ケルト人の歴史とは?古代ケルト人の顔の特徴やケルト文化も
更新:2019.06.21
みなさんは'ケルト'という言葉を聞いたことはありますか?古代ケルト人は、ケルト族としてヨーロッパに多く暮らしていた民族です。ケルト人はその末裔が今世まで残るだけでなく、ケルト音楽など一つのケルト文化として世界中に歴史を残しています。今回はそんなケルト人の歴史や文化についてご紹介します。
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INDEX
ケルト人の歴史とは?
古代ケルト族の歴史|ケルトとは?
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ケルトとは、古代ヨーロッパに住んでいたケルト語を話す人々や文化のことをいい、それぞれケルト族、ケルト文化と呼ばれています。もともと中央アジアに住んでいた民族がヨーロッパに移り住んだことからケルト文化が始まりました。
アジアから移り住んだ人々なので、ケルト人が使っていたとされるケルト語はインド・ヨーロッパ語族ケルト語派に属しています。また、ケルト語より派生した、アイルランド語、スコットランド語、ウェールズ語も、同じ語派に属しています。
古代ケルト族の歴史|ヨーロッパに移った「大陸ケルト」
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ケルトの歴史は大きく2つに分けられます。一つ目はアジアからヨーロッパへ移り住んだケルト族「大陸ケルト」、もう一方はヨーロッパから島々へ移り住んだケルト族「島ケルト」です。
中央アジアからヨーロッパへ移った最初の人々については、紀元前7世紀まで遡ります。アジアから中央ヨーロッパへ移り住んだケルト族は、ハルシュタット文化やラ・テーヌ文化を発展させ、紀元前4世紀頃にはフランスやバルカン半島、マケドニアやテッサリア(ギリシャ)に勢力を拡大しました。
紀元前3世紀に入ると、エーゲ海とマルマラ海を結ぶダーダネルス海峡を渡り、現在のトルコをも侵略。その後、着々とイタリア北部やイベリア半島、西ドイツへと移住していきました。このように、アジアからヨーロッパへと移住してきた古代ケルト族を「大陸ケルト」と呼びます。
古代ケルト族の歴史|島々に移り住んだ「島ケルト」
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一方で、紀元前500年ごろにスペインから現在のイギリスとアイルランドのあるブリテン諸島に移り住んだケルト人たちがいます。大陸ケルトに対し、スコットランド、ウェールズ、アイルランド、マン島に移り住んだ古代ケルト族を「島ケルト」と呼びます。
島国という理由で日本が独自の文化を築いてきたように、島ケルトは独自の文化を築ことができました。そのため、現在ケルト人の末裔の多くは、アイルランドやスコットらインドに残っています。
POINT
島ケルト族はケルト族ではない?
現在では、島ケルトのルーツがイベリア人に当たる説が浮上しています。島ケルトについては、まだまだ研究の余地がありそうです。
ケルト人の顔や見た目の特徴は?
アイルランド|古代ケルト人の顔の特徴とは
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ケルト人というとアイルランド人を連想する人が多くいますが、現在のアイルランド人には多くの民族があるため、一概に古代ケルト人に繋がっていると言うことはできません。しかしケルト人のルーツを辿ると島ケルトが存在するように、アイルランドとの関係を切ることは不可能です。
アイルランド人の移民の多いアメリカでは「赤毛にそばかす」という印象が強く、日本でも有名な「赤毛のアン」が典型的なアイルランド人だと言う人も多いでしょう。しかし、実際は赤毛はとてもまれで、アイルランド人の多くはダークカラーをしています。
古代ケルト族については、赤毛や金髪が多かったと言われていますが、戦士たちが威嚇のために髪を脱色させていたという説もあります。ケルト人の目は澄んだ青色が多いですが、それに加え、澄んだグリーンや深緑など、色々な色の瞳をしていました。
イギリス|実は化粧もマニキュアもしていた!
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侵略を続けたケルト族と聞くと、野性的なイメージを持ちますが、それとは裏腹にケルト人はとてもおしゃれ好きです。古くには、戦争に行くときにも化粧を欠かさず、戦場で敵を威嚇するための一つの手段として化粧を用いていました。
男性にも女性にも化粧の文化があり、戦いに行くときには顔を青くするのが特徴で、体に入れ墨をいれたり、爪にはマニキュアのように色を塗ったそうです。今のイギリス人がおしゃれなのは、ケルト人が所以なのかもしれません。
西ヨーロッパ|ヘアスタイルにも特徴があった!
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古代ケルト族のヘアスタイルといえば、カーリーな長い髪です。男女ともに髪を綺麗に伸ばし、カールや'ケルト結び''ノットヘア'と呼ばれる模様に編み込んだりして楽しんでいました。また、戦地へ行く際には、石灰で固めて逆立て威嚇していました。
ディズニー映画「アナと雪の女王」のヒロイン2人のヘアスタイルが、ケルト人のヘアスタイルに似ていると話題になりました。映画はノルウェーが舞台で、スカンジナビア半島はゲルマン民族が支配していましたが、紀元後4世紀ごろからの大移動で、ケルト人と混ざり合ったことが関係しています。
ケルト族は紀元前1世紀ごろにローマに征服されましたが、ゲルマン民族はじわじわと規模を拡大し、ケルト人が住んでいた地域にもゲルマン人が移り住み、混ざり合うことになりました。このように西ヨーロッパとケルト人と深い関わりがあります。映画で二つの民族が混ざり合っていても、決して不思議なことではありませんね。
スコットランド|古代ケルト人の民族衣装
古代ケルト族は馬に乗ることが多かったので、シャツやチュニックを着て、ブラーカと呼ばれる長ズボンを履いていました。また、その上からサグスと呼ばれるウール製のマントを身にまとっていたそうです。マントやブラーカにはタータンチェックやツイード柄が施してあり、個性を主張するのに役立ちました。
スコットランドの民族衣装は、古代ケルト族の民族衣装に関わっています。スコットランドの山岳地帯に移り住んだ「ハイランダー」と呼ばれる人々の衣装では、タータンチェックを前面に出した'タータン'と呼ばれる大きな布が主流でした。古くは、これ一枚を腰に巻き付け、紐やベルトで留めていたのです。
現在のスコットランドの民族衣装について、「キルトの下にはパンツをはかない」という話がありますが、それはハイランダーが山岳地帯に住むため、騎乗戦術を身に着けていなかったことと関係しています。騎乗習慣のないケルト族の間では、タータンを改良する必要がなかったのです。
ケルト人の性格の特徴5つ
ケルト人の性格①プライドが高く喧嘩っ早い
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ケルト人の性格で特徴的なのは、プライドが高く喧嘩っ早いことです。白黒はっきりさせることを文化とし、血の気が多く、好戦的な性格だったといえます。男性は男らしくみえますが、女性も芯が強く、男性を相手にしても怯まないメンタルを持ち合わせていました。
プライドが高く喧嘩っ早いというと悪いようにも聞こえてしまいますが、自己主張をすることができるという側面もありました。また、ヨーロッパに渡ったころから、車輪や鉄製の武器が特徴だったことも、喧嘩を好んだ性格だからなのではないでしょうか。
ケルト人の性格②陽気で明るくジョークが大好き
短気で喧嘩好きのケルト人にも、陽気な一面がありました。酒場では、喧嘩っ早く殴り合いをする人と、それを見て面白おかしく笑う人に分かれたそうです。ケルト人はジョークが大好きで、冗談を言うのがとても上手く、頑固というだけではなさそうです。
ケルト人の性格③とても頭がいい
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ケルト人はジョークが上手いということからも分かるように、頭が柔らかく、回転が良かったと言えます。頭が良かったからこそ、自尊心も高く、喧嘩を増やしてしまったのかもしれませんね。また、大陸ケルトの時代から、鉄製武器を作ることができる知識と技術を持ち合わせていました。
紀元前1世紀ごろにはブリテン島で戦車に乗るなど、技術の高さも伺えます。またローマ帝国の支配を受けた後、俗ラテン語を話すようになり、中世にはゲルマン系のフランク人に、そしてフランス人へと変質していきました。これらから、ケルト人は頭のよい民族だったことが分かります。
ケルト人の性格④自由でルーズ
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ケルト人には、物事に対しての姿勢や時間の捉え方など、非常に理解しがたいところがあります。ケルト人は、民族文化に多い刺繍や農作業などの細かい仕事をしなかったため、おおざっぱで自由奔放な性格になったと言えます。
ケルト人の性格⑤民族文化を重んじる
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ケルト人は、文化の伝承意識が高かったそうです。そのため、文字として文化を引き継ぐ習慣はなく、全て口頭で来世へと引き継がれました。
しかしその引き継がれた文化も、'ケルト人のために引き継ぐもの'としてケルト人の内に秘めていたため、現在に残っているケルト人に関する情報は全て、ケルト人ではない他の人から見たケルト人の情報なのです。
ケルト文化の特徴は?
ケルト文化|ケルトデザイン
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ケルトデザインとは、ケルト人が用いていたとされているデザインのことですが、実は伝記や神話に書き記されたものはほとんどありません。これらは、古代ケルト人の性格や残された少しのヒントから、現代人が推測したものです。
その中でも一番有名なのが、この十字に丸が足された、ケルト十字です。この十字の十字は、キリスト教を意味し、縦線には現世界に、横線には霊世界に繋がりを持つものだとされています。
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ケルト十字の他にも、ラテン語で三つのコーナーと呼ばれるトリケトラ、時間を超越した永遠の意味を持つサーキュラーノット、太陽を象徴しているスパイラルなどがあります。文字を持たなかったケルト文化にとって記号は貴重なもので、これらを会話に利用していた可能性は無きにしも非ずですね。
ケルト文化|伝統的なケルト音楽
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ケルト文化として切っても切れないものは、ケルト音楽です。ケルト音楽は、現在のアイルランド人の民族音楽、アイリッシュ音楽だと勘違いしている人もいますが、もっと幅の広い意味を持ちます。
ケルト音楽とは、ブリテン諸島、フランスのブルターニュ、スペインのガリシア地方、ポルトガル、そしてカナダやアメリカに移り住んだ民族的にケルト人全ての人の音楽を指します。現代のアイルランド音楽やスコットランド音楽もケルト音楽にカテゴライズされますが、今ではそれ単体の音楽として認識されています。
ケルト音楽は、アイルランド音楽からもわかるように、6/8拍子や9/8拍子などが多く、音楽に合わせて踊れる3拍子のリズムが特徴です。もとはアイルランドで一番古いバグパイプの一種、イリアンパイプスから、ケルト音楽が発展しました。それに加え、ケルト音楽はマンドリンやフィドルを使って演奏されます。
ケルト文化|ケルト人の神話
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ケルト神話とは、ケルトに伝わる神についての話で、ケルト人が全盛期の頃から伝えられた宗教の伝承体系を指します。ケルト神話の特徴として、神は私たちの想像する神ではないということが挙げられます。
日本でも'神様は空の上に居る'という表現をしますが、ケルト人にとっての神は、人々の争いの中で生まれた英雄のことです。ケルト人はエウヘメリズムによって、亡くなった王や英雄を祀り上げていました。
ケルト神話は、ダーナ神族と敵のフォモール族を描いたものが中心となっていますが、ダーナ神族が妖精ダーナ・シーになった後の人の世界の話、フィアナ伝説やアルスター伝説も含めています。宝塚歌劇団も講演したあおの有名な「アーサー王伝説」もケルト神話の一つです。
ケルト人・ケルト族について学べるおすすめの書籍は?
ケルト人・ケルト族|おすすめの書籍①
View this post on Instagram読み干すのに随分時間がかかった。#井村君江 #ケルトの神話 #アイルランド #今日の一冊
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おすすめの書籍1つ目は、『ケルトの神話―女神と英雄と妖精と』井村君江(ちくま文庫)です。古代ケルト人が残した神話の数々を知ることができます。登場人物やあらすじなどを紹介、解説しているので、入門書としておすすめです。
ケルト人・ケルト族|おすすめの書籍②
おすすめの書籍2つ目は、『図解 ケルトの歴史―文化・美術・神話をよむ』鶴岡真弓他(ふくろう本/世界の歴史)です。アーサー王伝説やケルト文化を通し、ケルト人はどういう人々なのか、全体像を見ることができる一冊です。
ケルト人・ケルト族|おすすめの書籍③
View this post on Instagram迷走する好奇心。 #本 #図書館 #読書 #文庫 #書庫 #河合隼雄氏 #河合隼雄 #ケルト巡り #ブッダの夢 #中沢新一氏 #中沢新一 #死生観 #神話
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おすすめの書籍3つ目は、『ケルト巡り』河合準雄(NHK出版)です。これは紀行文ではなく、ケルト文化と日本文化の共通点が見つけられる本で、ケルトを通して日本を探ることができます。自分が文章の中に入ったかのように読みやすいです。比較文化に興味のある方は、ぜひ読んでみてください。
ケルト人・ケルト民族の世界を知る
いかがでしたか?古代ケルト族の歴史やケルト文化について、知っていただけたのではないでしょうか。歴史を知ることがことができるものは、残された書物はもちろん、音楽や今に伝わる服装など、肌で感じることができるものも多くあります。
特に現在のアイルランドには、ケルトの歴史的建造物や音楽などの文化が根深く残っています。アイルランドの文化を通して、ケルトの歴史に目を向けてみてはいかがでしょうか。
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