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「与える」の尊敬語・謙譲語・丁寧語は?敬語の使い方と用例を徹底解説!

更新:2019.06.21

「与える」の敬語としての使い方、実はあいまいになっていませんか? 社会人として「一般常識」とされている敬語が正しく使える女性は、やはり知的な印象を与えますし、魅力的ですよね。人と関わるうえで使う頻度の高い「与える」の「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の使い方をしっかりとおさえておきましょう!

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「与える」の敬語表現は?

「与える」の尊敬語:「お与えになる」「与えられる」「くださる」「賜る」

「与える」の尊敬語は?

尊敬語は、相手の行為に対して使うことが基本となり、 目上の相手に対し、相手を立てるときに使います。「与える」の尊敬語として「与えられる」という表現もありますが、受け身表現と間違われやすいため、「くださる」を用いるほうが一般的です。

また、「賜る」は「もらう」の謙譲語であると同時に「与える」の尊敬語の意味も持ちます。「与える」の尊敬語はこのように言い換えによって適切な表現が変わってきますので、使い方に注意が必要です。

「与える」の謙譲語:「差し上げる」「献上する」

「与える」の謙譲語の使い方

謙譲語は、自分の行為に対して使うことが基本となり、自分がへりくだるときに使います。自分を下げることで相手を立てる方法です。

「差し上げる」は自分から相手に対して何かを渡すときに使いますが、中には「~あげる」という響きが相手に対して上から目線のようで失礼だ、という意見もあります。

基本的には、相手にとって何等かのメリットをもたらす場合にのみ「差し上げる」という表現を使うのが一般的で、それ以外の場合には「差し上げる」の代わりに別の動詞での敬語に置き換えたほうが良いでしょう。詳しくは後述の使い方例での解説を参考にしてください。

「与える」の丁寧語:「与えます」「あげます」

「与える」の丁寧語は?

丁寧語は、相手とか自分だとかは問わず、聞き手に対して丁寧な表現をするときに使います。基本的には語尾に「です」「ます」を付ける方法です。「あげます」は「与える」から派生して「あげる」の表現を丁寧語にした表現です。

【状況別】尊敬語「お与えになる」「くださる」の正しい使い方と例文

「与える」の尊敬語の使い方①:目上の人が動植物にものを与える時

植物に水を与える時

目上の人が動植物にものを与える時は「お与えになる」

  • ○○先生が飲み物をお与えになりました。
  • 社長が鳥にエサをお与えになっていましたよ。
  • 動物にエサをお与えになる場合は噛まれないようご注意ください。

人から人へものを与える時に「お与えになる」という表現はその関係においてかなり大きな上下の差があるような印象を受けます。そのため、一般的に「お与えになる」というフレーズが用いられることは少なく、主に動物や植物を対象として使うことが多い表現です。

「与える」の尊敬語の使い方②:目上の相手からものをもらう時

目上の相手からもらう時

目上の相手からものをもらう時は「くださる」

  • 部長が出張のお土産をくださった。
  • 先生が貴重な絵をくださった。
  • 取引先の社長が祝電をくださった。

「くださる」は「くれる」の尊敬語ですが、ビジネスシーンにおいては(目上の)相手から何かをもらった場合には「お与えになる」よりも「くださる、くださった」を用いて表現することが一般的です。「くださる」は相手が主語(行動の主体者)の場合に使います。

「与える」の尊敬語の使い方③:ビジネスレターやスピーチの時

ビジネスレターやスピーチの時

ビジネスレターやスピーチの時は「賜る」

  • 今後とも変わらぬご愛顧を賜りますようお願い申し上げます。
  • 日頃より格別のご愛顧を賜り、誠にありがとうございます。

自分に対して目上の相手が何かを与えてくれることをビジネスレターやスピーチの中で表現する場合には「賜る」を使いましょう。かなり堅い表現になりますので、日常会話の中で使うことは少ないかもしれませんが、かしこまった場面での表現方法として覚えておきましょう。

【状況別】謙譲語「差し上げる」の正しい使い方と例文

「与える」の謙譲語の使い方①:相手にものを渡す時

サンプルをもらった♪

相手にものを渡す時の「差し上げる」

  • 当日ご来店のお客様にはオリジナルグッズを差し上げます。
  • サンプルを差し上げますのでお試しください。
  • よろしければ参考までにこの本を差し上げましょうか?

「プレゼントがもらえる」ということはお客様にとってのメリットですよね。このように何かを渡すときに受け取る側(聞き手)にとってなにかしらのメリットが生まれることを自分(話し手)が期待している、もしくはそれを前提としているような場面において、「差し上げる」という表現を使うことは適切な使い方といえます。


「与える」の謙譲語の使い方②:相手に連絡をする時

電話をする時

相手に連絡をする時の「差し上げる」

  • ご依頼いただきました内容につきまして、後ほどお電話を差し上げてもよろしいでしょうか?
  • 一度スケジュールを確認したうえで改めてご連絡差し上げます。
  • お問い合わせの件に関しましてご連絡差し上げた次第でございます。

「連絡する」ことを相手に伝えるために「ご連絡差し上げる」を使うことは敬語表現としては間違いではありません。ただし、やはり相手にとってこちらから連絡することがメリットとなるような場合に限って使うことが特にビジネスシーンでは注意すべきマナーとなります。

自分の一方的な理由や都合のための連絡の際に「ご連絡差し上げる」の表現は上から目線に受け取られかねないので避けたようが良いでしょう。

「与える」の謙譲語の使い方③:相手に謝罪する時

失敗した時

相手に謝罪する時の「差し上げる」

  • ちょうどお電話を差し上げようと思っていたところです。
  • こちらからご連絡を差し上げるべきところ、誠に申し訳ございません。

自分から相手に連絡すべきだったのに、先に相手のほうから連絡が来てしまった場合にはへりくだった表現である「差し上げる」を使いましょう。本来は自分から相手に対してメリットがある連絡をするはずだったので、「謙譲語」を使うことが正しい表現です。

相手の手を煩わせてしまった、という謝罪の念が伝わりやすくなります。ただし、謝罪する場合にはつい敬語を多用してしまいがちですので、間違った使い方をしてしまわないよう、注意が必要です。詳しくは後述の間違った使い方と例文でご説明します。また、お詫びが度重なる場合の敬語についてがは、以下記事もどうぞ。

【状況別】丁寧語「与えます」「あげます」の正しい使い方と例文

「与えます」の丁寧語の使い方①:広告文や説明書の時

広告文や説明書の時

広告文や説明書の時は「与えます」

  • 天然抽出成分が肌にうるおいとハリを与えます。
  • データの保存要求に対して許可を与えます。
  • 不規則な生活は健康に影響を与えます。

「与える」の語尾を「です」「ます」調に変形させて表現を丁寧にします。広告文や説明書によく見られますね。丁寧な言葉使いをすることで、目の前の聞き手に対して敬意を表す典型的な例です。

「与える」の丁寧語の使い方②:近しい間柄の人にものを渡す時

あげるよ!

近しい間柄の人にものを渡す時は「あげます」

  • あなたに花の種をあげます。
  • もう少し時間をあげます。
  • ○○さんにもお土産をあげました。

「あげます」は上から目線からの強めの語調に受け取られやすいのでビジネスシーンでの使用は避けたほうが良いです。プライベートで比較的親しい間柄であれば「与えます」のより口語的な敬語表現として「あげます」を用いることは問題ないといえるでしょう。

「与える」の丁寧語の使い方③:プレゼンテーションや講演をする時

プレゼンテーション

プレゼンテーションや講演をする時は「与えます」

  • この問題はわが社に大きな影響を与えます。
  • プロジェクトの成功は多くの人に感動を与えます。
  • その経験は私たちに多くの学びを与えました。

相手を問わず使用できる丁寧語の表現で、話題の中の登場人物に対してではなく、聴衆への敬意を表します。プレゼンや講演会では聞き手の年齢や立場などが把握しきれない事も多いので、内容や講演者の立場にかかわらず一般的な丁寧語表現を用いることが良い選択と言えるでしょう。

「与える」の間違った使い方と例文

「与える」の間違った使い方①

間違えた!

相手にメリットがないのに謙譲語「差し上げる」を使う

  • × お給料を差し上げます。
  • ×(自分からの用事で電話をかけて相手が不在だった場合)後ほど改めてお電話差し上げます。
  • 〇(相手からの用事で電話をかけて相手が不在だった場合)後ほど改めてお電話差し上げます。

給料や賃金は与えられる側にとって一見メリットのように感じてしまいますが、それは間違いです。なぜならそれは働いた成果であり、もともと正当に受けとるべき権利があるもので、恩恵ではありませんよね。そのような場合に「差し上げる」を用いるのは間違った使い方になります。

また、自分から 、自分の用事で相手にかけた電話について「お電話差し上げる」と表現してしまうと、自分のほうがわざわざ時間を割いて電話をしてあげる、という意味合いになってしまいますので、この場合は「後ほど改めてお電話いたします。」と表現するのが一般的です。

一方、相手から、相手の用事があって電話をかけてきたと自分が不在だったため折り返し電話をしたが今度は相手が不在だった場合には、もともと相手の用事であるのに対してこちらが電話をし直しす、ということで相手の手を煩わせない、相手を立てる、ということで「お電話差し上げます」という謙譲語の表現が成立します。

POINT

「差し上げる」の使い方ポイント

「差し上げる」の表現は上から目線の印象を与えやすいため、 使い方によっては相手に不快感を与えてしまう可能性もあり注意が必要です。基本的には、相手にとって何等かのメリットをもたらす場合にのみ「差し上げる」という表現を使いましょう。

「与える」の間違った使い方②

「与える」の間違った使い方

ら抜き言葉

  • × 明日にはご連絡差し上げれると思います。
  • × 場合によってはお電話を差し上げれないこともあります。
  • × 今回のケースではポイントを与えれません。

すべていわゆる「ら」ぬき言葉になってしまっています。できるできないといった可能性を表現する場合には特にこの間違いが多くなりがちですので、注意が必要です。正しくは、「差し上げれる」→「差し上げられる」、「与えれません」→「与えられません」または「与えることはできません」と表現しましょう。

「与える」の間違った使い方③

敬語は難しい

二重敬語

  • × ご連絡差し上げさせていただきました
  • 〇 ご連絡差し上げました
  • 〇 ご連絡いたしました

敬語の多重使用に気をつけましょう。へりくだる気持ちが強すぎて、「与える」の謙譲語「差し上げる」+「~させてもらう」の謙譲語「~させていただく」と、謙譲語を重ねて使用するのは間違いです。

表現としても、とても回りくどい言い方に聞こえますよね。丁寧さを心がけるのは良いことですが、度が過ぎてしまうとかえってマナーを知らない人、と思われてしまいますので注意が必要です。「ご連絡させていただきました」の正しい使い方については、以下記事も参照してみましょう!

「与える」の敬語は基本をしっかり押さえて使いましょう!

マナー美人を目指しましょう

普段何気なく使っている敬語にも、実はきちんとした定義があることを知るとより一層その使い方に磨きがかかってマナー美人になれますよね。

「与える」という言葉の性質上、敬語を使ってもどうしても上から目線のような印象が残ってしまいがちですので、それをカバーするためには正しい知識が必要です。

特にビジネスにおいてはよく使われる表現「お電話差し上げる」などの謙譲語は間違った使い方をしてしまいがちです。また、尊敬語は言い換えのほうが適当な表現になったりもしますのでポイントを押さえて正しい「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」を使い分けことができるようになりましょう!

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