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月を表す言葉10選!満月の夜に関する美しい単語と日本語の表現とは?

更新:2019.06.21

月の別名や月を表す言葉はたくさんあります。満月以外にも美しい月はたくさんあり、それらを表現する単語もとても美しいです。今回は様々な月に関する言葉や、月の別名をご紹介していきます。夜空の月を見上げながら、様々な言葉を思い浮かべてみてください。

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月を表す言葉5選【ア~ナ行】

月を表す言葉・単語①天満月(あまみつつき)「空いっぱいに輝く満月」

月を表す言葉・単語の1つ目は、天満月(あまみつつき)です。「空いっぱいに光り輝く月」という意味で、満月の別名とされています。なんだか美しくかわいらしい響きの言葉ですよね。

満月はよく見かけますし、満月という言葉自体も私たちにずいぶん馴染みの深い言葉になりましたが、「今夜は見事な天満月ですね」とひとこと言えば、きっと聞いている相手もどきりとするでしょう。「あまみつつきって何?」から始まる会話を楽しめることは間違いありません。

月を表す言葉・単語②孤月(こげつ)「さみしそうに見える月」

月を表す言葉・単語の2つ目は、孤月(こげつ)です。「孤」の字は「孤独」という言葉に使われていますが、その字のとおり「さみしそうに見える」月のことを指しています。

月に対して「さみしそう」と感じる気持ちは、少し不思議かもしれません。月はおそらくわたしたちの心をそのまま映すこともできるのでしょう。星のない夜空に、ぽつりと浮かぶ孤月を眺めながら、心が穏やかに安らぐこともあると思います。

月を表す言葉・単語③空の鏡(そらのかがみ)「澄んだ月」

月を表す言葉・単語の3つ目は「空の鏡」です。意味は澄んだ月、特に秋の名月のことをこのように呼びます。こちらも満月の別名のひとつです。月が特に美しく見える秋は、ぜひ空を見上げてみてほしいものです。

丸く明るく澄んでいることから、月は鏡にたとえられています。先ほどの孤月の章でもご紹介しましたが、美しい月はあなたの心を映し、あなたの心をきれいに澄み渡らせてくれることでしょう。何か悲しくて心が曇るようなことがあった日は、空の鏡を見上げて心を澄ませてみませんか?


月を表す言葉・単語④淡月(たんげつ)「淡い光の月」

月を表す言葉・単語の4つ目は淡月(たんげつ)です。意味は「淡い光の月」です。明るい光を放つ月ではなく、淡い光を放つ月もとても美しいものです。

鎌倉時代に書かれた『徒然草』に、こんな一文がありました。「月は隈なきをのみ見るものかは」。現代語訳すると「月は澄んだものだけを見るべきなのだろうか、いや、そうではない」となります。

つまり、澄んだ明るい月のみが素晴らしいのではなく、ぼんやりとかすんだ月もまた美しいのです。ぼんやりと淡い光の月もまた美しく私たちの心を打つものです。淡く優しい光に癒されたい日もきっとあるでしょう。そんな時には、空の淡月を眺めてみてください。

月を表す言葉・単語⑤名残の月(なごりのつき)「明けた空に残る月」

月を表す言葉・単語の5つ目は、名残の月(なごりのつき)です。名残という言葉から大体の意味は察せることと思いますが、夜が明けた後の朝方の空にぼんやりと残っている月のことをそう呼びます。

月は淡いものでも美しいということは、先程ご紹介した通りです。同じように、夜空に浮かぶ月ばかりが美しいわけではありませんよ。朝方の、明るくなりかけている空に浮かんでいる月はとても神秘的です。1日の始まりに月を眺めるのも、また素敵ですよね。

月を表す言葉5選【ハ~ワ行】

月を表す言葉・単語⑥眉月(びげつ)「女の眉のように細い月」


月を表す言葉・単語の6つ目は、眉月です。意味は、女性の眉のように細い形の月のことです。「三日月」の別名になります。三日月だとかなり耳慣れた表現になってしまうので「今夜は眉月なんですね」とさりげなく言ってみると、聞き手の興味を引くことができるでしょう。

古来より女性の眉は、細く整って美しいものと言われています。女性の細く美しい眉を表す「柳眉」などという言葉もあるほどです。様々な日本語表現のおもしろさや深みについて、ぜひ学んでみてくださいね。今では使われない古語も、きっと興味深いですよ。以下の記事もおすすめです!

月を表す言葉・単語⑦無月(むげつ・むつき)「十五夜の月が雲に隠れる」

月を表す言葉・単語の7つ目は、無月です。読み方は「むげつ」と読んだり「むつき」と呼んだり、さまざまです。意味は、十五夜の月が雲に隠れて見えない状態のことです。雲に隠れていますが、その雲の下から明るい光が漏れ出ているとても美しい様子を指しているのです。

この言葉には「見えないものに想いを馳せるのも、また風流なことだ」という日本人の考え方が表されています。華やかなものばかりを追わず、静かで奥ゆかしいものを好む日本人らしさがとてもよく表現されていますよね。厚い雲の隙間から漏れる光を見つめて、その奥にある月の姿を想像するのもおしゃれです。

月を表す言葉・単語⑧宵月(よいづき)「夕方だけ出ている月」

月を表す言葉・単語の8つ目は、宵月(よいづき)です。宵とは、日が暮れて夜になる前の夕方の時間帯のことです。まだ真っ暗な夜が来る前に、ぼんやりと浮かぶ月を見つけたことも多いかと思います。それが「宵月」です。

朝に見える名残の月もそうですが、まだ真っ暗になりきる前の空にぼんやりと見える月もまた綺麗です。夜になるまでのわずかな時間帯に見つけられる月を、ぜひ楽しんでみてください。

月を表す言葉・単語⑨朗月(ろうげつ)「明るく澄み渡った月」


月を表す言葉・単語の9つ目は、朗月(ろうげつ)です。明朗という言葉などに示されるとおり、朗という字は「はっきりしている」という意味を持っています。なので「朗月」は、はっきりと見える明るい月を意味しています。こちらも満月の別名のひとつとされます。

月にまつわる言葉は古代から伝わるものも多いですが、ラ行はもともと、日本で作られた和語(わご)にはないものとされてきました。そのため、ラ行で始まる月にまつわる言葉もそう多くはありません。そういう意味で「朗月」は貴重な言葉だといえます。

月を表す言葉・単語⑩彎月(わんげつ)「弓型の月・弓張月の別名」

月を表す言葉・単語として最後にご紹介するのは、彎月(わんげつ)です。彎という文字はあまり見慣れませんが、これは「弓を引くこと」を意味しています。つまり、弓のような形をした月のことをそう呼びます。

ちなみに「彎月」と同じような月を表す言葉として「弓張月(ゆみはりづき)」というものもあります。彎月も弓張月も「半月」の別名ですが、英語ではすべて「half moon」と表現されてしまいます。同じ形の月でも、様々な表現を持つ日本語のおもしろさを感じることができますね。

月夜を表す美しい日本語表現はたくさんある!

月夜に関する美しい日本語表現は、たくさんあることがわかります。月の形や見え方に、様々な意味を見出したり、自分の気持ちを重ねたりするのも日本の素敵な文化ですよね。自然を表現する日本語の参考として、以下の記事もおすすめです。

知っておきたい月にまつわる和歌とは?

月にまつわる・月に関する和歌①阿倍仲麻呂

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天の原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に 出(い)でし月かも 引用元:古今和歌集(作・阿倍仲麻呂)

知っておきたい月にまつわる・月に関する和歌の1つ目は、古今和歌集に所収されている阿倍仲麻呂の歌です。百人一首のひとつでもあるので、聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?

「天を仰ぎ遠くを見上げると、月が昇っている。あれは奈良の春日にある、三笠山に昇っていた月なのだなあ」。このような現代語訳がつけられます。阿倍仲麻呂という人は、遣唐使として唐(中国)に長く暮らし、ついに日本に帰るくることはありませんでした。遠い異国で、故郷に想いを馳せているのです。

月は宇宙にひとつしかありません。日本と唐、遠く離れた異国であっても同じ空の下で、同じ月を見ているということを強く感じられる歌です。現代のわたしたちにも、共通して感じられる気持ちなのではないでしょうか。

月にまつわる・月に関する和歌②紫式部

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#月 #moon #雲隠れにし夜半の月かな

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めぐりあひて 見しやそれとも 分かぬ間に 雲隠れにし 夜半の月かな 引用元:新古今和歌集(作・紫式部)

知っておきたい月にまつわる・月に関する和歌の2つ目は、新古今和歌集に所収されている紫式部の歌です。『源氏物語』で有名な才女は、和歌にもすぐれ、こちらも百人一首で有名な歌のひとつです。

「ようやく会えたのに、あなたであることすらわからないくらいの短い間に帰ってしまった。まるでさっと隠れてしまう夜半の月のようだわ」。久しぶりに会えた幼馴染みの女性とゆっくり話せず、すぐに帰ってしまった彼女を想い、取り残されてしまったさみしさを詠んでいます。

こちらで詠まれているのは実際の月というより、幼馴染みを月にたとえているものです。出たと思ったらさっと雲に隠れて見えなくなってしまう。大切な人と会えたと思っても時間が取れず、すぐに別れてしまう…そんな寂しさを感じる夜を、現代人の私たちも過ごしたことがきっとあるはずです。

月を表す言葉を通して豊かな日本語を学ぼう!

「満月」「半月」「三日月」…私たちが使っている月に関する表現として、多く登場する言葉はこの3つだと思います。しかし日本語には、もっと多くの表現が溢れているのです。同じ満月であっても見え方により印象や、表す言葉が異なります。

これは私たちが使っている日本語が、どれだけ豊かであるかということを示しています。ぜひ、たくさんの月に関する表現を通じ、改めて日本語の深さや豊かさを学んでいただきたいと思います。

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