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炎色反応の原理や覚え方は?色の語呂合わせや実験方法も

更新:2019.06.21

炎色反応と言う言葉を覚えていますか?炎の色が変わる化学反応ですね。高校受験やセンター試験にも出てくる炎色反応の原理や色・語呂合わせと言った覚え方もご紹介いたします。忘れてしまった方も、これから覚えたい方も是非みてください。どんな所に活かされているかもご紹介いたしますので意識して見ると面白いですよ。

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炎色反応の原理とは?

炎色反応とは物質が燃える際に放つ反応のこと

炎色反応とは、アルカリ金属やアルカリ土類金属・銅と言った塩・金属と言った物質が燃える際にそれらの元素特有の色を放つ反応の事です。化学の分野においては金属に対する定性分析に使用されている現象です。

様々な色合いがあり、その色の種類は約20種類あります。炎の色が変わる現象を上手く使用した例で言えば「花火」が最も身近な炎色反応でしょう。また小学校〜中学校で行った化学の実験も記憶にあるのではないでしょうか。現在においても化学の発展に貢献している現象で、個人的に楽しむ方もいらっしゃいます。

炎色反応の原理

炎色反応の原理は、金属塩が炎の中で熱せられ気化で生じた金属原子の中の電子が高エネルギー状態(励起状態)になります。そのままの状態では不安定なので励起状態にされた高エネルギーの電子は元の低エネルギー状態(基底状態)に戻ります。

電子が励起状態から基底状態に戻る時、二つの状態間のエネルギーの差分エネルギーが光として放出されます。この放出された光が可視領域の波長であった時に、炎の色が燃やした金属塩固有の色へ変わり炎色反応として確認する事が出来るのです。

主な金属塩と色

  • リチウム(深紅)
  • ナトリウム(黄)
  • カリウム(淡紫)
  • ルビジウム(暗赤)
  • セシウム(青紫)
  • カルシウム(橙赤)
  • ストロンチウム(深赤)
  • バリウム(黄緑)
  • ラジウム(洋紅)
  • モリブデン(黄緑)
  • 銅(青緑)
  • ホウ素(黄緑)
  • ガリウム(青)
  • インジウム(藍)
  • タリウム(淡緑)
  • スズ(淡青)
  • 鉛(淡青)
  • リン(淡青)
  • ヒ素(淡青)
  • アンチモン(淡青)

ちなみに励起状態は「れいきじょうたい」と読み、量子力学で原子や分子が外部からのエネルギーを受けて低エネルギーから高エネルギーに変わる状態を指します。低エネルギー状態は基底状態(きていじょうたい)と呼びます。

炎色反応の覚え方・ゴロ合わせは?

炎色反応の覚え方について


化学は覚える事が非常に多く混乱をしてしまう事も多いのでは無いでしょうか。その上元素記号など、かなりの数があるため受験生の方は化学に悩まされてしまいますよね。ですが、化学においては要点と法則性があり、覚え方としては他の学問より覚えやすいと言われています。

約20種類ある炎色反応も覚えておくべき要点はその中の9種類と幅が一気に狭まるのです。もちろん専門分野の方は全て覚える必要がありますが、一般教養や受験対策としてはその点を押さえれば大丈夫です。暗記が得意な方だとあっという間に覚えれてしまうのでは無いでしょうか。

主な炎色反応を示す金属と色の覚え方

  • リチウム(Li)深紅=赤色
  • ナトリウム(Na)黄色
  • カリウム(K)淡紫=紫色
  • カルシウム(Ca)橙赤=橙色
  • ストロンチウム(Sr)深赤=紅色
  • 銅(Cu)青緑色
  • バリウム(Ba)黄緑色
  • ルビジウム(Rb)暗赤=薄赤色
  • セシウム(Cs)青紫色

化学はゴロで解決!語呂合わせを使った簡単な覚え方

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#帰宅部の実験室 #炎色反応

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覚えても私生活で使う訳ではないので、忘れてしまいそうなのが化学の一番の天敵です。そんな時は詩や歌の歌詞のような語呂合わせで覚えてしまいましょう。歴史の年号や他の化学でも語呂合わせは覚え方として効果を発揮していますよね。リズム感のある語呂合わせでの覚え方は人間にとって一番覚えやすい方法なのです。

リアカー無きK村動力借りるとするもくれない馬力、と覚えるのですがこのままではどういう意味か良く分かりません。ですが、ゴロの意味が分かればスラスラと言えるようになりますよ。

リアカー(Li赤ー)無き(Na黄)K村(K紫)動力(銅緑青)借りると(Caりる橙)するもくれない(Srも紅)馬力(Ba緑黄)となり網羅しています。緑は2つしか無いので最期の馬力で黄緑を緑黄(「りょくき」でりき)としているのがポイントですね。歌のように私生活でも口ずさめば効果抜群ですよ。

炎色反応の実験方法は?

炎色反応の実験準備物と注意事項

炎色反応は特別な高価な物を用意する事なく身近な物を試薬としてご家庭でも実験する事が可能です。準備物の中にはあまり馴染みの無いものもありますが、ドラッグストア等で手配が可能です。それ以外は代用品も出来るので手軽に実験を楽しんでみましょう。

炎色反応実験の準備物(*印は燃やす試薬例)

  • メタノール(エタノールでも可能だが炎の色が悪くなる)
  • 磁器製の深皿(お弁当で使うアルミカップでも可)
  • 計量スプーン
  • 耐火プレート(オーブン皿やPP樹脂製のもの)
  • チャッカマン(マッチでも可)
  • *食塩
  • *ホウ酸
  • *カルシウム配合物(サプリや湿気取用乾燥剤)
  • *ミョウバン

雑貨屋でも買えるものがありますが、材料を購入する際は基本的にはドラッグストアがおススメです。他の試薬も同時に購入が可能なので便利です。カルシウムはストロンチウムの変わりですが、メタノールに溶けにくい為炎色反応があまり上手くいかない事もありますのでご注意ください。

個人実験は自己責任が伴います。実験を行う時は必ず周囲に可燃物がない事を確認し安全確認してください。また、消火剤も手元に用意しましょう。小型の簡易消化器が望ましいですが高価な品物になるので、濡らしたバスタオルでも大丈夫です。万が一延焼した時は、慌てずにバスタオルを被せて消火活動を迅速に努めましょう。

炎色反応の実験方法

実験の際はあらかじめ試薬をメタノールにしっかりと溶かしておきましょう。溶け具合が緩いと炎色反応が起きず失敗してしまう事があります。

炎色反応の実験手順

  1. 耐火プレートの上に磁器製深皿を置く。
  2. 試薬を溶かしたメタノールを注ぐ。(メタノールは10〜15mlが目安)
  3. チャッカマンやマッチで点火する。
  4. 炎色反応を確認する。
  5. 鎮火してから次の試薬に移る。

基本的に毒劇物は使用していませんが、試薬は混ぜない様にしましょう。器が一つしかない時は一つの試薬実験が終わったら綺麗に洗浄し、キッチンペーパー等で水気を切ってから使用した方が失敗しにくくなります。

試薬そのものがメタノールに溶けにくい素材の場合は一度少量の水で溶かして溶液を作り、その水を少量加えて炎色反応実験をすると良いでしょう。ミョウバンや食塩などは溶液状にした方が上手くいきやすいでしょう。

炎色反応が使われているもの5つ

①花火|炎色反応が使われているもの

炎色反応が使われているもの1つ目は「花火」です。炎色反応の中でも、最も身近で目にする炎色反応ではないでしょうか。日本でも昔から花火は庶民の祭りを彩る華として強い人気を博しています。様々な試薬を緻密な計算の上に盛り込まれた花火は、炎色反応の原理を活用し、化学を芸術の域まで押し上げた技術の集大成です。

花火師の方は炎色反応の原理を並の研究者以上に理解しているとも言われている程、花火は非常に繊細で複雑な仕組みをしています。日本においては最も古い時代で1447年の室町時代の文献に姿を表しています。当時の花火は縄に火をつけて色々な形を楽しんだ質素なものでした。


外国との貿易により鑑賞花火が入ってきたとされています。戦国時代には切支丹大名で有名な大友宗麟が祭りで花火を楽しんだ記録もあります。昔から炎色反応の原理が理解され続けていたとは驚きですね。現在でも花火大会は祭りの目玉です。花火大会に関連する記事もありますのでよろしければご覧ください。

②花ガス|炎色反応が使われているもの

炎色反応が使われているもの2つ目は「花ガス」です。現代においては中々見る機会が無くなったガス灯です。都会にガス灯が設置されていた当時は、ロウソクでの灯りよりはるかに明るいガス灯が主流でした。その時はロウソク同様黄色い炎だけで照らされていました。

そこに炎色反応の原理が利用された「花ガス」と呼ばれるガス灯が登場したのです。黄色い炎だけだったガス灯にリチウムやナトリウム、カリウム、銅と言った金属塩が混ぜられ赤色、紫色、黄色、緑色と色とりどりな炎が灯されました。企業はこぞってこの花ガスを利用し様々な形や炎の色で広告看板を演出しました。

様々な色と形で演出されたネオンを当時の人々は楽しんでいたそうです。この花ガスは明治初期から大正時代まで活用されており、形も様々で花ガスで文字を作っていたり、花や旗の形を楽しませるなど今のネオン灯広告の先祖と言えるでしょう。炎色反応は昔から人の心を掴んでいたのですね。

③カラーキャンドル|炎色反応が使われているもの

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誕生日ケーキ #カラーキャンドル

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炎色反応が使われているもの3つ目は「カラーキャンドル」です。通常のロウソクは黄色い炎であたりを照らします。そこに炎色反応の原理を活用し、キャンドルの本体のカラフルさに炎にも様々な色を加えた演出キャンドルです。現在では普及しており100円ショップなんかでも購入できる様になっていますね。

お誕生日や結婚式などのお祝いのタイミングでカラーキャンドルを使用すると、非常に雰囲気が高まり盛り上がります。最近では自作カラーキャンドルで様々な色を取り入れる方も増えており、様々なシチュエーションで活躍しているアイテムです。炎は人間にとって無くてはならないものです。

そこに色という芸術的センスを入れるのは流石というべきでしょう。便利なだけでなくよりキレイに、より楽しめる物をと貪欲に追求する気持ちが化学の発展に欠かせないのでしょう。手軽に実験が出来る炎色反応は私生活に導入しても面白いですね。

④カラー松明|炎色反応が使われているもの

炎色反応が使われているもの4つ目は「カラー松明」です。最近では消防法が強化されたり等であまり使用されなくなってしまっていますが、一昔前までは夜間の野外ライブなどの演出に使われていました。林間学校でのキャンプファイヤーの際にも使用した事がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

松明は耐火素材の布を角材の先端に取り付け、油を浸して燃やして使う手持ち照明です。冒険物の映画では洞窟探索の時なんかに出てくる照明ですね。その布の部分に試薬を溶かした溶液とメタノールを浸し火を点けることで、通常の炎と違う色の炎が楽しめるので野外での演出に使われていました。

複数のカラー松明を用意して暗い場所を灯すと幻想的な空間に早変わりします。夏のキャンプ場で使用されている方もいらっしゃいますね。ただの照明として終わらせるのではなく、炎に色をつけてSNSに投稿すると非常に映える一枚が取れるのではないでしょうか。

⑤カラートーチ|炎色反応が使われているもの

炎色反応が使われているもの5つ目は、「カラートーチ」です。こちらも最近ではあまり見なくなったものかも知れません。簡単に作成出来るカラートーチは、作成する際に「ステアリン酸」「アルコール」「発色剤」の三つを比重を考えながら配合していきます。合計で100ccの容器に収まる様に配合すると良いでしょう。

配合が完了したら大きめの容器に熱湯を用意します。その中に100ccの容器を入れ湯煎で温めながら攪拌します。チョコレートを溶かす様なイメージですね。中の溶液が透明になったらお湯から上げ、アルミカップや磁器製の陶器に注ぎ冷まします。冷めると中の溶液はゲル状へと変化し完成です。

使用する際は安全の為に必ず空き缶で作ったトーチなどに入れて使用しましょう。幻想的なカラフルな炎が夜の景色の中で揺れる様はキャンドルより力強く、神秘的な雰囲気がありますよ。延焼や火傷には十分に注意する必要がありますが、キャンプファイヤーの薪に高い位置から垂らすと炎が滝の様に演出出来てすごくキレイです。

身近な化学炎色反応を楽しく実験してみましょう

いかがでしたでしょうか?炎色反応や原理、語呂合わせでの覚え方をご紹介いたしました。現代では中々見なくなった炎色反応を利用した物も実は色々な物に姿を変え、人々を尚も魅了し続けています。炎は人類にとって恵みでもあり、大きな革命をもたらした尊い存在でもあります。

時に恐怖をも感じてしまう炎ですが、きちんとした扱い方をすれば神秘的で幻想的な風景を演出してくれます。語呂合わせでの覚え方を参考にどの金属塩がどんな色を演出するかを覚えてみてはいかがでしょうか。特に受験を控えているお子様が居るご家庭では語呂合わせにリズムをつけて歌う様な覚え方もおススメです。

子供だけではなく、大人も一緒に実験をして炎色反応を楽しんでみても良いですね。化学は決して堅苦しく難しいものではありません。語呂合わせと併せて実験をしながら炎の色当てクイズなど楽しみながらの覚え方が出来るのも他の学問にはない利点の一つです。この機会に是非炎色反応を色々利用してみてはいかがですか。

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