イギリスの民族衣装について!男性・女性の伝統衣装は?着用シーンも
更新:2022.03.05
イギリス民族衣装・伝統衣装について紹介します。現代服の基礎になっているためイギリスには民族衣装・伝統衣装というイメージがありませんが、地方によっては特色のある民族衣装が存在します。地方の民族衣装、そして着用シーンの男性・女性の決まりなどイギリスならではの細かい基準を解説します。
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INDEX
イギリスはどんな国?イギリスを構成する4か国の特徴と文化
イギリスを構成する国:イングランド
イギリスは4か国から構成される連合王国でイングランドはその4か国のうちの一つにです。イギリスとイングランドを同じものだと勘違いしている人もいますが、イングランドと他の3か国を合わせてイギリスの連合国となるのです。国の正式名称はとても長くて「グレート・ブリテン及び北アイルランド連合王国」となります。
イングランドは私たちがいわゆるイギリス旅行で思い浮かべる都市のある地域です。例えばロンドンやケンブリッジ、マンチェスター等々の政治経済の中心地です。エリザベス女王やロイヤルファミリーが住んでいるのもイングランドです。イングランドの国旗は白地に赤のクロス、ユニオンジャックはイギリスの国旗になります。
イギリスを構成する国:ウェールズ
イギリス南西部に位置するのがウェールズです。ウェールズがイギリスに統合された歴史は古く1500年代、それより以前の1200年代にはイングランドの皇太子がウェールズの王子になるなどイングランドとウェールズのつながりはとても深いものです。
今でもチャールズ皇太子やウィリアム王子、ヘンリー王子も「プリンス・オブ・ウェールズ」という称号を持っています。ジブリ映画「天空の城ラピュタ」はウェールズがモデルで、ウェールズに取材に訪れているそうです。実際にウェールズにはラピュタのシーンがいくつか思いだされる美しい場所が点在します。
イギリスを構成する国:スコットランド
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スコットランドはイギリスの北に位置する国で、映画「ブレイブハート」やドラマ「アウトランダー」の舞台です。イギリスとは衝突を繰り返す血みどろの歴史があり、長きにわたって独立戦争を繰り広げてきました。現代では紛争は全くありませんが、イギリスEU離脱をきっかけにスコットランド独立気運が高まっています。
スコットランドは曇り空の下、青々とした芝生がどこまでも広がる美しく荒々しい自然が魅力です。JKローリングがハリーポッターを書いたのもスコットランドで、スコットランドにはハリーポッターのモデルになった場所が点在しています。
イギリスを構成する国:北アイルランド
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北アイルランドはアイルランドが国として独立したときにイギリス系住民の居住区としてイギリスに残された国です。カトリックとプロテスタントの宗教の違い、貧富の格差から北アイルランドではイギリスとの紛争が絶えず最近では少なくなったもののたまにテロが起こる難しい地域です。
イギリス人には民族衣装・伝統衣装がない?
イギリス人の民族衣装・伝統衣装は現代服のベースとなっている
イギリスの民族衣装・伝統衣装と聞いて何か「ピン」と思い浮かぶ人は少ないでしょう。イギリスといえば紳士の国。だからイギリスを思い浮かべるときにはシャーロックホームズやダウントンアビーのイメージが強いので男性はスーツ・ステッキ・シルクハット、女性は裾の長いドレスになるのではないでしょうか?
民族衣装・伝統衣装は昔からその民族に受け継がれてきたファッションですが、イギリスに民族衣装は見当たりません。それもそのはず、現代のファッションシーンはイギリスやフランスなど西ヨーロッパの衣服がベースになって発展しているので私たちが着ているものがイギリスの民族衣装・伝統衣装の発展型になるのです。
イギリス人の民族衣装・伝統衣装:服装で階級を見分ける
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イギリス人には民族衣装はありませんが服装で相手の階級を見分けます。イギリスは貴族階級が残っている王室制度の国で、身分階級がひっそりと存在します。イギリスでは会話や服装、アクセントなどで相手の階級を見分けられます。会話をしながら「この人はこんな家の出身なのだな」と詮索されるわけです。
その時一番に見られるのが服装。上流階級の人は基本的に派手な格好を好まずどちらかというとアースカラーで自然と調和する品の良さを重視します。衣服の素材もコットンや麻など自然素材で、シンプルなものを良しとする気風があります。
イギリス人女性用の民族衣装・伝統衣装について!
イギリス人女性用の民族衣装・伝統衣装:ヴィクトリア朝時代
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イギリス人女性の民族衣装・伝統衣装を考える時、忘れてはいけないのがヴィクトリア朝(1837~1901年)の華やかなドレススタイルです。ヴィクトリア朝は産業革命でイギリスがもっとも栄えた時期であり、文化が成熟してファッションもそれ以前より一気に華やかにそしてスタイリッシュに変わった時代です。
ヴィクトリア朝前半はクリノリンという針金でできたペチコートのようなものを使い大きく裾の広がったボリュームのあるスカートが特徴でした。ヴィクトリア朝後半にはスカートのボリュームは小さくなり、代わりにバッスルを使い腰の後ろを膨らませるスタイルのドレスが流行りました。
イギリス人女性用の民族衣装・伝統衣装:エドワード朝時代
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ヴィクトリア朝後のエドワード朝時代にはさらに女性のドレスがシンプルになっていきます。スカートにはボリュームを出さなくなりストンとしたシンプルなスタイルに落ち着きます。代わりにトップスにレースやフリルをあしらい華やかな印象に。帽子の下の髪型は黒柳徹子さんのような玉ねぎヘアが流行しました。
ドレスがシンプルなせいか代わり帽子が派手になり大きなツバと羽飾りなどの大きな飾りが特徴的です。また乗馬用には長いスカートとそろいの女性用ジャケット、襟が立つスタイルのシャツを下に着用するスタイルになり、動きやすいデザインのなかにエレガントさが求められました。
イギリス人女性用の民族衣装・伝統衣装:1920年代
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第一次世界大戦が終わり、女性が仕事をする時代になると女性の衣服はさらにシンプルに活動しやすく変わっていきます。スカートの丈はそれ以前の靴まで隠れるような長さから膝丈まで短くなり、ウエストを絞らないストンとしたシルエットが新たな流行を作ります。
女性の長い髪の毛もアップスタイルに結うスタイルからバッサリとショートボブにまで短くした髪型が流行り今見てもおしゃれだと思うファッションが誕生しました。日本ではいわゆる「大正モダン」の時期です。このようにイギリスの民族衣装は世界的なファッションの基礎となっていることが分かります。
イギリス人男性用の民族衣装・伝統衣装について!
イギリス人男性用の民族衣装・伝統衣装:ヴィクトリア朝時代
イギリス人男性の民族衣装はヴィクトリア朝時代にイギリス人女性ファッションとともに男性ファッションも成熟しました。ヴィクトリア朝時代のイギリス人男性ファッションを見ると、まさにイギリス紳士と言う言葉がしっくりきます。
頭にはシルクハットをかぶり、シャツとベストの上からフロックコートを羽織るスタイルでボトムスは脚が長くほっそり見えるように靴が隠れるほど裾が長くなります(裾にゴムがついていて革靴をゴムに通して履くトレンカレギンスのような形)。クラヴァットという長いタイを首に巻けばイギリス人紳士のできあがりです。
イギリス人男性用の民族衣装・伝統衣装:エドワード朝時代
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ヴィクトリア朝の後のエドワード朝は短い期間でしたがファッションはさらにスタイリッシュに、近現代風に変わっていきます。経済も発展しレジャーでスポーツをたしなむ余裕が出てくると男性のファッションは動きやすいシンプルなスタイルになります。
裾の長いフロックコートに代わって丈の短いジャケットスタイルが確立され、ヴィクトリア朝時代にはスキニータイプだったパンツスタイルも少しゆったりとしたものになります。帽子はハンチングハットや山高帽が流行り、現代のスーツの形がほぼできあがりました。
イギリス人男性用の民族衣装・伝統衣装:1920年代
1920年代になると上流階級の服装だったスーツスタイルはビジネスシーンでも着用されるようになります。そもそも貴族は働かないので(領地を守るのが仕事)ビジネスで着る服装という概念がないのです。そして銀行を中心にスーツスタイルが定着しました。
1920年頃にはロンドンの通りに仕立て屋が軒をつらね、サヴィル・ロウとして有名になりました。このサヴィル・ロウは日本語の「背広」の語源になっているという説があるほど高級紳士服店が集まることが世界的に知られています。今では数が少なくなりましたがこの通りには紳士服店が並び名士たちの社交場となっています。
スコットランド人男性の民族衣装・伝統衣装とは?
男性用民族衣装・伝統衣装:キルトはスコットランド地方の正装
スコットランド地方の民族衣装(伝統衣装)には男性のキルトがあります。イギリス人の民族衣装(伝統衣装)の進化系は私たちが普段着ている「洋服」ですが、スコットランドは昔ながらの民族衣装「キルト」を今でもお祭りやイベント、バグパイプの演奏時に着用します(普段から着ている人も中にはいます)。
スコットランド地方の民族衣装・伝統衣装「キルト」は私たちから見ると「タータンチェックのプリーツスカート」です。柄はタータンチェックでウール素材。これは決してスカートを履いているわけではなく、一枚の長い布を巻いているのです。いわば毛布をグルグル巻きにしているようなもの。長いもので13mもあります!
キルトはウールなので撥水性が高く、雨でも中まであまり浸透しません。しかも10m前後もある布をグルグル巻きにしているので大変暖かく、野宿をするときには毛布代わりにもなり見た目よりも実用性が高い衣装です。スコットランド人の男性はこの長い布を蒔きながらヒダをつけてプリーツ模様を作ります。
男性用民族衣装・伝統衣装:タータンチェックは家紋
スコットランド地方の男性用民族衣装・伝統衣装「キルト」はタータンチェックの模様以外の模様がありません。このタータンチェックはスコットランド人にとって大変意味のあるもので、日本でいうところの「家紋」のような扱いです。
キルトのタータンチェックは家によって柄が決まっていて、タータンチェックの模様を見たら「あ、○○さんの家の人だ」と分かるのです。私たちが何気に持っているタータンチェックの模様も、もしかしたらスコットランドの「○○家」のタータン模様かもしれません!
スコットランドの男性用民族衣装・伝統衣装:スポーランというポーチ
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スコットランド地方の男性用民族衣装・伝統衣装「キルト」にはスポーランという必須アイテムがセットになります。スポーランとは腰につける革やフェルトのポーチのことで、装飾に毛皮があしらわれていることもあります。スポーランはポケットのないキルトの必需品で、お財布代わり。
キルトを着ている人を見ると必ずスポーランを腰から下げているのですが、身に着け方は様々でベルトのようにチェーンタイプのスポーランを下げるタイプやチャンピオンベルトのように太い革のベルトにセットされているタイプがあります。
イギリスの民族衣装・伝統衣装|キルトを着用するシーンとは?
イギリス(スコットランド)の民族衣装・伝統衣装|キルトは結婚式で着る
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スコットランドの民族衣装(伝統衣装)のキルトは結婚式で着ます。キルトはスコットランド人のいわば正装ですから、日本の結婚式で新郎がタキシードを着るようにスコットランド人はキルトを着ます。また、親族もキルトを着て出席します。ちなみに新郎はキルトですが神父はウエディングドレスです。
イギリス(スコットランド)の民族衣装・伝統衣装|キルトは授賞式で着る
スコットランドの民族衣装(伝統衣装)であるキルトは授賞式でも着用されます。キルトは正装ですが、ちょうど日本人がハレの日に着物を着る感覚と同じです。例えばスコットランド出身の俳優ユアン・マクレガーは5年前の大英帝国勲章を授与される授与式でキルトを着用し注目を集めたことがあります。
イギリス(スコットランド)の民族衣装・伝統衣装|キルトは日常でもOK
スコットランドの民族衣装(伝統衣装)のキルトは普段から着用しても全く問題ありません。日本人でも日ごろから着物を好む人がいますよね?少数ですが、普段から誇りをもってキルトを着用する人もいます。本物のキルトは着付けが難しいのですが、最近では簡単に着られるプリーツ型のキルトも販売されています。
イギリスの民族衣装・伝統衣装はまさに世界のファッション史!
イギリスにはスコットランド地方を除いてこれといった民族衣装(伝統衣装)は存在しません。しかしイギリスファッションの移り変わりを見てみると今私たちが着ている洋服の原型を知ることができます。優雅なイギリス上流階級の衣装を知るにはイギリスの映画を見るのが一番参考になるでしょう。
下記にイギリスファッションの参考になるイギリス映画の記事と、イギリス人のファッションを分かりやすくまとめたファッションの記事を載せていますのでぜひ一緒にご覧ください。
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