世界選手権と違い、オリンピックでは、勝てば勝つほど滑る回数が増えるので、体力配分がより大切になってきます。1レースごとだけでなく、総合優勝までの体力配分を考えなければならない点も、駆け引きの1つですね。
パシュート(チームパシュート)の見どころは?
パシュート(チームパシュート)の見どころ①レース展開が読めない
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以上のルールを踏まえて、パシュート(チームパシュート)の見どころをご紹介していきますね。1つ目は、レース展開が読めないことです。パシュートは長距離競技なので、後半まで気を抜けません。最初はリードしていたのに、ペース配分を間違え、後半失速し、逆転劇が起こることも多いのです。
また、スタート地点が違うので、パッと見ただけでは、差が分かりにくいです。テレビであれば、1周するごとにそれぞれのチームのタイムが表示されますが、その表示が出る度に一喜一憂してしまうのも、パシュートの魅力なのかもしれませんね。
パシュート(チームパシュート)の見どころ②見事な連係プレー
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パシュート(チームパシュート)の見どころ、2つ目は、見事な連係プレーです。パシュートは団体でタイムを競う競技なので、特にこの点が勝敗を大きく左右します。息のピッタリ合った滑りで、空気抵抗を最小限にできれば、体力を温存できるので、何倍ものパワーを後半まで発揮できるのです。
例えば、先頭の入れ替え。スピードを落とさずに、無駄な動きなくスムーズに移動できれば、それだけで大きなアドバンテージとなります。また、足の出し方。リズムを合わせて動かしているだけに見えますが、実は、これによって、空気抵抗を何倍にも減らしているのです。
特に、女子日本チームは、この点がとりわけ優れていると有名です。高速の先頭交代は、世界一とも言われるほど。もともと和を重んじる日本人の性格に加え、年間300日も共に練習に励んだとのことですから、チームワークは最強ですね。入れ替えの一瞬も見逃せません。
パシュート(チームパシュート)の見どころ③ハラハラする距離感
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パシュート(チームパシュート)の見どころ、3つ目は、接触や転倒を心配してしまうほどの、ハラハラする距離感です。パシュートはスピードを上げつつ、空気抵抗を少なくするため、選手同士が至近距離を保ちながら滑ります。その近さは、接触や転倒を心配してしまうほどです。
実際、接触してしまうこともあり、それによって転倒してしまうこともあります。特に、ゴール直前は列を崩して横一列で滑ります。その際に、隣の選手に当たってしまったり、転んだ選手の巻き添えになってしまうこともしばしば…。ゴール直前まで、ハラハラが止まりません。
ちなみに、これだけ近いと、後続の選手が前の選手のお尻を軽く押すことがあります。先頭交代の合図?と思う方もいるかもしれませんが、実は、距離を詰め過ぎないよう、前の選手を押してスピードアップを図ったり、コーナーでバランスを崩さないように支えるためにするのです。こんなサインに注目するのも楽しいですね。
【番外編】パシュートとは別の競技のマススタートとは?
パシュートとは別の競技のマススタートとは①集団スタートの個人競技
パシュートと似ている別の競技、マススタートについても、ご紹介いたします。マススタートとは、簡単に言うと、集団スタートの個人競技です。「マススタート」自体に、「集団スタート」という意味があり、マラソンのように選手が一斉スタートして、個人の速さを競います。
パシュートと大きく違う点は、スタート地点です。一斉にスタートするので、競り合いながら滑っていきます。その激しさから「氷上の競輪」とも呼ばれています。また、パシュートと違い個人競技なので、マラソンのように、先頭で引き離すか、後半から追い上げるのかなど、駆け引きも際立つ競技です。
なお、マススタートは、クロスカントリースキーやバイアスロンといった競技にも、取り入れられている種目です。これらも見ごたえのある競技ですから、興味のある方は、下記記事も一緒にチェックしてみてはいかがでしょうか。
パシュートとは別の競技のマススタートとは②高木菜那選手が金メダル獲得!
パシュートとは別の競技のマススタート、実は、日本代表の高木菜那選手が金メダルを獲得していたのを、ご存知でしたか?2018年平昌オリンピック、優勝選手は高木菜那選手です。パシュートでも金メダルを獲得していますから、ダブル金メダルだったのですね。
パシュートとは別の競技のマススタートとは③近年オリンピック種目に
パシュートとは別の競技のマススタートですが、こちらも近年オリンピックに採用された正式種目です。初めて採用されたのは、2015年のスピードスケート世界距離別選手権で、オリンピックの正式種目となったのは、2018年の平昌オリンピックからです。つまり、高木菜那選手がオリンピック初マススタート優勝者ですね。
近年始まった競技のため、現時点では認知度が低いです。また、ルールが分かりづらいとの声もあり、まだまだ人気も広まっていないとも言えます。とはいえ、せっかく日本人が金メダルを取った競技。今後も活躍が期待される競技ですから、1度ルールをチェックしておきましょう。
【番外編】マススタートのルールは?
マススタートのルール①順位の獲得ポイントで競う
マススタートのルール、1つ目は、順位の獲得ポイントで競うことです。400mのスケートリンクを16周し、その際のトータル獲得ポイントで競います。獲得ポイントは下記の通り。圧倒的に、最終的に1着した人の優勝なのですが、4位以下の争いに関しては、途中までのポイントがシビアに響いてきます。
マススタートのルールが分かりにくいと言われてしまうポイントは、ここかもしれませんね。しかし、速ければ速いほどポイントが高くなるという、基本原則は変わりません。そして、最終的に1番にゴールに着いた人が優勝となります。
マススタートの獲得ポイント
- ポイントは4周ごと、1~3位の選手に加算
- 1位に5ポイント、2位に3ポイント、3位に1ポイントの付与(4、8、12周目)
- 最終周は1位に60ポイント、2位に40ポイント、3位に20ポイントを付与(16周目)
- トータルのポイントで順位が決定
マススタートのルール②1周目は加速禁止
マススタートのルール、2つ目は、1周目は加速禁止ということです。このルールのおかげで、一斉スタートゆえの接触や転倒の心配が、ある程度抑えられています。なお、2周目以降は加速が許されているので、ポジション争いがどんどんと激しくなります。
マススタートは個人競技ですが、この2周目以降のポジションによって、チームで協力して優勝することが可能になります。例えば、体力温存作戦です。チームの1人が先に滑って風よけとなり、ラストスパートで後続の選手が抜け出して、1位を狙いにいくのです。
他にも、おとり作戦もあります。有力選手が、わざとペースを遅らせながら前に出ます。作戦に気づいていない他チームの選手は、大抵、そのままその後ろについて行ってしまいます。そこへ、もう1人の選手が有力選手を追い抜き、勝ち抜きを狙うのです。個人競技のようでいて、チームワークも発揮される、駆け引き競技です。
マススタートのルール③周回遅れで失格
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マススタートのルール、3つ目は、周回遅れで失格ということです。ここは、パシュートと似ていますね。一斉スタートなので、半周で追い抜かれることはありませんが、1周遅れで追い抜かれてしまいます。始めから加速し過ぎても失格ですし、遅過ぎても失格となるので、気が抜けませんね。
【番外編】上手なスケートの滑り方とは?
上手なスケートの滑り方①中腰で前を向く
パシュートなどの競技を観ていると、自分も滑りたくなりますよね。そこで、最後に、上手なスケートの滑り方をご紹介いたします。1つ目は、中腰で前を向く姿勢を身につけることです。まずはフォームが大切なので、この基本姿勢を身につけましょう。
つま先はVの字に開いて、膝と足首を曲げ、少しがに股の姿勢で、中腰になります。不安かもしれませんが、この時下は見ないようにしましょう。前を向くことによって、安定させられます。
加えて、背筋は軽く伸ばしておきましょう。両手は、ちょうど机に寄りかかる時のように、腰の高さで、斜め前に伸ばします。不格好に見えるかもしれませんが、滑ること自体が苦手な人は、ここから始めましょう。
上手なスケートの滑り方②膝に腰を乗せるように踏み出す
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上手なスケートの滑り方、2つ目は、膝に腰を乗せるように踏み出すことです。先ほどの基本姿勢を保ちながら、そのまま軸足に腰を乗せるように、重心を移動させれば、なめらかに動き出すことができます。
滑り始めたら、軸足とは反対側の膝を伸ばしながら、エッジ全体で表面を押し出します。体の中心の真下に軸足が来るようにして、バランスを取ります。なお、ソロソロとやるより、膝を曲げた後、一気に腰を乗せたほうが、安定させやすいですよ。
上手なスケートの滑り方③止まる時はイの字に
上手なスケートの滑り方、3つ目は、止まる時はイの字にすることです。止まりたい時は、片方の足だけを斜め前に出します。45~60°くらいを意識して、エッジで氷をなでるような感覚です。削るように勢いよく出すと、逆に急ブレーキとなり、バランスが取れずに転倒する危険もあるので、気をつけてくださいね。
アイススケートで滑り方の他に大切なのは、ファッションですよね。下記記事には、アイススケートにピッタリの服装や持ち物について、特集されています。スケートデート時におすすめな女子の格好についても、詳しく書かれているので、ぜひご参考になさってくださいね。
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また、ウィンタースポーツでは、中に着るインナーも重要になってきますよね。下記記事では、スケートだけでなく、スキーやスノボの服装時に下に着るインナーについて、詳しく書かれています。寒さを気にせず思いっきり楽しむため、ぜひ併せてお読みくださいね。
パシュートで冬をもっと楽しもう!
いかがでしたか。パシュートのルールは、意外とシンプルです。チーム内で追い抜き、先頭交代をしながら、タイムを競います。最後まで目が離せない展開や、華麗なチームワークなど、見どころもいっぱいです。さらに人気が期待されるパシュート観戦をしながら、冬をもっと楽しんでくださいね。
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