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殿上人(てんじょうびと)の意味とは?天上人との違いや対義語も

更新:2021.04.19

殿上人(てんじょうびと)という言葉を耳にしたことありませんか?聞いたことはあるけれど、意味がよく分からない。天上人とどう違うの?という方のために、殿上人の成り立ちや意味、使い方などを解説していきます。また、殿上人と天上人の違いや、対義語・類義語についてもご紹介します。

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殿上人(てんじょうびと)とは?意味は?

殿上人の読み方は「てんじょうびと」

殿上人の読み方は「てんじょうびと」といいます

殿上人の読み方は「てんじょうびと」と呼びます。ざっくりというと「特別に偉い貴族のこと」を指します。貴族の中で、上皇、女院や東宮などの殿上の間の「中流階級」で、直接政治に関わることのできる上級の「上達部(かんだちめ)」と、昇殿できない地位にある「地下(ぢげ)」との中間に位置しています。

古くは平安時代から使われだした言葉で、現在の役職で例えれば「国家公務員」と同じような立場です。それは大臣から下級官僚まで「サラリーマン」という役職になります。当時は恒例の賭弓とは別に、殿上の侍臣のために弓を射させて、天皇が楽しんだ臨時の行事として「殿上の賭弓(てんじょうののりゆみ)」がありました。

殿上人の意味は「四位・五位の人の中で特に特別な人」のこと

殿上人の意味は「四位、五位の人の中で特に特別な人」のこと

殿上人(てんじょうびと)の意味は、「四位、五位、そして六位の蔵人のことで、特に特別だった「有資格者」を言います。「雲の上人」に、「上人(うへびと)」や「雲上人(うんじやうびと)」、「殿上」とも言いかえられますね。当時の下民にとっては「雲の上の存在=天空の手の届かない人物」というわけです。

現代でも例えとして使われることもあります。いい例えとしては「マナーのある人」、「上品な人」、「紳士的で勇敢な人」などです。逆に悪い例えとしては「横暴な人」や、「態度が大きい人」、「努力を知らない人」など、まるで小馬鹿にした使い方です。単純に「一般知識のない庶民的な人」とても言いたいのでしょう。

中世ヨーロッパでは「殿上人(てんじょうびと)」は「貴族」だった

中世ヨーロッパでは「殿上人(てんじょうびと)」は「貴族」だった

中世ヨーロッパの時代では、「殿上人(てんじょうびと)」は、日本とは違って「貴族」出身の騎士が多く担う大役でした。中世ヨーロッパの騎士は「国王に仕えた武力統一した貴族」であった事に対し、日本の武士は「皇族に厭われた血の穢れを嫌った被差別者」であったようです。国が違えば意味も地位も違うのは当然ですね。

中世ヨーロッパの「騎士」は封建領主でありましたが、その土地は領地でした。しかし当時の日本の「武士」は寺社の荘園や貴族の管理下であり、領地は武士のもではなく、武将のものでした。今となれば当時の騎士と武士(=殿上人)とは、その権利や身分においてあまりにも大きな差があったと言えるのでしょうね。

殿上人と天上人の違いとは?

殿上人と天上人の違い①天上に住む空想上の種族か実際の貴族かの違い

殿上人と天上人の違い①天上に住む空想上の種族か実際の貴族かの違い

殿上人と天上人の違いの1つ目は、「実在の地位の高い貴族」か「空想上の天上に住む天使」かの違いです。仏教では人間界の上にある世界のことを「天上界」と呼び、特別な人だけが住むことを許される最上世界のことを指して、そのことを「天上人」と称していました。「天上人」の類語としては「天界人」や「天空人」です。

それに対して「殿上人」は、天皇が日常生活を送る御座所があった「地位の高い貴族」の事をいいます。昇殿を許されるのは、天皇や院の人物で東宮の一代限りであり、他の者が再び昇殿するには改めて勅許の必要がある時代でした。簡単に解釈すると、「殿上人」や「地下」は、その身分の「待遇」を指して言うものなのでしょう。

殿上人と天上人の意味の違い②「架空の人物」か「実際の貴族」か

殿上人と天上人の意味の違い②「架空の人物」か「実際の貴族」か

殿上人と天上人の意味の違いの2つ目は、簡単に言うと「架空の人物」か「実際の貴族」かです。殿上人は「清涼殿に上がることを許可された人々」を意味しており、天上人は「天上に住む人のことで、実際にそのような人々は存在しない想像上の産物」を意味します。読み方でも全く意味が異なりますね。


天井人の意味は「天上に住む人」のことを言います。しかし、それは架空の世界、言ってみれば想像上の種族と言うことになります。雲の上に住む天空の人という意味から、雲の上の人や、自分とは違う別世界の人と言うところなど、当時はそれなりに身分の高い人のことを指して「天上人」と使う場合もあります。

天空の人物・「天上人」は、ある意味精神的にとてもレベルが高く、人間ではなり得ないとても崇高的な存在です。下記でご紹介する記事には、人間的に精神的レベルの高い人物の特徴や、自分を変えレベルを上げたい方向けにぴったりな内容を紹介する記事です。是非一緒に読んで、精神的にレベルの高い人物になってくださいね。

そもそも天上人とは?

天上人とは「天空に住む想像上の架空の存在」

天上人とは「天空に住む想像上の架空の存在」

これまでも説明したように、「殿上人(てんじょうびと」は実在する人物に対し、天上人は「想像上架空の存在」であります。「神」や「天界人」などの宗教上の崇める存在、さらに飛躍しすぎると、「宇宙人」などの地球外生命体も天上人と思われていたのです。例え当時地球外生命体が信じられてなかったとしても類語です。

天上人は人間が心の中に作り出す「想像の産物」

天上人は人間が心の中に作り出す「想像の産物」

天上人は人間が心の中に作り出す「想像の産物」とも言えます。実在する存在ではなく、心の中で信じる存在であり人物なのです。それは仏教でも信教でも宗教には関係ありません。人々の心のよりどころであり、心の安らぎの象徴なのです。身近でよく知られている物語の中では、「かぐや姫」のお話の中に天上人がでてきますね。


この「かぐや姫」の身分は天上人で、犯した罪を償うために卑しい下界へ降ろされたという設定でした。身分の低い翁は竹林でかぐや姫を拾い、子供のいなかった老夫婦は天が授けてくれた宝物だと信じてやまず、懇親的に育てました。そしてその時が来てかぐや姫は天上へ帰り、天の羽衣で下界での記憶を消されたとされています。

「天上人」は劇場版ドラえもんでも描かれている

「天上人」は劇場版ドラえもんでも描かれてる

「天上人」は、先にお話ししたように架空の存在であるという説が多いためか、アニメや物語の題材としてもよく使われています。例えば皆さんもよくご存じの国民的アニメ「ドラえもん」の劇場作品です。ドラえもんと仲間たちが遊びで作った「雲の王国」で、たまたま出会った「天空人」と出会うところから始まります。

劇場版ドラえもんの第13作品目として上映されたこの映画は、天上の世界を舞台にした、地球上の文明を滅亡させようとする天上人と、ドラえもんと仲間たちが道具を使って作った架空の「雲の王国」で、人類滅亡を阻止しようとする戦いが描かれたストーリーです。最終的には平和な世界が戻ります。

殿上人の対義語や英語表現は?

殿上人の対義語「地下(ぢげ)」

殿上人の対義語「地下(ぢげ)」

殿上人(てんじょうびと)の対義語は、「地下(ぢげ)」です。意味は「官職や位階など公的な地位をもたない人物、また、その人や身分。農民や庶民。民衆。地下人」を指します。その時代、地下出身の官人は三位に昇っても昇殿は許されませんでした。公家(くげ)、武家に対する一般農民や庶民の称ともなったのです。

「地下(ぢげ)」が使われていた当時には、清涼殿上 (てんじょう) の間に昇殿を許されない地下の上達部を指す「地下の公卿(じげのくぎょう)」や、身分の低い武士または、農耕に従事したことを指す「地下侍(じげざむらい)」などの身分がありました。現代では「自分の住んでいる村や地元」などに使われています。

殿上人の英語表現は「courtier」

殿上人の英語表現は「courtier」

殿上人(てんじょうびと)の英語表現は、「courtier」です。主な意味は「宮廷に仕える人」や「廷臣」、「ご機嫌取り」などです。殿上人(てんじょうびと)とは、平安時代の日本の朝廷、天皇の日常生活の場である清涼殿の殿上間に昇殿を許された者です。日本古来の言葉なので英語表現はとても難しいですね。

「殿上人(てんじょうびと)=courtier」は、海外では「Main Doboshu=おもな同朋衆」として主な意味として使われています。当時の日本のように低い身分を指す言葉ではなく、海外では「芸能事に長けた僧体の特別技能者たち」のことを言う際に使うようです。習慣や国が違えば言葉の意味も大違いですね。

殿上人の類義語は「住む世界が違う人」

殿上人の類義語は「住む世界が違う人」

殿上人(てんじょうびと)の類義語は、「住む世界が違う人」、「神のような存在」、「別世界の住人」、「雲の上の存在」などがあります。どの言葉も「天上人」と何となく繋がりますね。天上人は仏教や信教で使われることが多い言葉です。対して殿上人は9世紀以降の日本の朝廷の天皇に仕える昇殿のものを指します。

「殿上人(てんじょうびと)=天上人(てんじょうびと)」と解釈している方も多いですが、実際の意味は全くの逆、神様として崇められているか、貴族の役職として使われているかで、漢字の使い方も意味もまるで違う言葉になります。使用する際は、よく言葉の意味と使用用途を確認して、正しい方を使用してくださいね。

「殿上人(てんじょうびと)」がよく存在した平安時代などには、「通い婚」と言われた結婚の形がありました。下記でご紹介する記事には、当時の夫婦の在り方や結婚の解釈の仕方など、いいことから悪いことまでご紹介する記事になっています。当時の世情を知る面白い記事となっていますので、ぜひ併せて読んでみてください。

殿上人(てんじょうびと)とは古来の日本の朝廷において最も重要な人物

いかがでしたでしょうか。殿上人(てんじょうびと)とは、今の時代全く聞くことのなくなった言葉であり、読み方であることが分かりましたね。当時の日本においては、とても重要で、地位の高い人物に与えられた称号でありました。どちらかと言えば「天上人」の方が今は多くの人に知られている言葉かもしれませんね。

「天上人」は今は物語やアニメなどに頻繁に登場することが多いです。視聴者にとって「天空に住む人々」とは、とても神秘的で魅力的にうつります。昔の「殿上人」とは大違いですね。ですがどちらも人の心を惹きつける、魅力的な存在であるということには変わりありません。今も昔も、人々に意味のある言葉なのです。

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