「イケボ」は何をもってしてイケボなのか？
人気の秘訣はバリトンボイス
低くてダンディーで、男らしく逞しい声。はたまた、ハイトーンボイスの突き刺さるエモーショナルな声域の広い声。イケボイケボと言いますが、その種類は細かく細分化されます。人の数だけ声の種類があるのですから、当たり前と言えば当たり前ですよね。
ですがそんな無限とも言える声の数の中、一概にイケボだと言われる男性の声の特徴とは何でしょうか。その秘訣は、抱擁力のある「バリトンボイス」だと言われます。
バリトンボイス？と聞いてもピンと来ない人も多いかもしれませんね。バリトンボイスとは、元々はオペラや声楽の世界において男性の声質・声域によって分けられたパートの１つです。
テノール
男性の声の中でも比較的高めの声です。若い男性や王子様のような声に聞こえ、オペラなどでも中世的な役柄に当てられます。またはまだ第二次成長の来ていない少年や変声期前の青年にも当てられることが多いです。
バス
低く響く男性の声で、渋くてダンディーであることが特徴です。声楽や合唱においてはバスの低音域を支えるパートが必要不可欠であり、一見地味に見えつつ楽曲全体の要となる声域です。正しく発声するのには特有の技術が必要。
バリトン
そして今回ご紹介するバリトンボイス。英語で書くと「baritone」であろ、その語源はギリシャ語の「barys(バリュス）」です。この単語には「重い」という意味があり、同時に「深い」とも捉えられます。
テノールのように突き抜ける美しさを持ちつつも、バスのような力強さと芯の強さを兼ね備えているのがバリトンの声質・声域の特徴です。男性らしい逞しさを備えているのにも関わらずどこか切なげ、儚げな響きは、多くの女性の心を掴みます。
このバリトンボイスを持っていることこそが、イケボの条件の１つでもあります。もちろん好みは人それぞれですし「イケボには絶対にこの声質が無くてはならない！」という決まりが厳密にあるわけではありません。
ですが、バリトンボイスという武器を生まれながら（もしくは努力で後天的に）に持っている男性は、往々にしてイケボだと認識されると思って良いでしょう。ただしこのバリトンボイスを上手に届けるのにはまたコツが必要です。そのうちの１つが「エッジボイス」の活用になります。
「エッジの聞いた声」とは
女性をメロメロにするバリトンボイス。その魅力を最大限に引き出すためには「喋る時にエッジを効かせる」ことが効果的です。またこのテクニックを使いながらの話し声を「エッジボイス」と呼び、こちらもイケボの特徴として挙げられるのです。
では、「エッジ」とは一体何でしょうか。疑問に思うかもしれませんが、いたってシンプルな特徴・テクニックです。分かりやすく言うと「話す瞬間の、喉が枯れているような引っかかり」のことを指します。
例えるのであれば、映画の「呪怨」で出てきた「ア”ア”ア”ア”・・・」という声のことです。先天的に持っていない場合であっても、喫煙や飲酒を日常的に行う人は声帯が良くも悪くも痛み、自然とこのエッジボイスになる人も多いです。
エッジボイスはバリトンボイスと違って自分で意識して出すことが素人でも容易ですので、すぐにでもチャレンジしやすいです。言葉の頭にエッジをかけて喋ることにより、特有の色っぽさや艶かしさが出ます。
これは女性でも活用でき、セクシーな雰囲気を演出できます。ただしやりすぎるとしつこさが目立つので、ほどほど程度が１番です。
セクシーなハスキーボイスはいつでも人気！
そしてバリトンボイスと双璧をなす人気のイケボが、ご存知ハスキーボイスです。かすれている様なこの声は特有の色っぽさが魅力的で、「もっと聞きたい！」と思わせてくれます。歌手でもハスキーボイスの人は歌唱力はもちろんその声質も評価されがちです。
ハスキーボイスは厳密に言うと「嗄声」と似ている声質となりますが、それと違ってネガティブな意味で使われることはほとんどありません。しゃがれた声、かすれた声の中にも奥深い魅力があるという意味で例えられます。
ハスキーボイスはその魅力の分だけ少し声が聞きづらかったりすることがあるので、声優やアナウンサーなどの声を生業にすることを望むのであれば逆に適していません。ですが一般的に生活する人の中でハスキーボイスは個性であり、イケボと呼ばれるための武器にもなりえるのです。
よく誤解されがちなのは。ハスキーボイス自体はしっかりと声帯は振動しているということです。仮声帯の振動が独特であるためにハスキーなニュアンスを付与しているのであり、無理に喉に負担をかけて出そうとしているわけではありません。
ジャズシンガーなどのハスキーな音楽家が、振り絞るような歌い方をしているのにも関わらず高音域まで出ていたり喉を痛めないのには、正しい発声が必要ということ。むやみに絞って痛めて枯れてしまった声は、美しいハスキーボイスとは言えないのです。
イケボ男性のメリット
同じ台詞を言っていても格好良い
声質がとりわけて格好良いというわけではなくても、大きく損をしてしまうようなことはあまりありません。ですがイケボの男性には逆にメリットが沢山あるのです。その最たる例の１つが「どんな台詞を言っていてもサマになっていて素敵」な点でしょう。
元々その声だけで「男らしい」「たくましい」というイメージが先行しているので、他の人が言っているのと同じことを言っても良い意味で意味深になり、女性に対してミステリアスな魅力を演出できます。
ただ「好きだよ」「愛しているよ」と言われるだけでも女性の心はメロメロに。声を聞いているだけなのに、まるで耳から抱きしめられているような感覚になってしまうこと請け合いです。
小さな声で囁くような喋り方も魅力的で、まるでドラマに出てくるシーンのようなトキメキを声質だけで再現できます。持ち前の声だけでも魅力があるのに、その使い方を覚えている男性はまさに鬼に金棒でしょう。
声を聞くだけで落ち着く
イケボ男性の声には説得力があります。その適度な声域の低さが安心感と包容力を与えてくれ、人の心にスッと響いてくれるのです。甲高い声の男性よりも、ダンディーな声の男性の方がドッシリと構えている感じがしますよね。
またイケボの男性のメリットとして、口数が少なくても発言内容自体の影響力を持ちやすいということもあります。声自体が特徴的で人の意識を注目させるので、多くの意見が飛び交う中でも目立つのです。
一般男性の声域（ヘルツ）は、バリトンボイスの声域に使われる123.47～349.23とテノールボイスとして使われる148.83～440.00の中であることがほとんどです。この中でなるべくクリアに聞こえるような中～低音域が、最も澄んだ響きで聞こえることが多いです。
なので同じイケボであっても多くの人の話声が飛び交う時は落ち着いたトーンの中音域、少人数で話し合う時は低音域でバスに近い響きで喋る、などと分けた使い方をすることで、よりシチュエーションに見合ったツールとしての声を自然と提案できます。
この声は女性に対しても心に落ち着きを齎してくれます。傍にいるだけで、声を聞いているだけで安心できる男性だんて素敵ですよね！
イケボ男性のデメリット
声と見た目のギャップがあると辛い
イケボは確かに男性の心強い武器です。ですがあまりにも声質が良すぎたりして、尚且つ残念ながらビジュアルの偏差値が低かった場合、悪い意味でのギャップが産まれてしまいます。
自身の最低限の清潔感や洒落っ気を維持する努力をしなくては、「声はイケメンなのにね～」という不名誉な言われをしてしまう可能性があります。顔が特別格好良い必要はありませんので、女性をエスコートできるような紳士的な態度や度胸など、男性としても魅力が欲しいところです。
対して「見た目も良い、声が良い」ですと周りに女性は耐えないことでしょう。とは言えどもヴィジュアルも声質も磨かないであぐらをかいているばかりではどんどん劣化してしまいます。
表面的なステータスこそ、その価値が輝いてるうちに見えない内面を磨かないことには、いつしか自分自身へその怠慢のしっぺ返しがくることでしょう。イケボはあくまで数ある武器のうちの１つでしか無いのです。他の武器を際立たせるためのファクターだという理解をしておくべきでしょう。
喉をいたわらないと声は劣化していく
身体的な財産の１つであるイケボですが、やはりそこは声帯という肉体の１つ。どんなご自慢の声もただ酷使し続けてケアをしないようではどんどん劣化していってしまいます。
イケボを維持するために最も避けたいものが、喫煙と飲酒です。人は男女に限らず生まれ付き喉を嗄らしやすい人と嗄らしづらい人がいて、前者はビールを１杯飲んだだけで次の日の夜までガラガラ声になってしまう人もいます。
対して朝までお酒を飲みながらカラオケをしていても声が変わらないような頑丈な声帯を持っている人もいるのですから、驚きですよね。
保湿や保温、健康的な生活や血行促進などと気を使ってあげるほどに、イケボは長持ちして更に魅力を伸ばすことができます。喉を痛めての嗄れ声は一見ハスキーボイスのようで個性的かもしれません。ですがそれにかこつけて喉を酷使する生活をし続けると、イケボ特有の声の篭りや透明感が無くなっていってしまうのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。女性を虜にするイケボな男性の特徴についてご紹介しました。人によってイケボだと感じるポイントは変わってきますが、例え普通に話していてもどことなく奥底がエモーショナルなニュアンスを持っていたり、色っぽい艶やかな魅力があったりと、共通点は多々あります。
イケボの男性に出会ったり歌声を聴いたりしたら、是非耳を済ませて彼の声の特徴を探してみましょう。自分の心が落ち着く声である理由が見えてくるかもしれませんよ！
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