北欧に住むサーミ人とは?美人が多いサーミの特徴や伝統5つも
更新:2019.06.21
サーミ人・民族を知っていますか?ラップランドと言われる北欧、フィンランドやスウェーデン、ノルウェーに住んでいる人々です。トナカイ遊牧民である彼らは大変美しい暮らしをしていると言われています。伝統ある美しい民族衣装や工芸は今注目を集めています。美人が多いというその秘密はあるのでしょうか。
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北欧に住むサーミ人とは?
サーミ人はラップランドに住む「太陽と風の民」
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サーミ人は昔はラップ人と呼ばれ、北欧に約22万人が暮らしています。ラップランドと呼ばれるフィンランド・ノルウェー・スウェーデンを含むスカンジナビア半島北部とロシア北部のコラ半島にもいます。ちなみにラップランドという言葉は「辺境の地」という意味であり、彼らはサーミ(サーメ)と呼んでいるそうです。
彼らはトナカイとともに自然の中で狩猟・遊牧生活を送ってきました。コタという住居は移動式のもので、季節と主に各地を移動しながら、半島にはおよそ1000年前から住んでいました。サーミ語という独特の言語を持ちますが、北欧の言語も話せる人がほとんどです。またサーミ語はフィンランド語に似ているらしいです。
トナカイ遊牧をしている山岳サーミ人以外に、別の生活を営む人々も多いです。小規模にトナカイ飼育をする森林サーミ人、漁業をしている海岸サーミ人、湖サーミ人などです。サーミの母である太陽とトナカイ飼育を教えたという風を崇拝し、自分たちを「太陽と風の民」と呼んでいます。
苦難の歴史を生きたサーミ人
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北欧の諸国はサーミ人を異民族として迫害、差別を繰り返してきました。独自の文化や言語を捨てるように指導したり、劣った民族だとして仕事を制限されたりしました。そんな苦難の歴史を生きる少女を描いた映画「サーミの血」は数々の映画賞を獲得しました。サーミ人の血を引く監督のもと、民族衣装などが再現されました。
現在はサーミ人の人権は保障されています。今は様々な職業についているサーミ人も多いそうです。そしてサーミの言語や文化を学んで継承していこうという学校が設立されています。ノルウェーでは「サーミウィーク」としていろいろな文化が紹介されたり、北欧三国のサーミ評議会が設置されたり改善は進んでいます。
サーミの歌と旗そしてサーミ文学
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サーミの伝説では、北にある死の家で暮らす霜の巨人と、太陽の男の子孫が駆け落ちし結婚したその子孫がサーミ人であるということです。その話は1906年に作られたIsak Sabaの「サーミ・ファミリーの歌」にも引き継がれています。「サーミの国は、サーミのもの」という歌詞に思いが感じられる歌です。
サーミの民族衣装にも使われる赤・青はサーミのシンボルの色です。それは赤が太陽を、青が月を表すのだそうです。太陽と月を描いた旗は国民の日2月6日に掲げられています。サーミ人のことを描いた絵本には日常生活の様子が描かれています。「ゆきとトナカイのうた」ハグブリング作の挿絵は特にていねいな素敵な絵です。
フィンランドの作家レーナ・ラウラヤイネンが書いた「魔術師のたいこ」はサーミ人の間に伝えられてきた民話が12編収められています。100年に一度だけ現れる魔法のたいこの中に、魔術師が物語を残していきました。読んでみるときっとサーミ人の心が伝わってくると思います。
住んでいる場所は?
サンタクロースと同じフィンランドに住むサーミ人
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サンタクロースはフィンランド人でラップランドに住んでいます。つまりサーミ人は同じところに住んでいるのです。ラップランドには日本では考えられない自然があります。年間に200日見られるオーロラ、24時間沈まない夏の太陽、そして何よりもサンタクロースにふさわしい真冬の大自然の静けさがあります。
12月から1月の太陽が昇らない間、薄明りの青い時間と呼ばれるそうです。うっすらとしたブルーの光が漂い、雪が全てのものを覆い、完全な静寂が訪れるのです。まるで世界中が活動を止めたかのように感じる冬です。そんな厳しく美しい冬を長い間生きてきたのがサーミ人なのです。
ラップランドは70日太陽が沈まない
フィンランドは70日間も太陽が沈みません。24時間ずっと太陽を見られるのです。サーミ人が「太陽はサーミの母」といった理由がわかります。この短い夏にサーミ人は2週間森に出かけてトナカイを集めます。トナカイの子どもに耳標をつけるのです。個体を識別するための欠かせない、楽しみにしている大切な行事です。
太陽が沈まない夜、つまり白夜にはこんな言い伝えがあります。「未婚の若い女性が7つの花を集めて夏至の夜に枕の下に置いて寝ると、夢に未来のフィアンセが現れる」というものです。そんな一日を存分に楽しむ夏と厳しい寒さの冬がラップランドの魅力でもあり、サーミ人の住む場所です。
ラップランドは祈りの場所
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サーミ人は自然や生き物の中に魂を見出して暮らしてきました。たくさんの神話を語り継いでいます。移りゆく自然を愛し、あらゆるものが精霊の力によるものと信じて祈りをささげた場所がラップランドなのです。日本も四季があって美しい国と言われています。でも、ラップランドには8つの季節があるのです。
「凍てつく雪」「雪解けが輝く季節」「氷の割れるとき」「真夜中の太陽」「収穫期」「紅葉のとき」「初雪」「クリスマス」という季節です。一番長い冬、雪の季節を繊細に感じて表現しています。そしてクリスマスといえば頭に浮かぶトナカイもサーミ人たちには生活を共にするなくてはならない存在です。
サーミ人も住んでいる北欧のフィンランドは豊かな自然に包まれた美しい国です。観光名所をたくさん紹介しているこちらの記事も合わせてご覧くださいね。
美人が多いサーミ人の特徴は?
森の妖精のような美人
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サーミ人は肌が白く、眼の色が薄いグレーをしています。鼻の幅が狭いのが特徴です。白に近い美しい金髪をしています。地形的なことからも混血があまりいなくて、美人ぞろいだと言われています。男性は小柄で平均身長が152cmということも特徴です。子どもたちはまるで森の妖精のようにかわいらしいです。
ヨーロッパ諸国の白人のような彫りの深い顔立ちではなく、少しアジア系のモンゴロイドのような印象もあります。ブロンドの髪を黒い髪に置き換えたら、日本人にも似ている感じがします。アニメに出てくるような透明感のある美人や子どもたちが鮮やかな民族衣装を着ている姿は、ぜひ見てみたい気がしますね。
伝統あるトナカイとの暮らしを受け継ぐ
サーミ人の多くはトナカイを飼って生活しています。トナカイそのものが財産であり、サーミ人に「トナカイを何頭飼っているのか?」と数を聞くことは、貯金額を聞くのと同じでとても失礼なことなのです。若者達も自分のトナカイを持っています。まず朝はトナカイにエサをあげることから始まります。そして森へ出します。
森に出かけたトナカイは次のエサの時間になると、ちゃんと帰ってくるのです。頭のいい動物ですね。普段のトナカイが野生のように見えるはずです。時にはオヤツタイムがあり、森に出かけて声をかけるとトナカイの大群が帰ってきます。そして一頭ずつ並んでパレードのように森をあちこち移動します。
北欧の自然に感謝する食事
人の身体を作るのは食事です。サーミ人は食事に関してもとても謙虚で、北欧の自然のことを考えています。定番はトナカイの肉にマッシュポテト、ベリーのジャム、きのこスープです。それらはサーミ人が手に入れられる食材だからです。森で採れるベリーはお茶やケーキなどにして楽しみ、きのこも加工して上手く使います。
森の中で生きるトナカイを初めとするさまざまなものから受ける恵みを大切にしているので、決して多くのものを望んでいません。食事の量も自分が食べられるだけを用意して、食べきれずに捨てるということがありません。現代は美味しいものでも捨てる量がとても多く問題になっています。感謝する心を見習いたいです。
サーミ人の伝統5つ
華やかで色鮮やかな民族衣装
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色鮮やかなコルトと呼ばれる民族衣装を着ます。青や茶のフェルトに色とりどりの縁取りで作られていて、コルトの帽子のデザイン、フェルトの色や飾りなど地方によって特色があります。それを見るとどこの地方の出身かわかるのだそうです。真っ白な雪に映える美しい民族衣装です。そして防寒性にも優れているそうです。
ヌツッカートという靴はつま先がくるんと上を向いた独特の形をしています。トナカイの皮を使って作られているので、これもとても暖かい靴です。これらの民族衣装を作れる人が少なくなっているそうですが、最近若い人の間でこの伝統を守りたいと考える人が増えているのできっと守られていくことでしょう。
サーミ人は同じ北方の少数民族としてアイヌ民族とも親交があります。日本をサーミ人たちが訪れたりして、お互いに歴史や文化の交流を図っています。そんなアイヌの民族衣装についての記事です。ぜひご覧ください。
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男性の手による硬い手工芸品
ドウジと呼ばれるサーミ人の手工芸があり、昔から木の根や樹皮、トナカイの革や角など身近にあるものを材料に作られてきたものです。伝統的にトナカイの角など硬い工芸は、男の仕事であり、布や木の根などの柔らかいものは女性の仕事でした。角細工として有名なのはナイフです。彼らはナイフにきれいな装飾をしました。
また、木工品として有名な「ククサ」は白樺のこぶを利用して作られています。携帯用のマグカップのことです。白樺の木は裂けにくく、とても丈夫で祖父の代から伝わるものもたくさんあります。ククサには「贈られた人は幸せになる」という言い伝えがあるので、プレゼントに大変喜ばれています。
ククサは長い時間と手間をかけて作られます。白樺の木を伐り出したらまず数か月寝かせ、成型したら-20℃で24時間凍らせます。次に海水と同じ濃さの塩水で1日煮込んでからしっかりと乾燥させます。そこから削りこんでいき、蜜ろうを塗りこんで仕上げます。手作りで作られたククサには作り手の思いがこもっています。
女性の手による柔らかい手工芸品
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現代のファッションとしても人気を集めているのがトナカイの皮と錫を使ったブレスレットです。ドゥウォッチと呼ばれています。新しいブランドも作られ、トナカイの皮のバッグやアクセサリーなど評判を呼んでいます。サーミ人は木の根も大切に保存して加工してきました。かごや釣りの道具、水を入れることもできます。
これらの手工芸品を一堂に集めてウィンターマーケットが年に一度開かれます。スウェーデンのヨックモックでありますが、フィンランドやノルウェーからもサーミ人が集まり、400年以上の歴史があります。手工芸品の他トナカイ肉などの伝統食など、サーミの文化に触れる貴重な場として世界中から注目されています。
特徴のあるヨイクという歌・アナと雪の女王でも
サーミ人の音楽をヨイクと言います。伴奏のない即興の歌です。自然への感謝を歌ったり、生まれた子供への愛情を歌ったり、ひとりでそりに乗った孤独をいやしたりと様々な場面で歌われるようです。「アナと雪の女王」のオープニングで流れる歌はこのヨイクと讃美歌にインスピレーションを受けて作曲されたのだそうです。
この「ヴェリィ」というオープニング曲の作曲者フェルハイムのルーツであるレーロース(南サーミ地方)は、「アナ雪」の舞台のモデルになった地域です。アナを助けるトナカイを飼う青年クリストフのモデルもサーミ人といわれています。クリストフが子どものとき大人に混じって氷を切り出す場面があります。
あの場面は子どもへの重労働という意味で、サーミ人が迫害を受けてきた差別を表しているという意見もあるのだそうです。「アナと雪の女王」は子どもから大人まで楽しめるアニメで、音楽も美しかったのでヨイクが世界から目を向けられる機会になったのは良いことだと思います。
大迫力のトナカイレース
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全長210mのコースをトナカイが駆け抜けるレースです。フィンランド・ノルウェーなどの街で観戦できます。トナカイの後ろに綱を持ちスキーを履いた人がつきます。ものすごく早くて迫力があるそうです。約60km/hで走るトナカイ、どれくらい速いのかというと、あのウサインボルトよりも約3秒速いのだそうです。
レースを勝ち抜くトナカイはしっかりした体格はもちろん、大きな鼻が重要なのです。鼻が大きいほど肺活量と運動能力に優れているそうです。サーミ人にとって生活を支えるトナカイはともに生きる大切な存在です。トナカイレースもまた飼育や歴史、文化の伝統を人々に伝える場でもあるのです。
サーミ人の守ってきた伝統を5つ紹介しましたが、これ以外にもたくさんのことがあると思います。日本から遠く離れた北欧の地なので、まだまだ理解できていない部分もあるでしょう。知らなかった少数民族の歴史や文化をもっと知ってみたいと思いました。
北欧サーミ人の伝統ある暮らし
サーミ人の人々は辛い歴史もありましたが、北欧の自然の中でその恩恵を大切に生きる民族です。すべてのものに魂を感じて、祈りをささげる姿はとても神聖なものです。大切な民族衣装、無駄を作らない食事、生活に根差した伝統ある工芸品、トナカイとの共存など現代の私たちが見習わないといけないことも多いと思いました。
サーミ人が住んでいるラップランドもとても寒い北極圏ですが、世界一寒いというオイミャコン村というところがあります。いったいどれぐらい寒いのか、どんな暮らしなのかが載っている記事です。ご覧になると興味深いですよ。
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