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「折衝」は正しい敬語?意味や例文・使い方・類語も紹介!【状況別】

更新:2019.06.21

「折衝」はビジネスで良く使われる言葉です。似ている言葉があり、間違った使い方をすると相手に不快感を与えてしまいます。また、「折衝」は敬語として使っても良いのでしょうか。今回は、「折衝」の意味や例文、状況別の使い方などを詳しくご紹介します。「折衝」という言葉を聞いたことがない人は、参考にしてください。

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問題解決?「折衝」の意味

「折衝」の意味①:駆け引きをすること

駆け引き

「折衝」とは、意見や希望が一致しない相手との間に問題が発生した時、解決するために駆け引きすることを言います。お互いが納得する結果が得られる様な話し合いを指します。また、この言葉は中国から来ています。儒教の祖・孔子の時代の「敵がつきだした矛先を折る」という故事から来ていると言われています。

「折衝」という言葉は、基本的には個人で使用することがありません。圧倒的に多く使われるのは、会社と組合や国家同士などの、公の取引の場で使われます。「折衝」に比べて、よく聞かれる「交渉力」という言葉よりも固いイメージがあり、使える場面がとても限られます。

「折衝」の意味②:折り合いをつけること

会議

もう一つ「折衝」には、ある目的達成のため、意見や希望が一致しない相手と妥協点を見つけて、こちらが有利に運ぶように折り合いをつける意味もあります。また、その中には良く使われる「説得」の意味も含まれます。

「折衝」をうまく運ぶには、時には妥協点を探りながら、相手と折り合いをつけるため、相手への思いやりも大切です。説明上手で具体的な提案ができると有利です。また、無理という言葉を使わずに、上手く代替案を提示する能力も必要です。

相手を敬う?「折衝」は敬語として使える?

「折衝」は敬語として使えます

NO

一般的を敬語には、丁寧語、尊敬語、謙譲語の3種類があります。名詞を尊敬語として使うには、頭に接頭辞「お」または「ご」を付けて使います。しかし、「折衝」は「お折衝」や「ご折衝」などという使い方はしませんので、単語自体を敬語として使うことができません。

そのようなことから、「折衝」を敬語として使うには、丁寧語と謙譲語を組み合わせて使います。例えば、「折衝は課長がしていただけますか」や「折衝してまいりました」のように敬語として使うことができます。

「折衝」の正しい使い方と例文(電話・会話編)

敬語としての「折衝」の使い方①報告するとき

社内会議

労働組合の活動報告にて

  • 「各関係所属と事務折衝を実施しました。」
  • 「事務折衝でのやり取りを一部ご紹介いたします。」

「折衝」は労組関係の会議や報告会でよく使われています。「折衝」は頭に接頭語をつけて尊敬語としては使われないため、丁寧語、謙譲語の言葉と組み合わせて、使われることが多いようです。電話でも同様の使い方をされています。

敬語としての「折衝」の使い方②会見するとき


仕事

大臣の記者会見にて

  • 「財務大臣と折衝を行ってまいりました。」
  • 「社会保障関係費などについて折衝を行ってまいりました。」

「折衝」は政治や外交などの公の場で使われることが多いようです。特に大臣の記者会見で頻繁に使われています。「行ってまいりました」は「行ってきました」の謙譲語です。「まいりました」は「してきた」の謙譲語になります。名詞「折衝」自体を敬語として使うことはできません。

敬語としての「折衝」の使い方③業務案内するとき

会議

税理士事務所の業務案内にて

  • 「あなたの代わりに税務当局との折衝にあたります。」
  • 「税務署との事後折衝をサポートいたします。」

「折衝」は、類語として「折衝にあたる」と言う言葉があります。「折衝にあたる」も「損得が一致しない相手と交渉を行うこと」です。使い方としては、上記にあるように、税理士事務所の業務案内で顧客に向けて使うことがあります。

「折衝」は電話や会話では、丁寧語を用いて使われることがあります。しかし、社内外のメールで使われることがほとんどないようです。社外文書などで、「折衝」に近い「交渉」でも、お願いメールにしているようです。ビジネスでの「折衝」は、ほとんどが対面で行われるため、メールでのやりとりが少ないためかもしれません。

敬語としての「折衝」の使い方④報道するとき

報道

東京五輪のニュースにて

  • 「国際オリンピック委員会と大会組織委員会による事務折衝が始まりました。」
  • 「この事務折衝は、東京オリンピックに向けて、IOCと組織委員会が定期的に準備状況を確認するものです。」

2020年に開催される予定の東京オリンピック関連ニュースで、IOCと組織委員会の「事務折衝」が開始したと報道されました。この「事務折衝」では、競技のほか会場やテスト大会などについての議題に上がったようです。

「折衝」の正しい使い方と例文(メール編)

「折衝」の使い方①労組関係の資料

メール

労組関係の資料にて

  • 「金額折衝に入る前に会社の状況等をよく説明すること。」
  • 「窓口折衝で解決しようとした。」

「折衝」という行為は、相手の目を見ながら話すのが基本ですので、メールでのやりとりは少ないと思われます。労働問題などの資料で「折衝」は頻繁に使われます。

一般企業では、社外メールで「折衝」のやりとりがあるとすれば、「折衝」ではなく「ご依頼」という言葉を使うのではないでしょうか。全体的に「折衝」はメールよりも、内部資料の文言として使われているようです。

「折衝」の使い方②省庁内での資料

仕事

省庁の予算編成資料にて

  • 「事務折衝の主要事項について、別添のとおりお知らせします。」
  • 「大臣折衝を無事終わりました。」

「折衝」は、省庁の予算編成に関する資料で頻繁に使われます。財務省は各省庁からの「折衝」を行い予算を決定します。 各省庁の担当者は予算の要求事項をまとめ、財務省と折衝を行います。財務省で認められなかった要求事項の復活を求めて、折衝を行なう「復活折衝」という文言もよく使われます。

省庁内でメールで「折衝」を使うかどうかは不明ですが、内部資料では頻繁に使われているようです。一般的にビジネスの場では、交渉メールというものがあり、こちら側はあくまでも検討を依頼するというスタンスです。

「折衝」の使い方③業務内容

協議

コンサルタント企業の業務内容にて

  • 「売主との折衝等のサポートを行いました。」
  • 「土地や建物・ビル所有者に対して折衝を行います。」

「折衝」は、コンサルタント企業の業務内容の紹介で頻繁に使われています。業務内容だけでなく、研修内容や応募資格等でも「顧客折衝」などとして使われています。コンサルタント業務には「対人折衝」が欠かせない業務となっており、業界ではよく使われる言葉です。

「折衝」の使い方④研修プログラム

研修

研修プログラムにて

  • 「取引先との折衝や交渉の機会は、常日頃から発生する可能性があります。」
  • 「折衝・交渉が苦手という方は少なくありません。」

コンサルティング会社の社員研修に、「折衝」プログラムがあります。日々の業務で、取引先との折衝やクレーム対応が欠かせません。このプログラムは、社内外で適切な折衝や交渉ができるようになるために開発されたプログラムです。

「折衝」を使うときの注意点

「折衝」を使うときの注意点①:基本的に公の取引で使われる

スーつ

「折衝」と「交渉」が同じだと思っている人が少なくないようです。「交渉」は「折衝」よりも圧倒的に広い範囲で使われています。しかし、「折衝」は、元々戦争や外交の政治的な場面で使われていました。今でも、主に国家や会社、組合など限られた場面で使われています。

「折衝」には、「敵の攻撃をくじいて防ぐ」という強い意味があります。また、「折衝」はあくまでも問題解決のための手段ですが、相手によっては、トラブルになってしまうことがありますので注意が必要です。

「折衝」を使うときの注意点②:言葉のニュアンスが重い

重い

「折衝」は既に対立している相手や、難色を示している状態の相手と、有利になるように話をすることです。「交渉」はお互いが納得するまで話し合いますが、相手が難色を示しているのか、いないのかは不明の状態で話し合われます。そのため、「折衝」という言葉は、どこか物騒でニュアンスが重いことがわかります。


こんな単語もある!「折衝」の類語

「折衝」の類語①:談判

喧嘩

「折衝」の類語の「談判」は、もめごとを決着させるために話し合うことで、「折衝」よりも喧嘩腰で、険悪な空気の中での話し合いと言えます。「直談判」や「膝詰め談判」という言葉がありますが、どちらも要求を通すため、相手とガチで向かい合って話し合うことです。

ビジネスマンに必要だと言われる 「折衝力」は、駆け引きや談判をしたうえで、結果的に優位に立てる能力のことを言います。意見などが一致しない相手との話し合いは、色々な場面が想定されるため、「折衝力」を持っていると、ビジネスでの交渉ごとに強くなれます。

「折衝」の類語②:駆け引き

握手する

「掛け引き」は、会議の席で、自分が有利になるように話を進めることです。また、恋愛では気になる相手を振り向かせるためにする行動のことを言います。「恋の駆け引き」などと表現されることが多く、よく聞かれる言葉です。

「折衝」の類語③:対話

対話

「折衝」の類語である「対話」は、向かい合って話し合うことです。「会話」と「対話」の違いは、「会話」はコミュニケーションツールで、「対話」は本音で話し、信頼関係を築くためのコミュニケーションツールというところでしょう。また、対話は2人だけでなく、複数人でも可能なものです。

「折衝」の類語④:交渉

交渉

「交渉」は「折衝」に1番近い意味の類語で、一般的によく聞かれる言葉です。「折衝」は折り合いをつけるという意味があり、最初から意見の異なる相手と有利になるような話し合いを指す言葉です。逆に「交渉」はお互いが納得することを目標に話し合うことを言います。

「折衝」の類語⑤:会商

会合

「会商」はあまり聞きなれない言葉ですが、「折衝」の類語です。「会合」は、相談のために人が集まることを言いますが、「会商」は、集まるだけでなく、相談することを言います。「日印会商」などのように使われます。

「折衝」と間違えやすい単語

「折衝」と間違えやすい単語の意味①:折渉

違い

「折衝」を「折渉」と間違えて認識している人が少なくないようです。「折衝」の意味から、「折渉」は「折り合いを付ける」の「折」と「交渉」の「渉」の漢字を組み合わせて作ってしまった造語のようです。ネットで検索してみるとわかるように、「折渉」という単語はありません。

「折衝」と間違えやすい単語の意味②:接渉

違い

また、「折衝」を「接渉」と間違えている人もいるようです。「接渉」は、初めに「折衝」を「接衝」と覚えた人が多く、その後、「交渉」の「渉」が組み合わされてしまった造語と考えられます。

聞いたことある?「折衝」と関連のある単語

関連のある単語①大臣折衝

「大臣折衝」とは、ある省庁の大臣が他省庁の大臣等と交渉をする機会のことをいます。特に、国の予算編成が行われる最後に、各省庁の大臣が財務大臣と議論し、予算の調整を行うことを指します。「大臣折衝」は「閣僚折衝」とも言われています。

そのやりとりが終了した後の記者会見などで、大臣から「財務大臣と折衝を行ってまいりました」という報告がなされるのかもしれません。

関連のある単語②復活折衝

復活

「復活折衝」とは、①の「大臣折衝」で財務省から内示された予算案に対し、認められなかった要求を復活させるために、「折衝」を行なうことを言います。

関連のある単語③事務折衝

事務

「事務折衝」とは、事務レベルで交渉のための意見を取り交わすことで、 「予備折衝」とも言われています。「国際オリンピック委員会と大会組織委員会の事務折衝が始まった」などのように使われます。

また、労働組合活動で労働者の労働条件について団体交渉をする以外に、事前に「事務折衝(予備折衝)」を行う場合があります。「事務折衝」は当事者抜きで労組の役員と、会社の代理人弁護士で話し合う場を設け、早期の解決をはかれます。

関連のある単語④外交折衝

「外交交渉」は、外交のメイン業務であり、首相や外交官が相手国の代表者と対面し、何らかの合意を取り付けるための交渉を指します。「外交折衝」も、「外交」の一部であり、外交官による交渉になります。その他、「外交」には、「首脳会談」や「外相会談」などがあります。

「折衝」はビジネスで必要なスキル!

「折衝」についてご紹介しましたが、意味はご理解いただけたでしょうか。「折衝力」は、ビジネスでは必要となるスキルです。「折衝」という言葉は、聞きなれない言葉ですが、「交渉」とはまた違った能力が必要だと言われています。「折衝」と間違えやすい単語もありますので、意味を良く理解していただけたら幸いです。

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