「会う」の尊敬語・謙譲語・丁寧語は？敬語の使い方と用例を徹底解説！
敬語って難しいですよね。知らず知らずのうちに間違った使い方をしていることも。特に間違えやすいのが「会う」という語。日常生活で多く使用する「会う」という言葉ですが、敬語を正しく使い分けられていますか？今回は使い分けの難しい「会う」という語の尊敬語・謙譲語・丁寧語について解説していきます。
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INDEX
「会う」の敬語表現は？
「会う」の尊敬語：「お会いになる」「会われる」
他の語に比べて尊敬語と謙譲語の使い分けが難しいのが「会う」という言葉。頭の中に知識として定着していても、実際の現場になるとごちゃまぜになりやすい言葉です。尊敬語は相手を敬う言葉。「会う」の尊敬語は「お会いになる」「会われる」のふたつです。
POINT
尊敬語と謙譲語の違いは？
どちらも相手を上にする言葉のため違いが分かりにくい尊敬語と謙譲語。尊敬語は相手を上にする、謙譲語は自分を下にする、と覚えておくと迷うことが少なくなりますよ。
「会う」の謙譲語：「お目にかかる」「お会いする」
自分を低くする、下にする謙譲語も覚えておきましょう。「会う」の謙譲語は「お目にかかる」「お会いする」をよく使います。昔は女性特有の言葉として「お目もじする」という言葉も使われていましたが、現在では使いません。「会う」の尊敬語と謙譲語の使い分けが難しいとされる理由は語頭の「お」にあります。
「お茶」や「お考え」など言葉を丁寧にする時に言葉の頭に付ける「お」。通常、「お」を付けた丁寧な動詞は自分の動作には使いません。「私はコーヒーをお飲みになりました」なんて言わないですよね？ですが「会う」の謙譲語は自分の動作を表すにも関わらず頭に「お」を付けるため、尊敬語と混ざり混乱してしまうのです。
「会う」の丁寧語：「会います」
親しき仲にも礼儀ありでほどよい距離感の人との会話に使われることの多い丁寧語。「会う」の丁寧語はです・ます調にした「会います」という言葉。「会う」は尊敬語と謙譲語の使い分けが難しいため、使い分けを間違えて相手に失礼だと思われないようにはじめから「会う」の丁寧語を使うという方法も。
しかし丁寧語は日常生活でも多く使われることからビジネスシーンではあまり丁寧な印象は与えないという意見の方も。目上の人がいるシーンで尊敬語と謙譲語の使い分けにどうしても迷ってしまった場合の最終手段程度に留めておきましょう。
【状況別】尊敬語「会う」の正しい使い方と例文
「会う」の尊敬語の使い方①：先方が担当者と会えたか聞く時
「会う」の尊敬語の例文①
- 「○○とはお会いになりましたか？」
- 「○○には会われましたか？」
自分が連絡を取りついだ場合などに聞くことが多い例文です。先方を自分より上に見て、「会う」の尊敬語を使います。「会われる」「会われた」は尊敬の表現「～れる」を用いた言葉です。尊敬の表現として尊敬語の語尾でよく見る形ですが、中には「～れる」が付いていても尊敬語としては使われない語もあります。
「会う」の尊敬語の使い方②：受付で先方とやりとりする時
「会う」の尊敬語の例文②
- 「○○とお会いになりますか？」
- 「××なら対応可能ですが、会われますか？」
先方から会いたい人がいると声をかけられた場合、まず先方の用事のある人物が在席しているか確認しますよね。代わりの人なら会えるという場合によく聞くのが「お会いになりますか？」「会われますか？」という「会う」の尊敬語。代わりの人なら用事はないという方もいるので確認必須です。
「会う」の尊敬語の使い方③：先方に同僚と会ったことがあるか尋ねる時
「会う」の尊敬語の例文③
- 「プライベートで○○とお会いになることはありますか？」
- 「○○とお会いになったことがあると伺いました」
簡単そうに見えて実は難しいこの例文。ひとつめは「会う」の尊敬語「お会いになる」を使った例文で、ふたつめは「会う」の尊敬語「お会いになる」の過去形と「聞く」の謙譲語である「伺う」を使用した例文です。特に間違えやすいのがひとつめの例文。「お会いしましたか？」は謙譲語なので先方には禁句です。
【状況別】謙譲語「会う」の正しい使い方と例文
「会う」の謙譲語の使い方①：先方にメールを送る時
「会う」の謙譲語の例文①
- 「お目にかかれる日を楽しみにしております」
- 「×日にお会いしたいのですが」
メールでアポイントメントを取り付けたり、日時が決定した場合によく使う表現です。「会える日を楽しみにしています」だとフランクすぎて友達とのメールのようになってしまいますよね。「会う」の謙譲語「お目にかかる」を使うとぐっと丁寧な印象になります。頭に「お」が付いていても謙譲語ですよ。
ふたつめは「会う」の謙譲語である「お会いする」を使用した例文です。「会う」の謙譲語である「お会いする」と「会う」の尊敬語「お会いになる」はとてもよく似ていますよね。似ているのに加え「お会いする」はとても活用（語尾が変わること）が多いため誤用が多くなりがちです。
「会う」の謙譲語の使い方②：先方との電話でアポイントメントが確定した時
「会う」の謙譲語の例文②
- 「お会い出来た日にお話しします」
- 「ぜひお目にかかれたらと思います」
ひとつめの例文は特にどこが謙譲語なの？と思いがちですが「会う」の謙譲語である「お会いする」を変形させ、「お会い出来た」としています。感覚としては「会う」の謙譲語「お目にかかる」よりも軽い雰囲気で使う表現ですので特に大切な先方の場合は「お目にかかる」を使用するのが一般的です。
ふたつめの例文はアポイントメントを取る際の電話、メールの常套句ともいえます。「会う」の謙譲語を使い自分を低くすることで、相手を高めつつ丁寧な表現で実際に会うことをお願いしているという印象になります。
「会う」の謙譲語の使い方③：目上の人に初めて会った時
「会う」の謙譲語の例文③
- 「お会い出来て嬉しいです」
- 「お目にかかれて光栄です」
つい先ほど「お会い出来た」は「会う」の謙譲語「お会いする」の変形版だと紹介しましたが、「会う」の謙譲語としては「お会いする」よりも「お会い出来る」と変形して使うことの方が多いんです。もちろん「お会いすることが出来て嬉しいです」と表現することも可能です。「お会い出来る」は単に語を短縮した言葉です。
テレビでパーティー会場などが映ったり、社長同士の会話でよく聞くフレーズが「お目にかかれて光栄です」という例文。「会う」の謙譲語の「お目にかかる」を使用した例文ですが、見ての通り「会う」の謙譲語を使うシーンはとても多いんです。謙譲語との使い分けが覚えられない場合はフレーズごと覚えてしまいましょう。
【状況別】丁寧語「会う」の正しい使い方と例文
「会う」の丁寧語の使い方①：社内の人間に会うことを伝える時
「会う」の丁寧語の例文①
- 「これから○○に会います」
- 「この後は××に会う予定です」
先方の目の前にした場合、そこでのトップは先方です。先方に社内の人間に会うことを伝える時は「○○にお会いします」と「会う」の謙譲語を使って自分を下げるのはNG。理解しにくい話ではありますが、社内の人間に謙譲語を使うと自分と同時に先方も低くすることになってしまいます。
「会う」の尊敬語・謙譲語はとにかく間違いが多いもの。慣れないうちは先方がいる場で社内の人間について話す時はとりあえず丁寧語を使うと覚えてしまってもいいでしょう。ふたつめの例文「会う予定です」も「会う」の丁寧語「会います」を変化させたものです。
「会う」の丁寧語の使い方②：上司に同僚と会うか聞かれた時
「会う」の丁寧語の例文②
- 「○○となら明日会いますよ」
- 「後で××に会いますので用事があれば伺います」
同僚は自分と対等関係なので尊敬語を使う必要も謙譲語を使う必要もありません。「○○と会う予定ある？」と聞かれたらシンプルに「会う」の丁寧語を使って「会います」と答えるだけで問題ありません。
ふたつめの例文は「××に会うので」としてもいいところをあえて「会う」の丁寧語「会います」を使い、「××に会いますので」とすることで言葉のやわらかさを強調し、上司に対して丁寧な受け答えを印象付けることができます。
「会う」の丁寧語の使い方③：先ほど会ったことを伝える時
「会う」の丁寧語の例文③
- 「○○なら先ほど会いました」
- 「××と会いましたことは確かです」
丁寧語は尊敬語や謙譲語に比べて丁寧な印象を与えにくいと説明しましたが、ふたつめの例文はどうでしょうか。先ほどの「××と会いますので」と同じく一部を「会う」の丁寧語「会います」「会いました」に変えるだけでぐっと丁寧な雰囲気になりませんか？丁寧語はついきつくなりがちな言葉をやわらかくする効果もあります。
「会う」の間違った使い方と例文
「会う」の間違った使い方①
「会う」の間違った使い方①
- ×「上司にお目にかかりましたか？」
- ○「上司にお会いになりましたか？」
「会う」の尊敬語・謙譲語・丁寧語の誤用としてよくあるのはやはり尊敬語と謙譲語が混ざってしまうことだと思います。「お目にかかる」は「会う」の謙譲語です。謙譲語は自分を低くする言葉ですから、相手に向けるのは失礼です。相手に誰かと会ったかどうかを尋ねる時は尊敬語を使うのが鉄則です。
やはり間違えてしまうのは語頭に付く「お」が原因だと思われます。「お目にかかる」も「お」が付いているため丁寧な表現だと思い相手に使ってしまうことがあります。語頭に「お」が付いても必ず尊敬語になるわけではありません。
「会う」の間違った使い方②
「会う」の間違った使い方②
- ×「今度お会いになりたいと思います」
- ○「今度お会いしたいと思います」
「お会いになる」は「会う」の尊敬語です。間違い例文は相手に会いたいと思っている、自分の動作に尊敬語を使用してしまっています。自分の表現を丁寧にするときは「会う」の謙譲語である「お会いする」を使うのが一般的です。
尊敬語の「お会いになる」と謙譲語の「お会いする」は特に誤用が多い言葉です。なかなか覚えにくいですが、「会う」の謙譲語「お会いする」は「～する」という自発的な動作を表し、「お会いする」イコール「自分から会いに行く」と無理やり覚えるしかありません。
「会う」の間違った使い方③
「会う」の間違った使い方③
- ×「○○とお会いになられましたか？」
- ○「○○とお会いになりましたか？」
そろそろ頭がパンクしそうですが、よくある間違いをもうひとつ。とても丁寧な表現に聞こえる「お会いになられる」という表現。「会う」の尊敬語である「お会いになる」と尊敬の表現「～れる」を組み合わせた言葉です。実はこの組み合わせがご法度。丁寧にしすぎている二重敬語の状態になっています。
二重敬語は敬語表現の中でもっともよく起こる誤用のひとつです。下記の記事では二重敬語にしやすい、間違えやすい敬語を紹介しています。知らない間に二重敬語を使ってしまうこともよくあるので、気になる方は一度確認してみてはいかがでしょうか？
難しい敬語も使いこなして言葉づかいの素敵な女性に
今回は特に難しい「会う」の尊敬語・謙譲語・丁寧語を紹介しました。使い分けが難しく、誤用も多い「会う」という言葉ですが敬語をきちんと使えてこそ素敵な女性に近づくのではないでしょうか。普段から言葉に気を付けて言葉づかいの素敵な女性になりましょう！
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