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「ご厚志」の意味
「ご厚志」の意味①:相手の親切や行為を指す
「ご厚志」という言葉は「厚志」という言葉に「御」という丁寧語をつけた言葉です。「厚志」には「情の厚い心」と「親切な気持ち」の意味があります。
「ご厚志」は敬語として使える?
「ご厚志」は敬語として使えます
「ご厚志」を敬語として使用することは可能です。「ご厚志」という言葉は相手の好意や親切を丁寧に表している言葉です。そのため「ご厚志」を敬語として使うことに関して、問題はありません。
「ご厚志」の正しい使い方と例文(電話・会話編)
「ご厚志」の使い方①
「ご厚志」という言葉は端的に言えば「お金」です。この言葉は仕事関係において頻繁に使用されるものですので、覚えておいたほうが良いでしょう。
仕事での接待や歓送迎会または忘年会などの宴会が開かれる際、主賓は本来出費をしません。そしてその会費も基本的には、平等に徴収されます。ですが主賓がお金を出したり、上司が多めにお金を包んだりすることはよくあることです。それを「お金」という言葉でなく、「ご厚志」という敬語で表現するのです。
「ご厚志」例文(主に宴会で使われます)
- 課長からご厚志をいただきましたので、この場にてご報告いたします。課長、ありがとうございます。
- 主賓の方よりご厚志をいただいております。ですので、この場にてご紹介いたします。〇〇様ありがとうございます。
「ご厚志」の使い方②
「ご厚志」は香典の意味を持たせることも可能です。または葬式時の供物や供花の意味を持つこともあります。「ご厚志」は、「香典」という直接表現を避けたい場合に、婉曲表現として使用できる敬語でもあるのです。
「ご厚志」例文
- この度の葬儀にあたりまして、ご厚志を賜りましたこと、厚く御礼申し上げます。
- 父〇〇の葬儀に際しまして、丁重なるご厚志を賜りましてまことにありがたく存じます。厚く御礼申し上げます。
お通夜や告別式を行う際、香典や供物あるいはご供花を受け取らない場合があります。その場合にも「ご厚志」という言葉を使うことができます。この時はっきりと「ご香典、ご供物、ご供花はご辞退申し上げます」と表現しても失礼ではありませんが、婉曲的に表現したい場合敬語の意味もこめて「ご厚志」ということができます。
「ご厚志」例文
- 誠に勝手ではございますが、ご厚志はご辞退申し上げます。
- 故人の遺志によりまして、ご厚志は辞退させていただく所存です。
「ご厚志」の正しい使い方と例文(メール編)
「ご厚志」の使い方①
「ご厚志」をいただいた場合、宴会の幹事は改めて「ご厚志」を出してくださった方へお礼の連絡を行います。最近では、メールでお礼を伝えることが一般的ですよね。「ご厚志」へのお礼については、以下のような例文を参考にしてみましょう。
「ご厚志」例文
- 先日はお忙しい中、ご参加くださいましてありがとうございます。ご厚志までいただきましたこと、重ねて御礼申し上げます。
「ご厚志」の使い方②
「ご厚志」についての報告は、基本的には乾杯の音頭をとる時など宴会中に幹事が行うことがマナーとなっています。しかしその宴会で報告ができなかった場合は、後日メールにて「ご厚志」のお礼と報告をすることがあります。
「ご厚志」例文
- 皆様、先日の〇〇会にお集りいただきましてありがとうございます。〇〇会を開催致しました際に、△△様よりご厚志をいただきましたこと、ここにてご報告させていただきます。△△様、厚くお礼申し上げます。
- 先日の〇〇会の際、部長よりご厚志をいただきました。部長、誠にありがとうございます。そしてご報告が遅れましたこと、お詫び申し上げます
「ご厚志」を使うときの注意点
「ご厚志」を使うときの注意点①「ご厚志」とほぼ同義の「ご芳志」
「ご厚志」とほぼ同じ場合に使用できる敬語に「ご芳志」という言葉があります。「ご芳志」は「芳志」という言葉に丁寧語の「御」がつけられたものです。「芳志」の意味は他人の親切な志を敬うことです。「ご厚志」よりもさらに敬語としての意味が強くなります。
「ご芳志」はより相手を高めたい場合に使用すると良いでしょう。とは言え「ご厚志」でも十分相手を尊重した言い方ですので、どちらを使っても問題はありません。ただし「ご芳志」は、香典の意味として使用することは避けてください。
「ご厚志」を使うときの注意点②:「ご厚志」と間違われる「寸志」
「寸志」とは、「いささかの志」と「心ばかりの贈り物」を意味します。別の言い方で「心づけ」という表現を使うことがあります。お世話になった人に対して、心ばかりのお礼や感謝の気持ちを表す時に使われます。上司が「ご厚志」を渡す際、「寸志」と書いた封筒に入れて渡すこともあります。
この「寸志」という言葉、実は「ご厚志」と間違えて使用されやすい言葉ですので注意が必要です。特に仕事の関係ですと、相手方を非常に不快にさせます。意味をきちんと覚えておきましょう。
仕事上においての「寸志」は、目上の人が目下の人に対して感謝や労いの意味として使用します。逆に目下の人が目上の人に感謝を示す場合は、「御礼」や「ご挨拶」という言葉を使います。私生活においては冠婚葬でお世話になったスタッフの人へお礼を渡す際は、「寸志」が使えます。
「ご厚志」の類語
「ご厚志」の類語①:温情
「温情」の意味は、「優しくて思いやりのある心」と「情け心。いつくしみ」です。「温情」という言葉に丁寧語の「御」をつけて、敬語として使用することも可能です。主に感情を表す言葉であることから、仕事について使用することはありません。
「温情」は相手の親切な行為に対する表現として使われ、目上の人に対して使用され目下の人には使用しません。手紙や礼状で謝意を表すときに用いられます。
「温情」例文
- 皆様のご温情に深く感謝致しております。
- 今後も一層のご温情を賜りますよう、お願い申し上げます。
「ご厚志」の類語②:厚情
「厚情」の意味は、「手厚い情け」です。こちらも「思いやりのある心」の意味があります。こちらも「ご厚情」と敬語の意味で使用することができます。「厚情」は仕事情でも使用可能な言葉です。目上の人に対して使用します。
「厚情」は、式典や歓送迎会などといった儀式的な場面でよく使用されます。他に取引先に文書を発信する場合に、感謝の気持ちを表す表現としても使用されます。
「厚情」例文
- ご厚情あふれるお言葉をいただき、深く感謝いたしております。
- 多大なご厚情をあずかり、御礼申し上げます。
「ご厚志」の類語③:厚意
「厚意」は厚情とほぼ同義で、「思いやりのある心」を意味します。ですが一般的によく使用される言葉ですので、「厚情」よりもくだけた表現となります。そのため改まった場面での使用より、親しい人に対して使用することが多いです。
同じ読み方の言葉に「好意」があります。「好意」は自分の気持ちを意味し、「厚意」は他人の気持ちを意味する言葉として使用されます。厚意は対等の立場の人に対しても、目上の人に対しても使用できます。
「厚意」例文
- ご厚意に感謝いたしております。
- 皆様方のご厚意に甘えさせていただきたく存じます。
「ご厚志」の類語④:気遣い
「気遣い」の意味は、「物事がうまくゆく、または失敗がないように気を遣う」です。基本は相手の行動をさす場合に使用します。「お気遣い」という表現で、相手を立てる敬語の意味にできます。仕事において上司に対して使用しても、問題はありません。
「気遣い」例文
- お気遣いいただきまして、ありがとうございます。
- (お茶などのおもてなしを受けて)どうぞお気遣いなさらないでください。
「ご厚志」の類語⑤:心遣い
「心遣い」は、「その人のためにいろいろと気を遣うこと」を意味します。こちらも相手の行動をさす場合に使用します。こちらも「お心遣い」の表現で、敬語として仕事上にの上司に対して使用可能です。
「心遣い」例文
- いつも温かいお心遣いをいただきまして、感謝に堪えません。
- (見舞いの品をいただいて)お心遣いをいただきまして、ありがとうございます。
「ご厚志」の類語⑥:慈悲
「慈悲」の意味には、「情け」と「あわれみ」があります。元々「慈悲」は仏教用語です。仏が人々に楽を与えて、苦しみを無くすことを意味しています。慈悲の意味はそこから派生して生まれました。仕事に適した言葉ではありませんので、間違って使用しないでください。
「慈悲」例文
- あの人はとても慈悲深い人です。
- 慈悲の心を持って相手を許した。
「ご厚志」の類語⑦:慈愛
「慈愛」は「常に慈しみを注いで可愛がる」という意味があります。親が子どもに向ける愛情、またはそれに近い状態を意味する言葉です。こちらも仕事上で使う言葉としては適していませんので、使用しないでください。
相手に対して体を大切にしてくださいという意味で、「ごじあいください」ということがあります。その場合は「ご自愛」となりますので、注意が必要です。
「慈愛」例文
- 仏のような慈愛に満ちた表情をする。
「ご厚志」は仕事で使える敬語
以上で「ご厚志」についての説明を終了いたします。仕事をする社会人ともなると敬語の使用が大切となりますが、実は間違えて覚えていたり、よく分からない言葉が多くあります。流暢に敬語を使用して話をすると、それだけで相手から印象が向上します。相手に失礼をしないためにも、きちんとした敬語を使いたいものです。
この度は「ご厚志」について述べていきましたが、「ご厚志」は様々な場面で使える便利な敬語です。香典などのマイナスイメージのあるものに対しても、それらの婉曲表現としても使えますので、直接的な表現を嫌う方にとっては知っておくべき言葉です。
ですが同じ意味のある「ご芳志」は使えない場面もありますので、注意が必要です。そして「寸志」も正しく覚えておくと便利な言葉です。敬語は使用法は難しいですが、使用方法さえ分かれば、ビジネスマンとしてより自分を向上させる鍵となってくれる言葉です。
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